「ROCK AND READ 075」発売記念として七星(R指定)をゲストに迎えたトーク・イベントが、1月27日新宿自主盤倶楽部にて行われた。司会進行はROCK AND READ吉田編集長が担当。
ヴィジュアル系の一番いい所って、音楽のジャンルじゃない所なんですよ
──ROCK AND READをやってます吉田です、ではR指定の七星さんお願いします。拍手でお迎えください。(場内拍手)。まずは一言もらえますか。
七星:こんなに集まってもらってありがとうございます、よろしくお願いします。
──去年のクリスマスに発売した『ROCK AND READ 075』に出ていただいた七星さんのトーク・イベントなんですが、このインタビューをしたのは11月の終わり頃だったんですね。で、終ったあと七星さんに“ちょっと飲みませんか”って誘われて飲みに行ったんですけど、滅茶苦茶絡まれたんですよ。スゴく熱く、“俺が思うROCK AND READはこうだ!”というのを言ってて、“俺のこと大好きなんですよね? 本当に大好きなんですか?”ってスゴく絡まれたんです(笑)。覚えてます?
七星: その節はすいませんでした。
──覚えてます?
七星: 覚えて…覚えてます。記憶は失くさない──あ、半分くらいですかね。
──9時頃から飲み始めて、店を出たのは深夜3時とかでしたよ。
七星: え!マジっすか?
──詳細は覚えてない?
七星: 半分くらい(笑)。
──R指定には初期の段階からROCK AND READに出てくれ出てくれ──って何度もお願いしてたんですけど、ずっと断られてて、それはなぜだったのか?それもそこで教えてもらったんですけど、今日来てくださったみなさんにもぜひそれを。
七星: 俺、なんて言いました?
──“まだ俺は早い”みたいなことを言ってて、話すことがもうちょっとできてから──って。
七星: そう、そうだと思います。
──それが今回、ついに出てくれて嬉しいんですけど、出てくれた理由──それは俺の出演依頼があまりにうざったかったから(笑)?
七星: いや、そこまで言うなら出ましょう!って。そんなに言ってもらえるんだったら、(場内に)嬉しいやね。
──七星さんはあまり個人で喋る感じじゃないですよね。
七星: 俺、今スゴい緊張してますもん。
──こういう個人イベントも初めて?
七星: 初めてです。
──さっきのお酒の話なんですけど、けっこう飲む方ですか?
七星: けっこう飲む方だと思います。
──ですよね(笑)。だって、この日も5〜6時間飲んでたわけですから。
七星: ずっと飲みっぱなしですか?
──はい。それで“俺はヴィジュアル系をこうしたい、R指定をこうしたい、ついてきてくれますか?”ってずっと熱く語ってて。
七星: あ、いや、もう、その気持ちは今も持ってます。
──普段はどれくらい飲みます?
七星: 頑張れば焼酎一升くらいは、一晩で。
──それちょっとヤバくないですか。
七星: いや、それくらいは、吉田さんは飲めるんっすよね?
──いや、一升は…一回じゃ飲めないですよ。
七星: あ、あれだ吉田さんジントニック飲んでたんだ。
──俺ジントニック飲んでて、なんだかんだで5杯くらいは。実はその日締め切りの仕事があったんで、本当は会社に戻らなきゃいけなかったんだけど、俺が飲み終わると勝手におかわりを注文してるんですよ。
七星: なるほどなるほど。
──で、帰れないっていう状況が続いて、そのまま3時になってしまったと。
七星: いやもう、付き合ってもらってありがとうございます。ホントすいませんでした。
──いやいやいや(笑)、毎日飲むんですか?
七星: 毎日飲みます、風邪ひいた日以外は。でも風邪は酒で治るって持論もあって。でもインフルエンザには勝てないと思います、アルコール消毒は無理だと。
──好きなお酒の種類ってなんですか?
七星: 今は焼酎ばっかり飲んでますね。銘柄は長崎の焼酎で「壱岐スーパーゴールド」っていうのがあって。それと「いいちこ」。長崎は麦焼酎で。「壱岐スーパーゴールド」は一升飲めます、きっと。
──一回で(笑)。
七星: 最近、ちょっと弱くなってきたんですよね。昔だったら飲んでもあんなに鬼絡みすることはなかったんですけど、だんだん(酒に)持っていかれるようになって。
──俺の経験からすると、それを超えるとちょっと安定期に入って、そのうち自分で“これ以上飲んだらヤバイ”ってのが分かってくるんですよ。
七星: セーブできるようになってくる、大人の階段を登る感じですね。
──だって、吐きたくないじゃないすか大人になると(笑)。吐きます?
