正直に言って、35年後未だ現役でしっかりやっている姿は想像もしていなかった
デュラン・デュラン来日&「MUSIC LIFE Presents デュラン・デュラン」出版を記念したトークショウが、東郷かおる子(元ミュージック・ライフ編集長/音楽評論家)さん、今泉圭姫子(音楽評論家)さんを迎え9月16日に開催された。
詰めかけた満員のファンが見つめる中トークがスタート。初来日以前からデュラン デュランに注目していた東郷さん、当時ほとんどミュージック・ライフ誌の編集者と間違われるくらい編集部や取材現場にいた今泉さんから数々のエピソードが語られた。
東郷:初めてデュラン デュランの存在を知ったのは1982年初来日の前年度、当時のレコード会社の担当者が持ってきた「プラネット・アース」のビデオを編集部の女の子たち4〜5人と見てたら、誰かが“この子可愛い”って指差したのが、画面の端でうつむきながらベースを弾いてるジョン・テイラー。顔を上げる度に“あ、可愛い!”って(笑)。で、ただ可愛いだけじゃダメなんですけど、他の曲を聴いたら「グラビアの美少女」とかもいい曲で、最新アルバムを録音中っていうことだったので、じゃイギリスに飛んで取材しましょう!となって。
今泉:今と違って当時は早かったですよね。
東郷:レコード会社もお金があったし(笑)。で、彼らの地元バーミンガムで取材ということになって彼らがいるスタジオの外で待っていたら、飛び出して来たのがゲゲってなるくらい可愛い男の子で。
今泉:誰?
東郷:ジョン・テイラー(笑)。それを見て私は“ヤッター!表紙にしたら絶対ミュージック・ライフは売れまくる!”って思ったのね。
今泉:本当に可愛かったよね。
東郷:当時まだ18歳で。他のメンバーも可愛いし。
今泉:写真はいいけど実物は…っていうのと違って写真以上に実物がよかった。
東郷:で、アンディ・テイラーかジョンか忘れたんですけど、開口一番に言ったのが“ねぇねぇねぇ、日本ってどこにあるの?”(笑)。
同年、今泉さんはロンドンでデュラン デュランをラジオのDJとして取材。メンバーは“僕たち頑張りま〜す”的な初々しさがあって、みんなで頑張っていこう!というムードに包まれた好印象だったとのこと。その後東郷さんはミュージック・ライフ編集長/音楽評論家として、今泉さんはDJ/音楽評論家として、デュラン デュランとの関係が続く。
東郷:何が一番感慨深いかって、最初に会ってから35年経っていて、ジョン・テイラーちゃんがテイラー氏になって、だいたい美少年は歳を取るとダメになるんですけど、ジョン・テイラーは今でもカッコいいんですよ。むしろ今の方がカッコいいかも。
今泉:全員いい大人になって。
東郷:それがまず嬉しいですよね。
今泉:サイモン・ル・ボンも身体が絞れて(笑)。今やっている「ペイパー・ゴッズ」のツアーは、私が見てきた中でサイモンのヴォーカルの力を一番感じるツアーでバンドとしても本当に素晴らしいコンサートをやっているので武道館はファンの方全員に見てもらいたいぐらいオススメのライヴです。
80年代は日本で洋楽が売れて、デュラン デュラン、カルチャー・クラブ、トンプソン・ツインズ、スパンダー・バレエ、ワム!などスターが沢山出て、ファンもキラキラして、ファッションも明るく、バンドも華やかという言葉がぴったりで、オーラを感じるスターばかり。そしてその象徴ともいえる存在がデュラン デュランだった。
続いて東郷さん、今泉さんから、メンバーそれぞれの印象が話題に上った。
サイモン・ル・ボンはやはりフロントマン。デュラン デュランを象徴する存在。「ボクはスターだ」というスペシャルな人。ただ、ちょっとワインを飲み過ぎるとぐりんぐりんになる(笑)。でも、立っているだけでスター。いい意味で「スターたらんとする努力をする人」。だからジャーナリストには本音や弱みを見せない。
ジョン・テイラーは心遣いのある気持ちの優しい人。デュラン デュランから外れたときも自分の場所を一生懸命求めていた。今泉さんは、“ボクはデュラン デュランを離れて一から始める、ボクもビギナーなんだ”と言った彼の言葉が心に残っているとのこと。面と向き合えるすごく人間的な人、今は更に魅力的になっている。
