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当日は佐藤竹善さんをゲストに迎え、本書プロデューサー田中の司会によりトークショーが始められた。

これは僕の本というよりは、僕の周りにいる素晴らしい人たちの個性や仲間に対する想いや愛情を改めて知ることができた、僕にとっては宝物の本になったなと思います。

佐藤竹善(以下竹善):お待たせしました、どうも。

ーーお忙しい中、ありがとうございます。昨日は仙台、その前が青森、明日が大阪と。

竹善:あちらこちらへ、“寅さん”状態です(笑)。

ーー今日は、まずこの“丸ごと一冊佐藤竹善本”「シング・ライク・トーキング 佐藤竹善 いつか見た風景 いつか見る風景 ~Keeps Me Runnin’~」について伺いたいのですが、このタイトルの由来というのは?

竹善:誰にも聞かれないので、まだ誰にも言ってませんけど(笑)、「Keeps Me Runnin’」は僕らの曲のタイトルから。「いつか見た風景 いつか見る風景」というのは、自分が小田和正さんをはじめ大先輩から見せてもらった“音楽の理想の世界”、その「いつか見た風景」を自分自身が体験しながら継承し、音楽シーンの中で素敵なアーティストになれればいいな……そして最終的には先輩たちの理想をさらに膨らませた形で自分の中にある夢を実現したい……ということで「いつか見る風景」というタイトルにしました。小さい頃からオフコースとか山下達郎さんとかユーミンさんが活動されているのを見ていて、プロの世界に入りたいと思ったんです。日本ではあの方たちがいなければ僕はプロの世界には魅力を感じなかった。同時にグラミー賞やブリット・アワードなどの成熟した音楽シーンが日本でもできるように、その末端の一助にでもなれるようなミュージシャンになりたいな……という思いも入っています。

ーー手前味噌ですが、この本は多角的に竹善さんの「昔、今、これから」を読める本だと思うのですが、実際でき上がったものをご覧になられていかがでした?

竹善:最初は消極的だったんです。本はもっとスターが作るものだと思うし、小説でも書けばまた違うんでしょうけれど。これはある意味自分の分析本なので、非常におこがましいなという思いが強かったんです。けれど、事務所の枠を超えて、これだけの数のアーティストの方々から素晴らしいインタビューやコメントをいただけたというのは、みなさんが様々な努力をしていただいた結果で、そこにはタイヘンなやりとりがあったと思います。これは僕の本というよりは、僕の周りにいる素晴らしい人たちの個性や仲間に対する想いや愛情を改めて知ることができた、僕にとっては宝物の本になったなと思います。

ーーこの本の編集、そしてインタビューや企画の詳細は兼田達也さんという方がやってらっしゃいまして。

竹善:僕がとても信頼しているライターの方で、客観的にちょうどいい距離感で書いてくださる。文章も音楽評論家的な感じではなく、文学的というか表現力が非常に豊かな方で。同じ歳なんですけど、七つくらい上かと思ってました(笑)。

さらに本書内の企画の話となり、シング・ライク・トーキングに関わっている様々な方の取材エピソードが披露された。新潟で年2回発行されている、内容の濃さで有名な雑誌「cast」の編集者は、インタビュアーが口を挟む間もないくらいシング・ライク・トーキングのことを熱く語り続けたことや、竹善さんがホスト役を務めた東北六魂祭に参加した夏川りみさんの酒豪振りなどの話題から、若手ミュージシャンの起用法にまで話が及んだ。

ーー竹善さんのレコーディングやリハーサルではモニターから聞こえてくるドラムの音がとにかくデカいという話を伺ったのですが。

竹善:ドラムの音が一番大きいです。まずはグルーヴが大事ですから。メロディーやフレーズよりもまずはリズム。リズム/グルーヴがしっかりしていればバラードでもファンクでもどんな音楽でもメロディーに、より説得力が出ます。メロディー楽器だったら音を弾き始めるタイミングよりも、音を切るタイミングにどれだけセンスを出せるかとか。