七星: 帰り道ふらふらになりながら。
親よりメンバーの方が人生的に長い時間過ごしてる
──メンバーとも飲みます?
七星: ないって言ってるんですけど意外とあるんです。“飲みに行こうぜ〜”っていうのは絶対ないけど、結局行ってる店なんてだいたい一緒だから会ったら一緒に飲みます。
──そうやって男同士で飲むっていうのは、相当仲がいいからだと思うんですよ。
七星: 付き合いが長いんで。親よりメンバーの方が人生的に長い時間過ごしてるんです。だから一緒にいても苦痛じゃないっていうか、たまたま居間で親と会ったら一緒に飯を食う…みたいな。
──家族も仲がいい?
七星: 家族って別に会話をしないでも同じ空間で飯を食えるじゃないですか、そんな感覚もあり、喋んなきゃいけない…っていう(かしこまった)空気にはならないんで。
──メンバーとバッタリ出会っても目を合わせずにソッコーで帰ったりするタイプではないんですね。
七星: それはないですね。
──メンバーによって違いますけど、もう9年も一緒にやってるじゃないですか。普通はだんだん飲みに行かなくなるはずなんで、そう考えると、やっぱり仲いいですよね。
七星: そうですね、悪くはないです。
──地方へ行ったら何をしてるんですか?
七星: それこそ<八十八箇所巡礼>のときなんか、飲みに行くにしてももうメンバーしかいないわけですよ。根本的には移動がタイトなスケジュールだったんで、着いたらホテルで一杯だけ飲んで寝るって感じだったんです。移動日で早く着いたときとかはもうどうしようもないから、“じゃ、行く?”って。さすがに生まれましたねその感じは。
──いい話じゃないですか、八十八箇所も廻ってれば当然長く一緒にいるから、仲悪くなるバンドって本当に多いみたいなんですよ。
七星: 八十八箇所、(スケジュールがハードで)けっこう心は折れそうでした。だからこそメンバーと話すことも多くなったし、そのまま飲みに行ってそこでもああでもないこうでもないって話して。
──みんなと飲むときも熱い男になるんですか?
七星: なりますね。全員がじゃなくて、誰かがなったら誰かが退く。
──ライヴのときのフォーメーションみたいじゃないですか。
七星: そうですね、そうかもしれない。
──ちなみに酔っぱらったら誰が一番ヤバイですか?
七星: 一番ヤバイのは赤い人っすね。(場内爆笑)
──赤い人はどうなります?
七星: パーンってなります。
──暴れる人はいないんですか?
七星: そんなに暴れないです、道で相撲取りだしたりはしますけど。
──それ、服着てますよね(笑)。
七星: 服脱ぐときもあります。なぜか裸で夜の街を追いかけっこして走り回ったり…。
──いいじゃないですか、昔のバンドの打ち上げを思い出します。全員飲むんでしたっけ?
七星: 今は全員飲みますね。昔は宏崇は飲めなかったんですけど、飲む機会が増えたからかな。
──じゃ地方に行ったら5人全員で飲むこともあるんですか?
七星: いやぁ滅多にないですけど、たまに奇跡が起きるときがありますね。普段はないです。最初の2年くらいはあったかもしれないけど。
──メンバーと飲んだときはどんな話をするんですか?
七星: 真面目な話をするときもありますし……、でも何の意味もない話しかしないと思います。
──飲んだときの自分の失敗談ってあります?言える範囲で(笑)
七星: もうまさに最近では吉田さんと飲んだとき(笑)。
──いや、迷惑だって思ってないですよ、帰れなくなっただけで(笑)。
七星: いやぁ俺だったら迷惑だと思うなぁ……。
──でも翌日LINEで、“ごめんなさい”ってソッコーで来たんで、いい人だなぁって思ったんですけど。
七星: いや、いい人は鬼絡みしないですから、すみませんでした。
ヴィジュアル系とアイドル
──お酒の話はこれくらいにして──だけど、あのとき“俺はヴィジュアル系をこうしたい”って、本には書けないような話も含め、凄く熱く夢や野望を語っていたんですよ。俺、七星さんを見てて、この人は<パンク・スピリットを持った人だ>とずっと思ってて。見た目とかコロコロ変わるんだけど芯が一本あって、破天荒なイメージで。それは合ってます?
七星: 概ね合ってます。
──そんな七星さんは今、ヴィジュアル系を選んでやってる──その魅力って何だと考えてます?
