「BURRN! JAPAN Vol.14」発刊記念のイベント<BURRN! JAPAN Vol.14 制作秘話>が7月4日に阿佐ヶ谷ロフトAにて開催された。登壇者は
広瀬和生(BURRN!編集長)、ライター土屋京輔、増田勇一の両氏。第一部ゲストにGYZEのベーシストAruta、第二部にはNoGoDのヴォーカリストの団長、七弦団員Kyrieを迎えてのトークとなった。

Aruta (GYZE)、団長、Kyrie( NoGoD)を迎えたトークイベント<BURRN! JAPAN Vol.14 制作秘話>の全貌──

増田勇一(以下増田):増田勇一です、よろしくお願いいたします。

広瀬和生(BURRN!編集長 以下広瀬):BURRN! 広瀬です、よろしくお願いいたします。

土屋京輔(以下土屋):土屋京輔です、よろしくお願いいたします。

増田:ということで「BURRN!! JAPAN Vol.14」無事に出ました。ゲストをお呼びする前にその制作の裏話を──いや、その前に乾杯しましょうか。今日、何回も乾杯しますんで(笑)。じゃあ編集長から音頭を。

広瀬:というわけで、何に乾杯しようか…、今日はお集りいただきありがとうございます、じゃ、乾杯!

増田土屋:乾杯! (場内拍手)

広瀬:今日のBURRN!! JAPANのトークイベントは(表紙の)陰陽座抜きで。

土屋:陰陽座はツアーに行ってるので。

広瀬:この間、「PURE ROCK JAPAN」に出てましたね。

土屋:そうですね、僕が主催している「PURE ROCK JAPAN LIVE」が先週の日曜日にありまして、陰陽座に出ていただきまして──っていう話を717日に新宿のNaked Loftでするんですが。

増田:ネタは取っておこうと。

写真左より土屋氏、広瀬編集長、増田氏

土屋:この本の中の話もかなりあるので。

広瀬:「PURE ROCK JAPAN」(の出演順)は最初がSEX MACHINEGUNSで、次がBLINDMAN、その後が摩天楼オペラ。あの順番、MACHINEGUNSが最初っていうのは本人たちの希望ですか?

土屋:僕が決めました。

広瀬:やっぱりああいうバンドが最初だと盛り上がりますよね。

土屋:誰がどこの順番に出てもいいんですけど、それぞれのバンドの魅了が一番出る順番にしよう──といつも思ってるんです。その中でMACHINEGUNSが最初に出る──というのは誰も思ってないでしょうから、バン!って出れば必ず大成功!っていうくらい盛り上がるだろうな…っていう狙いもあって、MACHINEGUNS側に“一番最初に出るのはどう?“って聞いたら、“いいね“って話になって。

広瀬BLINDMANは何年振りだったんですか?

土屋:あのステージは13年ぶり。

広瀬:新しいヴォーカル、なかなかいいですね。

土屋:そうですね…ってBURRN! JAPANの話じゃないんですけど──(笑)。

広瀬:摩天楼オペラは前々回のこのイベントに苑くんが来てくれましたけど、「PURE ROCK〜」での彼らのパフォーマンスはどうでした? 今のラインナップはいい調子ですね。

土屋:そうですね。

広瀬:ギターのJaYくんはいつもあんな感じですか?

土屋:あんな感じって(笑)

広瀬:ギターは超絶に上手いけど……なんかヤル気なさそうで(笑)(場内爆笑) 苑くんがメチャメチャ踊ってる横で…なんかヤル気ないのかなぁ…でもギター超絶上手いなあ…って。

土屋:大丈夫です、ヤル気あります(笑)。

増田:(笑)では話を「BURRN!! JAPAN Vol.14」に戻しますけれど、陰陽座だけで52ページの大ヴォリューム、これは取材総時間どれくらいかかったの?

土屋:インタビューは全部で10時間くらい。

広瀬:瞬火くんはどれくらいやったんですか?

土屋:瞬火さんは、3時間くらいですね。今迄最高6時間っていうのはありましたけど。

増田:間にご飯とか食べてないの?