ーードラムだと「叩いている時よりも拍と拍の間の取り方が重要だ」と言う話を聞いたことがあります。

竹善
:そうですね。実は「無音の間」が音楽ともいえるんで。音と音の間をどれだけ感じられているかというのは凄く大事だと思います。

ーーその話を聞いてから、竹善さんの音楽を聴く時にはドラムに耳が行くんです。そうやって聴くとまた気持ちいいですね。

竹善
:アレンジする時でも、僕の中ではベースとドラムが6割、残りはその上で楽しんで色づけしていくイメージです。極端な話、ドラムとベースだけでも歌えないアレンジじゃダメっていつも思ってます。

この後、ソロ・アルバム『My Symphonic Visions ~CORNERSTONES 6~ feat. 新日本フィルハーモニー交響楽団』の話題に移り、その贅沢な音作り、アルバムの制作費などについても語られ、続いて大好きだと言うラジオの話題になった。

ーー竹善さんといえばラジオですが、各局の重鎮の方々から“竹善くん”的な感じで。

竹善
:付き合いが長いですからね。ラジオ・デビューは86年の終わり頃ですからもう30年になります。最初は青森でやらせてもらって。

ーー今回55分枠の特別番組を作らせてもらったんですが、おしゃべりが流暢というか。

竹善
:ミュージシャン歴より長いですから(笑)。ラジオ自体がすごく好きなので、聞くのも好きですし、特にAMラジオが。

ーー音楽がかからないやつが。

竹善
:好きですね。ずっとFMでしかラジオはやったことがないですけど、喋っている時は頭の中はAMの感覚です。小ぎれいな雰囲気で流れていくオシャレなトークが嫌いなんですよね。AMの人間臭さと、かける音楽の表面的なギャップで、「オシャレな感覚ではないところで、一見オシャレと言われる音楽を聞いて欲しい」という思いがあるんですよ。

ーーMCのノリも基本はそういうところで、普通なら言いにくいこととかもドンドン出していく。

竹善
:「ノッテルか〜!」とか言わないし、「君たちがいるから僕がいるんだぜい!」とか、口が避けても絶対言わない(笑)。

※ラジオ特別番組「シング・ライク・トーキング 佐藤竹善 いつか見た風景 いつか見る風景 ~Keeps Me Runnin’~発売記念スペシャル」のオンエア日程は下記を参照してください。
https://singliketalking.futureartist.net/news/63897

ここで会場から寄せられた質問に竹善さんが“パス無し”で答えるコーナーが始まった。

Q1:真冬の女性のスタイルでどんなものがお好きですか?(オフ・タートル&ブーツとか)
竹善:いいですね、それ(笑)。後はフードの付いたショート・コートとか見てて可愛いらしなと思います。

Q2
:スターダスト・レビューの根本要さんに、「これだけはかなわないこと」と「これだけは負けないこと」を教えてください。
竹善:かなわないことはいっぱいあります。あのバイタリティーとかいっぱい。これは勝てるなと思うのは、僕は人の話を聞けるので(笑)。要さんのMCはトークじゃなくてスピーチと僕は呼んでいます。

Q3
:先日のオーチャード・ホールでのシンフォニック・ライヴのアンコールは「アメイジング・グレイス」に決めていたのですか?
竹善:最初アンコールはやらない予定だったんです。オーケストラで練習した曲は全部本編でやってしまっていたので。ライヴの中盤くらいに思いついたんです。で、ア・カペラで曲の素晴らしさと響きに沿って、この日は6回転調して歌いました。

Q4
:好きな自動車メーカーはどこですか、やっぱりメルセデス?
竹善:18年ずっと同じ車に乗ってますからね。カブリオレ、もうおじいさんですけど、ベンツというよりその車種に一目惚れして買ったので、凄い修理しながら乗ってます。

Q5
:青森市観光大使の竹善さんが、他県から訪れた友人を案内するならどこがオススメですか?
竹善:青森市だったら駅前のワ・ラッセかなあ。ねぶた関連のこととか、郷土の物を展示、販売してます。後はアスパムっていう三角の物産館があって、そこでは毎日定期的に津軽三味線も演奏されてます。