ロジャー・テイラーは誠実で、“長くやっていく秘訣は?”という質問に、シンプルに“音楽が好きだから、クリエイティヴでいられることがうれしい”と答えた。
ニック・ローズは当時とほぼ変わらない、顔も変わらないし印象も変わらない不思議な人。マイペースな所があって、全員インタビューの中で話を向けると一人だけ関係ない話を延々とする。そこが面白い。何でも完璧に用意をして、50代半ばの今でも未だに金髪&メイク。機嫌がいいんだか悪いんだかわからない人。
アンディ・テイラーはすごく機嫌がいいと思ったら突然泣き出すなど感情の起伏が激しい人、自分のギターにはすごくこだわりがあって他人にギターは触らせなかった。ギタリストとしてのインタビューはとてもよろこんでいた。
最後に、お二人それぞれのデュラン デュラン観を。
東郷:デュラン デュランの全盛期を実体験した私も、正直に言って、35年後未だ現役でしっかりやっている姿は想像もしていなかったし、今デュラン デュランのライヴをこんなにワクワクした気持ちで迎えられるとは、ファンの皆さんもそうだと思いますが、想像はしてなかった。でも、そうできることはもの凄い幸せなことだと思います。
今泉:振り返ると、デビューしてブレイクして、メンバーの離反とかもあった中で、デュラン デュランは形を変えながらもずっと存在していって、私的には彼らが終わる…ということがなく、その時代時代での変化を考えられるグループになっていきました。
最後に質問コーナー、続いて今泉さんからロンドンで買ってきたTシャツがプレゼントされ、大盛り上がりの中イベントは終了した。
MUSIC LIFE Presents デュラン・デュラン のご案内
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MUSIC LIFE Presents デュラン・デュラン〈シンコー・ミュージック・ムック〉
B5判 / 176ページ / ¥ 1,980
9年振りの来日が決まったデュラン・デュランのムックを緊急発売。
14年振りとなる日本武道館公演も開催される日本ツアーの直前に発売するこの本には、メンバー全員最新インタビューを掲載。さらにミュージック・ライフだからこそ撮ることができたなつかしの写真、秘蔵写真を中心に近影までを網羅。
ヒストリー、ディスコグラフィ、インタビュー、音楽性からキャラクター、各種データまで、読み物も充実。
今なお第一線で活躍するデュラン・デュランの魅力の全てが詰まった決定版です。【CONTENTS】
最新インタビュー
9年ぶりの来日、14年ぶりの武道館!! メンバー全員取材スペシャル・インタビュー
今泉圭姫氏が語るデュラン・デュラン写真で振り返る
DURAN DURAN in JAPAN 1982朝から夜まで大追跡
DDの2週間㊙︎スケジュール大公開(1984年来日)HISTORY① 1978⇀1985年
HISTORY② 1986⇀1992年
HISTORY③ 1993⇀2000年
HISTORY④ 2001⇀2009年
HISTORY⑤ 2010⇀2017年INTERVIEWS
1981年 プラネット・アースに降り立ったグラビアの美少年
1982年「日本で一番びっくりしたのが、タクシーの追いかけっこ」
1984年「英国民は僕らがどこで何をしているかを知り尽くしている」
1987年「新しいバンドで新しいスタートを切る、という感じだった」
1989年「それぞれが他の二人を必要としていることを認めなくちゃ」
1990年「誰かを愛しているならば、自由にさせてあげなければ」
1993年「ものごとが起こるには必ず何かの理由がある」
1996年「僕にはフラストレーションはなかった」
2014年「DDの影響下にあるバンドの活躍は、僕らに自信を与えてくれた」
2015年「『ペイパー・ゴッズ』は、ある意味では自伝的な内容かもしれないね」DISCOGRAPHY
スペシャル・コラム
①ニュー・ロマンティックとは何だったのか?
②全米チャート制覇への道
③時代の空気を取り入れながら進化するサウンドの素
④“スタイリッシュなエロス”と“エキゾチシズム”~こだわりの映像あの頃―私とデュラン① 山本さゆり
あの頃―私とデュラン② 矢口清治
あの頃―私とデュラン③ 東郷かおる子