七星: ヴィジュアル系の一番いい所って音楽のジャンルじゃない所。R指定が好きな人はそのことを一番理解してると思うけど、やってる楽曲って何でもアリだし、一曲の中でも変わっていくし。縛られないって凄くいいことだなと。そのときしたいと思ったことができる──というのは、決められた世界から抜け出せない普通のバンドじゃできないし。それがヴィジュアル系一番のいい所だと思ってます。
──そうですね、言っちゃうと化粧しなくてもヴィジュアル系ってできますから。
七星: そう、そうですね、それもヴィジュアル系のやり方ですね。
──オール・ジャンル、なんでもできる。で、俺、今ROCK AND READと並行してIDOL AND READという本もやってるんですが、R指定がアイドルとよく対バンするっていうのは何がきっかけだったんですか?
七星: 元々は<メンヘラの集い>(R指定主催イベント)ありきで、ヴィジュアル系のメンヘラもいいんですけど、そことやってるばっかりじゃつまんないので、たまたまアイドルという人たちもいるぞ──と、多分そういうことだったと思います。
──ヴィジュアル系と同じようにアイドルも音楽ジャンルじゃないので、パンクもあればメタルも、オルタナティヴも、病んでるのもあるし。ヴィジュアル系とアイドルがもっと融合すればいいのになって思うんですよ。
七星: 融合できるものならしたら面白いと思いますけど。多分それしか好きじゃない人たちの円があるとして、どっちも好きだって重なる円の部分の人を増やしていけば、アイドルもヴィジュアルもお互い得ですよね。
──そう、この前飲んだときもそういうことをずっと話してたんですよ。それとビジネス的なこともこう考えていて──みたいな話もしてて、さすが自分たちだけでやってるだけあって凄いなぁと思ったんです。
七星: 聴いてくれる人を増やさないとやっていけないですから、頑張りたいですよね。
──この間アストロホールでゆるめるモ!とツーマンやってみてどうでした?
七星: ヲタクの人って基本スゴく暖かいって思ってるけど。
──アイドルヲタの方々はサイリウムとか振ってノってくれるんですよね。
七星: バンギャルちゃんのことも受け入れてくれてるなぁって感じました。
──(場内に)ここで俺が言うのもなんですが、是非R指定を窓口に、みなさんもアイドルの方にも足を踏み入れてほしいです。ゆるめるモ!とかぜん君(ぜんぶ君のせいだ。)とかホントいいグループなので。七星さんは今、気になってるアイドルいます?
七星: 今は…変わってないっす。あ、たしかにぜん君カッコいいと思いました。
武道館の夢はあきらめない
──そんなR指定も9周年。そのイベント「-苦執念計画-此の子の九つのお祝いに」が、今二つ終って、これから七つあって、そのうち発表されているのがアジアとゼップ。アジアはどんな感じになりそうですか?
R-Shitei Asia Tour Nine Dragons World
4月20日 THE WALL公館
4月22日 BANDAI NAMCO SHANGHAI BASE
七星: どんな感じになるんですかね、それこそROCK AND READの流れに近いというか、オファーはあっても海外にまったく興味がなかったんで行くことはないかな…と思ってたんですけど、今回9周年ということもあり、いろいろ未体験なこともやっていくんだろうなぁ──と。
──9年経っても、まだ初体験なことができるのっていいですよね。
七星: 尻窄みになるのが普通なのに、まだまだやることいっぱいあるなぁって。
──個人的にも海外は初めて?
七星: 友人の結婚式が海外だったので、去年初めてパスポートを取って行きました。今、“うわ、俺パスポート持ってる!”って感じで、ちょっと嬉しかった。ちょうどそういう時期なんだろうな…って、今回のアジアも。
──ゼップ2デイズについてはいかがです?
Zepp Tokyo
5月5日マモ生誕祭 命日〜五月人形と鯉幟〜
5月6日マモ生誕後夜祭 命日〜五月雨に恋昇り〜
七星: マモの誕生日が近いから…って感じだったんですけど、メンバーの生誕ライヴっていうのを一回もしたことがなくて、初体験のライヴですね。
──生誕を今回やるのは、それも9周年だから?
七星: それが大きな理由だと思います。
──そこまで9周年をやったら10周年はどうするんですか?