土屋:ご飯はないけど10分休憩入れました。

増田6時間って、大阪に行って戻ってこれちゃう(笑)。

広瀬:僕もANTHEMの柴田さんと120分テープ3本っていうのはありました、使えたのは60分くらいでしたけけど(笑)。

土屋:瞬火さんはほぼ全部使えるから。逆にカットするのがもったいなくて、この本でも10何ページ載せてるんですけど。

広瀬:僕も何度か経験がありますけど、彼のインタビューは文字に起こしたままちゃんとした文章として使えるから、カットするのは本当にもったいないですね。

土屋:これは読んでくださった方はご存知だと思いますが、彼は何かトラブルがあったときも、余計な先入観を与えないように決してそれをお客さんに言わないんです。掲載された今回の内容に関しても。10年ぶりに語る真実などもありますからね。

広瀬:僕も楽屋で瞬火くんに会ったとき、真っ先に言ったのが、“左頬のタトゥー?にそんなわけがあったとは──”って、土屋さんのインタビュー読んで。

増田:そんな風に後から分かる話が多々あるわけですね。

土屋:そうです、それも僕がその現場を見ていたから、要は僕しかその話はできないわけです。その話を振られたら当然瞬火さんも答えなきゃならない。でも今迄ずっと隠していたのも知ってるから、でも、そろそろこの話もこういうタイミングだからいいじゃない?ってことで話してもらったんです。

増田:たしかにこれだけ長く取材し続けていると、そういう切り口も出て来ますね。

土屋:だから、黒猫さんが骨折していた、という話も今回初めて出て来たんじゃないかな。

広瀬:そういう話は敢えてしたくない、という美学。

土屋:そうですね、後、面白かったのは黒猫さんのインタビューの中で、<人の死を背負ってるんじゃないか>っていう件があって──ヘンな事を言うようですが僕ちょっと霊感体質なので。

増田:見えちゃう系?

土屋:そうらしいです(笑)。

広瀬:今は大丈夫ですか?

土屋:大丈夫です(笑)。でも、完全に見えるわけではなくて多少そういうのがあって、例えばパッと目の前を光が飛んだりすることがあるんですけど、それが実はそういうものらしい。で、“黒猫さんが歌ってるときにそういうのが見える“ってインタビューで言ったら彼女が固まってましたね。

増田:そりゃそうでしょ(笑)。そういうのは黒猫さんが歌ってるときに限って見える?

土屋:そうです、或る曲の…ということで。でも本人が意識してるかどうか分からないんですけど、ま、多分何かしらあるんだろうな…とは思いました。

広瀬:僕は今回NoGoDのインタビューをやりましたけど、増田さんは何でしたっけ?

増田LOUDNESSの山下さんと、MUCCのミヤさん、猫萬珠、GRANRODEO

MAD大内さん、人間椅子。

広瀬:どれが一番気に入ってますか?

増田:えっ?気に入ってる?

広瀬:記事として。

増田:楽しかったのはMAD大内さんの取材、彼は東京都北区が拠点なので。

土屋:モロに赤羽ですね。(場内大爆笑)

増田:以前から彼とは赤羽で飲もうという話をしていたんで、じゃあ折角だからロケ地赤羽ってことで写真も撮って取材しようと。これは楽しかったですね、商店街を歩いてると知り合いだらけなんです。なにしろ彼は、赤羽駅前のお祭りでドラム叩いたりもするんで。彼の叩くドラムで八百屋さんのご主人が北島三郎を歌ったりして(笑)。そういう顔馴染みの方がいっぱいいるので、“おお、MADちゃん!”って声が掛かる。

土屋MADさんのライヴ行くと面白いですよ、色んなバンドやってますから。

増田:最近では中山加奈子さんのソロとかでも叩いてるし。

広瀬:土屋さんは、今回。

土屋:なんといってもAldiousのよっしー(YOSHI)ですね

広瀬:これ、よくインタビュー出てくれましたよね。

土屋Aldiousのリーダーよっしーにしてみればタイミング的にヴォーカルが脱退してギターが出産のために休業と立て続けに発表になった最中だったのでインタビューができるかできないか…っていうところで。

広瀬:僕は絶対にないと思ってたんですけど。

土屋:すごく繊細な話題だったので、インタビューのOKが事務所側から出るのに結構時間がかかりました。最終的には押し切りましたけど。

広瀬:今回BURRN!! JAPAN用の撮影で、こういう感じのよっしーさんの写真珍しいですよね。

土屋:こういう感じで出たことはないと思います。いつものドレスの衣装は今回のツアーから止めてますし。

増田:では、お話が尽きない所ですが、最初のゲストをお呼びしましょうか。土屋さんからご紹介いただけますか。

土屋:ではGYZE(ギゼ)のベーシストAruta(アルタ)さんにご登場いただきましょう。(場内大拍手〜Aruta登場)

 

第一部ゲストコーナー Aruta(GYZE)

 

ArutaGYZEのベーシストArutaです、よろしくお願いいたします。

広瀬Arutaくんは、僕、今日初めてお会いするんですが、貴方のお母さんの知り合いの人を非常によく知っていて(笑)、Arutaって本名なんですね。

Aruta:メッチャ本名です。主に太でAruta。よくアラタって聞き間違えられます。

広瀬:なんでそういう名前になったんですか?

