YOUNG GUITAR 2017年10月号:表紙・巻頭特集 高見沢俊彦 最新インタビュー
YOUNG GUITAR:表紙・巻頭特集 高見沢俊彦 最新インタビュー
pic:Chie Kato(CAPS)
Takamiy名義でリリースされた、高見沢俊彦の初ソロ・ベスト・アルバム『美旋律〜BestTune Takamiy〜』。本作は’07年発表の2ndフル『Kaléidoscope』以降の作品からセレクトされた全13曲で構成されているが、既発の音源ではなくヴォーカル・パートを新たに収録し直したリレコーディング音源となっているのが大きなポイントだ。
このベスト盤について、今回高見沢本人に話を聞くことができた。同作の制作に関するトピックはもちろんのこと、’91年のソロ・デビューから現在までに発表された各アルバムやシングルについてもコメントしてくれている。また’00年代後半にメタル・ミュージックへ傾倒し始めた頃の音楽的な理念や、昨今興味が高まっているというジャズ系のプレイについての証言などは、現在の高見沢のギタリスト像を正しく理解する上で必見と言えるだろう。音楽とギターへの愛情に溢れたロング・インタビューを、じっくりと堪能していただきたい。
YG:まずは高見沢さんのソロ・キャリアの原点である1stソロ作『主義-Ism:』についてお聞きします。どういう経緯で制作がスタートしたのでしょうか?
高見沢俊彦(以下TT):発足して間もない頃のヴァージン・ジャパンから、「イギリスでプロデューサーを立てて、アルバムを作ってみませんか?」という話をもらったんですよ。その時は「プロデューサーを立てる」という点に惹かれたので、引き受けることにしました。というのも、日本で作品を作る時はイニシアティヴを自分が握っていたから、外部の人間に料理されるという状況は面白そうだと感じたんですよね。作曲からレコーディングまで、すべてをイギリスでやったんですけど、1枚のアルバムを作るのに何とプロデューサーが4人もいたんですよ!今では考えられない。個別に作業をしなくてはいけないから、午前中に1人のプロデューサーを尋ねて、午後にもう1人、そして次の日はまた別のところに行って…みたいなね(笑)。
YG:とても刺激的な経験だったわけですね。
TT:そう。海外のプロデュースはどんな感じなんだろうという興味も凄くありましたしね。そう言えば、当時のイギリスではみんなMacではなくATARIのコンピュータを使っていたんですよ。それで僕もATARIを買ってみたんですけど、自分にはどうも合わなくて、すぐMacに戻しちゃった(笑)。
YG:そういった機材面も含めて、日本の現場との違いで苦労することも多かったのでは?
TT:いざやってみると本当に大変で、これはえらいことになったと思いましたよ。でも、そこで得たものをTHE ALFEEで活かすことができるだろうとも思っていたので、単身ロンドンに乗り込んで頑張ったんです。そうして『主義-Ism:』が完成したわけですけど、本当は全部で3枚作るつもりだったんですよ。『主義-Ism:』は結構メロウな曲が多かったから、2枚目はハードな曲を中心にして、3枚目はメッセージ性の強い作品にしようという構想があったんですけど、レーベルが売却されてしまい、結局そのプランは消滅しちゃいました。
YG:それから次のソロ作品『Berlin Calling』(’05年のミニ・アルバム)を出すまでに、14年ほどのブランクがありましたね。
TT:そう。14年も空いてしまうと、リセットされたようなものだよね(笑)。その後、’07年に『Kaléidoscope』という2枚目のフル・アルバムを出した頃から、自分の中では本格的にソロ・ワークを再始動させたという感じです。
YG:この作品から、いわゆるハード・ロックなテイストが濃くなりましたよね。
TT:そういう部分も確かにありますけど…
・・・続きはヤング・ギター2017年8月号でお楽しみ下さい。