Q6
:ほぼ毎日のように活動されている竹善さんの、元気の源はなんでしょうか?
竹善:「明後日以降の事は考えない」ですね(笑)。毎日、今日と明日の事だけを考えて生きるって感じです。その方が集中しますし、今日と明日の事をちゃんとやれば、その次の日もより上手くいくのかなぁって。特に最近年齢がいってから凄くそう思うようになりました。先の事を考えるよりも今日明日をちゃんとやれば、ちゃんとやった結果でそれ以降もいい結果が出てくる。その積み重ねなんだろうなと。

ーーありがとうございました。

竹善:ありがとうございました。

この後、サイン会が行われた。

佐藤竹善 最新刊のご案内

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  • シング・ライク・トーキング 佐藤竹善 いつか見た風景 いつか見る風景 ~Keeps Me Runnin’~

    A5判 / 208ページ / ¥ 2,547

    シング・ライク・トーキングのボーカリスト/メロディ・メーカーである佐藤竹善の28年にわたるプロとしての音楽家史を、多彩な交友関係や音楽的フォロワー達、メディア関係者等も徹底取材して掘り下げる、初のまるごと一冊竹善本。

    本人への超ロング・インタビューはもちろん、スターダストレビューのボーカリスト根本要と「音楽を続けていくために必要なこと」を語り尽くしたスーパー対談も実現し、なんと小田和正からの寄稿も掲載。
    加えて、佐藤竹善にまつわるアーティスティック・インタビューには葉加瀬太郎、日野皓正、上妻宏光、エスコヤマ、塩谷哲など多種多様なアーティスト達が登場し、それぞれの知られざる佐藤竹善を開陳。
    さらに鈴木雅之、夏川りみ、スキマスイッチ、藤井フミヤ、藤井尚之、服部克久、中村 中、Kiroro、平原綾香、小山薫堂、さかいゆう、Skoop on Somebody、KAN、馬場俊英、中田裕二、クリス・ハート、K、宮田和弥、寺岡呼人、ケイコ・リー、矢井田瞳、押尾コータロー、Fried Pride、駒田一、黒田俊介(コブクロ)、松田弘(サザンオールスターズ)、斎藤誠、クリスタル・ケイらからの愛に溢れたコメント群も一挙掲載。
    この一冊を読めば彼の生む音楽が、さらにさらに大好きになります!

    【CONTENTS】
    伝えるべきこと 小田和正

    第1章 対談 佐藤竹善×根本 要(スターダスト☆レビュー)
    「僕らの伝えるべきこと」

    PHOTO DOCUMENT
    フォト・セッションの夜/光り輝く場所/マイ・プライベート・スタジオ
     
    第2章 「佐藤竹善」を語ろう
    葉加瀬太郎/上妻宏光/日野皓正/大友直人/小山 進/岩代直也/塩谷 哲

    座談会:黒田晃年×加藤久幸×宮崎裕介 「僕らが知っている“佐藤竹善”」

    緊急アンケート 「竹善さん、ちょっと言わせていただきます」その1
    黒田俊介(コブクロ)/平原綾香/スキマスイッチ/松田 弘(サザンオールスターズ)/斎藤 誠/K/馬場俊英/KAN/クリス・ハート
     
    第3章 スタッフだけが知っている「佐藤竹善」
    小西智則(ラジオ・ディレクター)/奈須裕之(ラジオ・プロデューサー)/藁西義徳(レコーディング・エンジニア)/笹川清彦(雑誌「cast」編集者)/高村コータロー(PAエンジニア)

    緊急アンケート 「竹善さん、ちょっと言わせていただきます」その2
    鈴木雅之/SKOOP ON SOMEBODY/クリスタル・ケイ/Kiroro/さかいゆう/ケイコ・リー/shiho(Fried Pride)/小山薫堂/服部克久
     
    第4章 佐藤竹善 語り下ろしロングインタビュー

    ディスコグラフィー
    コラム 「竹善、カバーを語る」

    緊急アンケート 「竹善さん、ちょっと言わせていただきます」その3
    藤井フミヤ/藤井尚之/宮田和弥/寺岡呼人/中田裕二/矢井田 瞳/中村 中/夏川りみ/押尾コータロー/駒田 一
     
    あとがき

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