10月7日、 “クイーン大事典”発売記念のイベントが、クラシック・ロック情報サイトMUSIC LIFE CLIB presentsとして、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。第一部は音楽評論家 増田勇一さんを迎えてのトーク(司会MUSIC LIFE CLIB)、第二部はクイーンも認めるトリビュート・バンドQUEENESSのライヴという構成。会場はソーシャル・ディスタンスをとって40名が観覧+ネット配信。

来年はクイーン結成50周年。今のバンドで新しいオリジナル曲を欲しいですね 増田勇一

第一部は増田さんのコメントから始まった。


増田:皆さんもそうだと思いますが、今朝(10月7日)起きてパソコンを立ち上げた途端、目に飛び込んできたのが、エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報でした──。

エドワード・ヴァン・ヘイレンは癌闘病が続いていたとの情報はあったものの、あまりに突然な出来事でSNSでミュージシャンを始めさまざまな人がお悔やみの言葉を述べていた。

増田:エディは、クイーンというよりもブライアン・メイとの縁が深く、1983年に出たブライアンのソロ第1作『無敵艦隊スターフリート!』に参加しているんです、ジャケットの中にもブライアンとエディのギターが一緒に並んでいる写真があって。ブライアンはかなり早い時期からエディの名をフェイヴァリット・ギタリストに挙げていて、“一緒にやりたい“気持ちが強く出た作品だと思います。また、こういったタイミングでは過去の貴重映像などが日の目を浴びたりすることがあるものですけど、twitter上では、デビュー以前のヴァン・ヘイレンのライヴ音源が上がっていましたね。今回twitterでヴァン・ヘイレンのデビュー前の音源というのが出て、1975年、パサディナ・ハイスクールでのものなんですけど、なんとクイーンの『ナウ・アイム・ヒア』をやってるんです。これが意外にハマっていて。そういった背景も含め、ブライアンとエディって元々、音楽的相思相愛というか、すごく波長の合うところもあったんだろうな、と改めて感じました。

今日のイベントのタイトルになっている“クイーン大事典”では、もちろんこのアルバムのことも触れられており、目次から自分の読みたい事柄を調べられ、デビュー当時からアダム・ランバート、映画「ボヘミアン・ラプソディ」まで幅広く扱われる一方、マニアックなクイーン・トリビア的興味も満足できる一冊となっている。クイーン関連の書籍では、この後カメラマン、ニール・プレストンによる写真集「クイーン・フォトグラフス」も予定されている(日本版は12月上旬発売予定)。

増田:ニール・プレストンは70年代半ばレッド・ツェッペリンのツアー・オフィシャル・フォトグラファーをやってらした方で、その評判で以降ビッグ・アーティストのツアーを撮るようになったらしく、例えばブルース・スプリングスティーンと一緒に日本に来たりとか、ワム!と一緒に中国に行ったり、デュラン・デュランを撮ったりされています。クイーンに関しては二度に渡り南アメリカに行ってます。

ニール・プレストンによるクイーン写真集の表紙は81年の南米ツアー時のもの。サッカー熱狂国でもあり、しかも国内最大規模の会場でのライヴということで、観客がフーリガン状態になるのを恐れた政府側が過剰な警備でステージの前にライフル銃を持った武装警官を並べた──。その光景が写真集の表紙になっている(会場では収録写真の一部がスクリーンに映されながらのトークとなった)。


増田:中ページの写真もジョン・ディーコンが楽屋でチューニングをしているもの(クイーンは楽屋での写真はなかなか撮らせない)は、さり気ないありがちな光景ですけど意外と見たことがないし、バイクに乗った武装警官がメンバーを護衛する風景とか珍しい写真が入ってますね。

クイーン関連で二ール・プレストンの一番有名なカットは、マジック・ツアー中ウエンブリー・スタジアムのステージで、フレディ・マーキュリーがのけぞった姿をステージ裏から撮ったもの。

増田:ツアーのオフィシャル・カメラマンだから撮れたカット、普通のカメラマンが撮れない場所から撮影しています。これを見てもこのニール・プレストン写真集がいかに信頼性の高いものかお分かり頂けると思いますし、早く全部の写真を見てみたいですね。