七星: 10周年は逆に何もしないんじゃないですか(笑)。基本的に◎◎記念〜とかあまりないんで。そんな感じでいいんじゃないかなって俺は思ってますけど。
──とはいっても9周年で、残り五つが発表されてないんですけど。ここで、言える範囲で…ま、できればそれを若干超えるくらいで…言っちゃうと。
七星: いや──ないです。俺は知らないです。マモの脳内にはあるかもしれないです。自分らのホームページのデザインの作業段階で初めて知ります、“何、これ?”って。
──新曲の「毒廻る」の規制版MVもめちゃめちゃヤバいじゃないですか。本誌のインタビューでも言ってましたけど<武道館の夢はあきらめない>って言ってるバンドは普通アレやらないですよ(笑)。武道館ってコンプライアンスがめちゃめちゃ厳しいんで。
七星: 現状、また断られるだけですからね。さすがに「毒廻る」出すとダメっすよね。でもあれがやりたいことであり、やるべきことだと思ってるんで。それを曲げてまで出ないといけないわけじゃないですもんね。
──そうですよ。日和って路線を変えたりバンド名を変えたりして出ても。
七星: それは根本的に意味がないです。
──武道館ってオリンピックに向けて来年9月から大規模改修に入って、しばらく使えなくなるし、改修後も最初のうちは出たい人の取り合いになるだろうから、たぶんあと5年くらいなかなか取れない状況になると思うんです。それでも武道館をやりたいって宣言したっていうことは、深読みすると、R指定は5年後にも有り続けるって意思があるんだなと。その辺どうですか?
七星: 頑張らせてもらえるなら、頑張りたいですね
──今まで“解散”の“か”の字が出たりすることもあったんですか?
七星: いや、今のところ全くないですね。
──ま、バックヤード的な所を見てても、実際、仲いいですしね。
七星: そうですか?いや、いいつもりは全くないんですけどね。仲いいの?ってよく聞かれますけど、悪くはないけどよくもない──って応え方をしてます。
──あ、長くやってるバンドってけっこう同じこと言いますよ。
七星: なるほど。でも、仲悪くないだけマシかなと思います。面倒くさいですもん、仲悪かったら。楽屋も別にしてくれ──とかなんとか。
──えーと、ではそろそろ時間なので、場内から貰った質問に答えますか。気になったところで、実は同じような質問が2通あって、<家を出て暮らさなければならなくなったので、どうしたらいい物件がさがせるでしょうか?アドバイスをお願いします>というんですけど。
七星: 俺、住居についてメンバー1興味がないんですよ。住めればなんでもいいっていう。でも、夏に虫が入ってくるのはイヤなんで、4階以上がいいかなと。蚊がスゴいイヤなんですよ、恐怖を味わいながら生活する感じなので。
──(笑)全然アドバイスになってないですね。じゃ、あと何か告知的なことはあります?
七星: もうみんな発表されてることばかりなので──ライヴにも来てください。大事な時間をこの2人のトークに使ってもらってありがとうございます。めったにない、もしかしたらもう二度とないかもしれないので、一緒に時間を過ごせてうれしいです。ありがとうございました。(場内大拍手)
──ありがとうございました。
このあと、握手&サイン会が行われた。
IDOL AND READ 012 のご案内
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ROCK AND READ 075
A5判 / 240ページ / ¥ 1,320
ミュージシャンの本音と本心に迫るパーソナルロングインタビュー集『ROCK AND READ』の最新刊(75号)の表紙巻頭は、結成20周年となる2017年をまさに怒涛の1年にしたMUCCのボーカリスト逹瑯が飾る。
信じられないほどの数のリリースとライブを、しかも高密度、高品質で提示してきたが、どうやって逹瑯はモチベーションを維持してきたのか、そして生身の体が武器のボーカリストとしてどうやって1年を乗りきってきたのか。そうしたことにも踏み込んだ2万字ロングインタビューは、ファンはもちろん、ボーカリストも必読だ。さらに、A9の将は、Alice Nine時代初期のようなキラキラ感が今再び出せるようになった経緯を、それまでに起こったバンド最大の窮地を含めてリアルに語ってくれた。
また、LSNのRUKAは、昨年末に活動休止したNIGHTMAREへの思い、そして現在力を注いでいるソロプロジェクトLSNにかける思いを激白してくれた。今回は全10人が完全パーソナルで登場し、これまでよりさらにボリューミーに、パーソナルな部分をより深く追及し、しかも全員がカラーグラビアでの掲載となっている。
【CONTENTS】
逹瑯 MUCC将 A9
RUKA LSN
長谷川 正 Plastic Tree
ギル Angelo
晁直 lynch.
七星 R指定
奈緒 アルルカン
Sacchan DEZERT
ASAGI D