Aruta:なんでですかね、わし座の一等星のアルタイル(七夕の彦星)から取ったっていうんですけど、でもオレ三月生まれなんですよね(場内大爆笑)。

広瀬:お父さんが付けたんですか?それともお母さん。

Aruta:多分母ちゃんだと思います。

広瀬:で、イングヴェイ好きなんだよね。

Aruta:メッチャ好きです。

広瀬:で、なんでベースなんですか?

Aruta:それもよく分からないんですけど、自分が出来ないことに対する憧れかもしれない。イングヴェイが作るベース・ラインが好きなんです。

写真左より土屋氏、Aruta(GYZE)、広瀬編集長、増田氏

増田:あ、すみませんArutaさんを迎えての乾杯を、土屋さんの方から。

土屋710日にGYZEの新作アルバム『ASIAN CHAOS』が発売されます、では、そのリリースを祝して、乾杯!

全員:乾杯!(場内大拍手)

増田:アルバムは前評判も高く、土屋さんは今年のベストの中に入るのは決定的なんじゃないかと。

土屋:そうですね、今年のベスト10に入るアルバムだと思います。前作も良かったんですが、今回のは完全にGYZEの個性を打ち出した完成度の高いアルバムだと思います。おそらく世間一般でもそういう評価になるんじゃないかなと。Arutaくんの手応えはどうですか?

Aruta:バンバンありますね、手応えというか思い入れはこれまで作ってきた4枚のアルバムの中でも一番です

増田:今回はバンドの中でも色々と変革があって。運営面ではリーダー的な役割が凄くはっきりしてきて、そういったことでも思いも新たにしている部分もあるのかなと。

Aruta:正直、そこの思いが乗ってる部分っていうのはありますね。実際(お金とか)回す物を回してる立場なんで。その重みというのは正直ありますし、今迄の人生で一番大きいことかなと思います。

土屋:ディストリビューションも国内はビクターに戻ったんですよね。

Aruta:そうですね、ディレクターと顔と顔をつけ合わせて密なやりとりの仕事ができるところにしたかったし、それまでは別なマネージメント会社があったんですけど、それもなくしてオレがやったる!って。気持ち的には楽は楽ですね。

増田:やることは増えても気持ち的に楽。

Aruta:そうですね、バンドに関することで仕事をしてないと、普段自分が何者だか分からなくなっちゃう。今日もGYZEの看板しょって仕事をするのはメチャ光栄ですし、緊張もしてます。

増田:緊張してるようには見えないけど。ま、この後トークのプロが出てきちゃうからね(笑)。

Aruta:(笑)なんとかその前に。

増田:白く塗りつぶしちゃうからその前に(笑)。

Aruta:名前だけでも覚えて帰ってもらえれば。

土屋:前作(3枚目)を出したレコード会社に移籍したのも、本人言いづらいだろうから僕が言いますけど、インターナショナルなマーケットにアルバムをきちんとリリースする目的があってそこに移ったわけです。ところが何も進まなかった。

増田:結局、バンドが自分たちでやったことだけが進んだんだよね。僕自身、前回のオーストリアのウィーンでの公演を見たんですけど、バンドが全部やってましたものね。

広瀬:今回のビクターでは海外は進みそうなんですか?

Aruta:そうですね、いくつか候補はあったのですが、最終的には自分たちともつながりのあった、ドイツの『Out Of Line Records』と契約することになりました。

広瀬GYZEの今回のアルバム、アートワークや歌詞、タイトルとかを見ても相当海外を意識してると思うんですよ。それがきちんと海外に届けてもらえるのかな…というのが心配で。でもそれは自分たちでやるんだ!っていう気持ちで。

Aruta:そうですね。ヨーロッパでの流通の渡りをつけたのも僕たちですから。

広瀬:そう、自分たちで試行錯誤しながらどんどん自分たちでやって行くというのが蓄積になるのでやっていって欲しいんですけど、今回の音自体は土屋さんも増田さんも言ってる通り、非常に完成度が高いしいい作品だと思うので、まずは聞いてもらうことですよね。

Aruta:ホント、本当にそうなんですよ。

広瀬:歌詞は日本語メインの英語混じりのものだったんですけど、バンドとしてはどうなんですか?英語だけにしようって気持ちはないんですか?

