『見て楽しむアナログ・シンセ図鑑』誌面紹介&特別寄稿

アナログ・シンセの世界へようこそ!

 エマーソン、レイク&パーマー『展覧会の絵』で聴いたモーグのモジュラー・シンセ、リック・ウェイクマン『ヘンリー八世の六人の妻』で鳴り響くMinimoog、YMOの「テクノポリス」で聴いたヴォコーダー(VP-330)の衝撃……。あの頃、世界中の少年少女たちを驚きと憧憬で包み込んだ夢の楽器、アナログ・シンセサイザー。
 ロバート・モーグ博士、冨田勲、キース・エマーソン……今は亡きこのお三方の存在がなかったら、ひょっとしたらこれほどまでにシンセサイザーが発展、普及することもなく、そして現在のミュージック・シーンもまた別の展開を見せていたかもしれません。それほどまでに、シンセサイザーという楽器は現在の音楽シーンに多大な影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。
 さあ、めくるめくアナログ・シンセの世界へ、ご一緒に。

 


『見て楽しむアナログ・シンセ図鑑』に寄せて

本間昭光[作編曲家、キーボーディスト、プロデューサー]

見て楽しい。読んで楽しい。読み終わった後にはソフトシンセではなく、どうしても実機が欲しくなってしまう。ある意味、取り扱い注意な素晴らしい本です(笑)。


立川芳雄[音楽評論家]

私が最初に買ったシンセはローランドのSH-3だったけれど、当時は学生だったんで、親に保証人になってもらい、36回払いの「月賦」で購入。バイトをして毎月お金を払った。さらに、その月賦を払い終わる前にJupiter-4をまた月賦で買うという暴挙にも出たりして……。いま思えば、あの頃、シンセってどうしてあんなに高額だったのか。なんてことを思い出させてくれる楽しい本。アナログ・シンセは「機材」ではなくて「楽器」なのだ。


三柴理[ピアニスト]

美しいフォルムのアナログ・シンセ達が鮮明なカラー写真で楽しめる、携帯にも便利な本です。これはどんな音色が出るのだろう? カッコいいデザインだなぁ……と楽しめます。ピアノを主に弾いている私がこれを読んでいると、1970年代から80年代にかけて活躍したシンセの多くは、同時発音数が1音から2音であったことに驚かされます。和音を鳴らすのも一苦労! 何もかも丁寧に作っていた時代だったんだなぁと、感慨深いです。アコースティック・ピアノを弾く時、色々な声部をタッチによって違う音色に弾き分けるように、シンセサイザーを多重録音する際にも、一つ一つの声部の音色を作り込んで音楽を表現していたのですね。私がミュージシャンとして活動を始めた頃、Oberheim Matrix-12が発売になり、緑に光る電光パネルがとても綺麗で「なんてふっくらしたあたたかい音なんだ」と感動したおぼえがあります。この本に載っているシンセを持っていなくても、説明文からイメージを膨らませたり、動画サイトで実際に弾いている映像を探したりするのも面白そうです。


クジヒロコ[さすらいの鍵盤弾き]

横長で手頃なサイズのページをめくり、特殊な懐中電灯を当てたら写真がボヨーン!と実在化して弾けるように……はならないけど、ぜーんぶ自分のものになったかと思えちゃうおそろしい本です。ソフトシンセしか使ったことのないあなたも、これ眺めながら脳内でツマミをいじるといいぞ! 巻頭の偉大なる先輩お二方の対談も驚きのエピソードの中にシンセの歴史とスペックの進化などがたっぷり盛り込まれていてるので、まずはここを飛ばさずに読み進めることをおすすめします。


SUNNY(サニー)[伴奏、制作、うた]

見て楽しむ。この写真本のサイズがカタログよりも近く、音や感触の想像を掻き立てます。今やソフトシンセ等のお手軽な世の中にあってお気に入りの実機を見つける楽しさ、使い続ける悦びや愛着を若いプレーヤーのみならず鍵盤ファンの方々にも実際にこの本を手に取り感じて欲しいです。楽器の進歩と共に発展してきた様々なジャンルの音楽の変遷を実感しながら、個人的には幼い頃にサッカーの練習着のままショールームやシンセフェアに赴き大人に混じってワクワクしてた頃の想いや匂いを思い出したり……。とても感慨深い一冊に出逢えました。


藤田千章/SING LIKE TALKING

いかん! こんな本を読んだら最後、血がたぎってしょうがないす。シンコーさん、罪だわw


『見て楽しむアナログ・シンセ図鑑』 のご案内

  • 見て楽しむアナログ・シンセ図鑑〈シンコー・ミュージック・ムック〉
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  • 見て楽しむアナログ・シンセ図鑑〈シンコー・ミュージック・ムック〉

    A5変型判 / 128ページ / ¥ 1,980

    あの頃みんな憧れたアナログ・シンセサイザーが大集合!

    60年代末から70年代にかけて、音楽シーンで一世を風靡したアナログ・シンセサイザー。モーグIII-C、ミニモーグ、プロフェット5、オーバーハイム4ヴォイス、ジュピター8などなど、時代を彩った往年の名機、50余機種をオール・カラーで掲載した、タイトル通りの“見て楽しむアナログ・シンセ図鑑”です。
    特別対談:松武秀樹×難波弘之「アナログ・シンセ愛」も掲載!

    キース・エマーソン、リック・ウェイクマン、冨田勲、そしてYMOが愛した名機の数々をたっぷりとご堪能ください。

    【CONTENTS】
    [特別対談]松武秀樹×難波弘之

    モーグ Ⅲc

    見て楽しむアナログ・シンセサイザー

    アープ 2600
    アープ Odyssey
    アープ Quadra
    番外編 アープ Pro Soloust
    番外編 アープ Solina String Ensemble

    コルグ 700S
    コルグ 800DV
    コルグ 770
    コルグ PS-3100
    コルグ MS-20
    コルグ Mono/Poly
    コルグ Polysix
    コルグ Trident

    モーグ Minimoog
    モーグ Sonic 6
    モーグ Polymoog
    モーグ Multimoog
    モーグ Prodigy
    モーグ The Rogue
    モーグ The Source

    オーバーハイム 4 Voice
    オーバーハイム Matrix-12

    ローランド SH-3
    ローランド Jupiter-4
    ローランド System-100M
    ローランド Jupiter-8
    番外編 ローランド VP-330

    シーケンシャル・サーキット Prophet-5
    シーケンシャル・サーキット Prophet-10
    シーケンシャル・サーキット Pro-One
    シーケンシャル・サーキット Prophet-600
    シーケンシャル・サーキット Prophet-T8
    シーケンシャル・サーキット Pro-8
    シーケンシャル・サーキット Multi-Trak

    テスコ S-100F
    テスコ S-110F
    テスコ SX-400

    ヤマハ SY-1
    ヤマハ CS-10
    ヤマハ CS-30
    ヤマハ CS-40M
    ヤマハ CS-60
    ヤマハ SY20

    エーストーン PS-1000

    クローマ Polaris

    ファーストマン FS-4V

    マルチボックス MX-3000

    番外編 オックスフォード・シンセサイザー・カンパニー OSCar

    ローズ Chroma

    用語解説

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