この後、増田さんも関係したクイーンの最新ニュースが紹介された。

増田:先ずはクイーン+アダム・ランバートのライヴ・アルバム『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』が10月2日に発売されました。発売当日のオリコンのデイリー集計ではボン・ジョヴィの『2020』と首位争いをしていました。日本のアルバム・チャートで洋楽がトップ争いをするのも久しくなかったことですね。
このアルバムの発売に合わせて日本時間では2日の午前2時にあたる時刻から、インターネットを通じてブライアン、ロジャー、アダムの出席によるQ&Aセッションが配信されました。ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、本気のブリティッシュ英語って聞き取るのが大変で(笑)。あのQ&Aはレコード会社を通じて全世界各国から質問を集めたもので、僕も、もしかしたら使ってもらえるかも──ということでいくつか質問を作ったんです。今回のライヴ・アルバムには2014年のサマーソニックの音源/映像が3曲入っているので、それに関しての質問も混ぜておきましたらめでたく採用されました。
最初の質問はワイト島に住む10歳の少女から。他にもボーイ・ジョージからの質問とかもあったので、これはヴァラエティ豊かな形でやっていくんだろうなと思っていたら、だいぶ終盤の方で、司会進行役のマット・エヴェレットから自分の名前が呼ばれてビックリしました。そこの部分のやりとりを大急ぎで翻訳したものがあるので、ご紹介します。

Q:日本人として2014年のサマーソニックのステージが収録されていたのはとても光栄に思います。あの時のことで何か覚えていることは?
アダム:暑かった〜〜! 暑くて蒸し蒸ししていて野外だったのでビショビショ・ベトベトして、とにかく暑かった。
ブライアン:みんなに分かってもらえるかどうか分からないけれど、暑い中では歌うのも演奏するのも大変なんだ。指がブヨブヨになってくるし痛くなってくるので演奏は一苦労だ。
ロジャー:でも、いい面もたくさんあった。お客さんは最高だったし、スタジアムも素晴らしかったし、フェスならではの若いオーディエンスだったこともあって熱気に溢れて何処かに連れて行かれるような気分だった。
アダム:猛暑の厳しさを忘れさせてくれるような大合唱だったし、どの曲も歌ってくれるのが素晴らしかった。

で、こういう流れになるとブライアンは昔話になるんです(笑)。

ブライアン:日本は、僕らにとって昔から特別な国だったんだ。きっと日本人にとって初めての海外からのロック・スターだったんだろう。僕ら自身も慣れてなくて、突然ビートルズになった気がした。
他の質問の中でも<レストランを基準に選ぶとしたら世界のどの街が好きですか?>という問いに<東京!>と即答したり、日本に対して好意的に答えてくれていました。さまざまな国のジャーナリストやファンの方々からの質問が盛り込まれ、限られた時間の中でしたけど、割と日本向けの答えの占めた割合は多かったと思います。

この後『ライヴ・アラウンド・ザ・ワールド』の映像の見所に話題が移り、アダム・ランバートがどんどん貫禄がついてきた様子や、最新ライヴとなったオーストラリアでの森林火災救済チャリティ・イベントでの<ライヴ・エイドの再現>、さらにこれまでの時間経過を色々と考えさせられる映像になっている点などが挙げられた。

増田:来年はクイーン結成50周年。もちろん同じ形でずーっと続いてるバンドではないですけれど、僕自身、個人的に願っているのは、この50周年が過去にスポットを当てるだけのものでは終わって欲しくない──ということです。今回の映像作品をまとめるにあたって、ロジャーがたくさんの自分たちのライヴ映像を見て、この何年の中でいかに自分たちがいいライヴをやっていたかを実感した──という発言もあるんです。そういった流れがある以上、今のバンドの状態の良さを知っているわけですから、この状態で何かしら新しいものを作って欲しいなと思っています。今年はこの現在の状況に応える形で「YOU ARE THE CHAMPIONS」がありましたけれど、純粋に新しいオリジナル曲を。これは無い物ねだり、高望みの贅沢すぎる要望なのかもしれませんが、これを一番願っています。
昨年はこういうトーク・イベントは頻繁に行われていたんですが、今はこういう状況で、なかなか開催自体が難しい。今後、こういう機会が普通に設けられるように工夫していきたいと思います。今日はありがとうございました。(会場大拍手)

休憩後QUEENESSの熱いステージが行われた。

 


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