Aruta:バンドリーダーのRyojiが<日本語の響きの美しさをもっと海外に出せたら>と言っていて、歌はデス・ヴォイスなので、旋律ではなくてリズムと響きで勝負しようと思ってます。

広瀬:リズムと響きの塊として届ける感じはありますよね。だから日本語でそのまま行く。

Aruta:むしろ行くべきだと。

広瀬:その言葉のリズム感を聞かせたい。

増田:よく<和のテイスト>って言葉を使いますけど、<和のテイスト>を取り入れてるんじゃなくて、日本人だから出ちゃうものを出していますよね。

Aruta:それ、ホントにメッチャそうです。

増田:味付けに醤油かけちゃうんじゃなくて、元々出てくる味として日本のアイデンティティを出したい。

広瀬:自分は普通にやってるんだけど、海外の人が聞いたら、日本っぽいねって聞こえる──そんな感じだと思うんですよ。

Aruta:それ、理想ですね。

土屋:和風とか和じゃないんですよ、これは聞いていただくと分かるんですけど。

増田:言葉の響きも一つの要素として音の中に組み込まれていると思いますし、言葉として英語だから通じやすいということよりも大事なことだということですね。

Aruta:日本語じゃなきゃ出来ない表現もあったりするので、それは新たに気付きましたね日本語の大事さを。

広瀬:陰陽座なんかそれこそ<和のテイスト>と言われるでしょうけど、彼らのあの歌詞は、耳で聞いただけで理解出来る人はなかなかいないと思うんです。だけどあの響きだから陰陽座の音楽になっているんです。だから彼らは彼らでそうだし、GYZEGYZEでそうだということだと思うんですよね。

増田:向こうのお客さんが日本語で一緒に合唱してくれるのが一番いいんですよね。

Aruta:それはメッチャ夢見ます。

増田:実際そうなんだよね、日本人が簡単な英語で作ったところで大合唱になるかっていうと、そうとも限らないし。でも本当に人気のある曲は日本語だろうが英語だろうが合唱する。

広瀬:アメリカ人が“スコーピオンズの歌詞は英語だけど非常に子どもっぽい”ってよく言うので。

増田:英作文のレベルとして元々英語が母国語じゃない人たちの歌詞なんだよね。

広瀬:そう言われちゃうくらいだったら母国語でやった方が意味がある。

Aruta:そうですね。

増田:この先のプラン、9月にツアーがあって、その先には海外での活動計画もあるんですか?

Aruta:調整中です。

増田:前回のヨーロッパ・ツアーのスケジュールは凄かったものね。

Aruta:でもやってみたらあんまり大したことはないんですよ。40日間で36本。

広瀬:向こうの観客については何かありました?

Aruta:結局、メタラーはメタラーなんだなぁと、細かい好みの違いはあっても、お前らやっぱりメタル好きじゃんって。

土屋GYZEは海外で活動が出来る数少ないバンドなんです。それは貴重ですし。GYZEの活躍を見た下の世代の子たちが<世界的に活動したいな>と思うようなものになって行くといいなぁって思うんです。だってこれだけ海外のフェスに出てるバンドっていないでしょ。

Aruta:ベテランの先輩方は置いておいて──。

土屋:自力で行ってますから。大きいプロダクションが動いて…っていう話じゃなくて。

広瀬:どういう風に進んでいけばメタルのバンドはいいんだろうっていう目標というかモデルケースとして、日本のバンドは難しい所があるんですけれど、その中で切り開いていく一つの例としてGYZEがあるんだろうなと。

Aruta:そうなるように。

広瀬:いや、そうならないと。別にNoGoDでもいいんだけど(笑)。

増田:今、楽屋で汗拭ってますよ(笑)。いや、そういうバンドに、どんどん出てきて欲しいですね。日本のバンドがメタルに限らず、ラウドロックと呼ばれるものも含めて、海外のフェスに出たり、ツアーをするのが珍しくなくなってきていて驚きはしなくなった。でも、その中で自力でやってるってことは凄く価値があることで、それはこの先世の中がどう変わっても生きることですからね。

広瀬:日本って邦楽/洋楽ってジャンル分けがあって、商業ベースに入り込むと絶対邦楽の枠から出れなくなっちゃってる。そうすると自力で──という概念がなくなってくる。80年代に成功したバンドでも商業ベースでの契約の仕方でやってるので、結果として邦楽のバンドが海外で成功してもあのくらい──ということになってしまう。本人たちが海外を目標に…という意識を持っていても、邦楽/洋楽の差が日本の業界の中にはどうしてもある。だとしたら、そんなことは言われずに、日本のバンドもそれぞれの国のレーベルと契約すればいい。

増田:日本のファンがから “あ、GYZEって日本のバンドだったんだ”って言われちゃうくらいの。

Aruta:すっごくそう思います。

増田:色々また考えなきゃ、考えること増えてますね(笑)。その前に9月からの国内ツアーが。

Aruta:ホント、皆さんお願いします。

増田:腰低(笑)!

Aruta:低いっすよ、僕ら見た目はバカみたいな感じですけど腰は本当に低いで

土屋:そうそう、ドラムはHan-nyaっていう方が叩くんですよね。

増田:この方はサポート・メンバーですか?

Aruta:そうです──ね。ま、何人かの方がそのパーソナリティを出さずにHan-nyaとして叩いてもらうので。本を読んでもらった方は分かってくださると思うんですが、ドラムのShujiが今できない状況なので、彼が戻って来る場所を作るために。

増田:新たなキャタクターが定着するのを避けるために、Han-nyaさんという形で。でも面をつけてやるんですか?

Aruta:やるんですけど──正直キツくね?と思ってます。口の周りをカットして呼吸しやすいように…とか(笑)。

増田:ま、でも4人編成のGYZEは楽しみですね。あ、そうそう今回ボーナス・トラックも話題になりそうですね。

全員:あぁあ〜〜。

広瀬:最初気がつかずに聞いてて、途中で、エッって思って。

増田X JAPANの「Forever Love」を。原曲をかなり……

Aruta:壊してます、全然壊してます。

広瀬:あれはYOSHIKIさんは知ってる?

Aruta:どうなんですかね、使用許諾とかの申請はビクターに任せちゃったんで。伝わってたら嬉しいですけど。

広瀬YOSHIKIさんにも聞いて欲しいですね。じゃ、最後土屋さん締めてください。

土屋:とにかく聞いてくれって感じです。Arutaくんどうですか。

Aruta:はい、タイトルは『ASIAN CHAOS』っていうんですけど、その名の通りな楽曲がいっぱい入ってます。僕たちGYZEがすべてかけて、命かけて作ったアルバムなので、配信でも何でも色んな形で聞けますので一曲でも聞いていただけたら心から嬉しいです、よろしくお願いいたします。(場内大拍手)

増田:帰ったらGYZEのサイトをチェックしてください。言い残したことはないですか?

Aruta:ライヴ来てください(笑)、東京は98日渋谷CYCLONEで。1019日西川口でやります。

増田:ということで、Arutaさんありがとうございました。(場内大拍手)

 

第二部ゲストコーナー 団長、Kyrie(NoGoD)

写真左より土屋氏、Kyrie(NoGoD)、団長(NoGoD)、広瀬編集長、Aruta(GYZE)、増田氏

増田:まずはArutaさんをお呼びして、第二部も加わっていただきます。(Aruta入場して増田さんとサイド・ステージへ)

土屋:では、お待ちかねのNoGoDのお二人を、団長、Kyrieさん!(場内大拍手)

団長:ヘヴィメタルおじさん、やって参りました。よろしくお願いいたします。

Kyrie:なんか掘炬燵みたいだね

団長:だってここはJAPANなんだから堀炬燵くらいあるさ。

Kyrie:ここに靴で上がっていいかどうか悩むね。

団長:そういうところは日本人だね

増田:じゃあまず、お飲物注文して乾杯しましょう。

団長:強い酒くださ〜い。

Kyrie:ハイボールを

団長:みなさんがどんどん飲んで食べていただけると、ヘヴィメタルを結果的に救うことになりますから。

Kyrie:ポテトが熱い。

団長:熱い?揚げたてだから、それがLoftのいいとこじゃねえか。で、ヘヴィメタルっていったら、やっぱり強い酒。

Kyrie:アルコール原液で。

団長:そりゃ消毒だよ。Kyrieさんとこうやって二人で話すのってインストア・イベントくらいしかないもんね。やっぱりこう音楽の話を、音符の話とか。

Kyrie:ト音記号とか。

団長:今日はヘヴィメタルの話をさせていただけるというので来ました。

(ここで強いお酒Hard Rock Caféのグラスに入ったテキーラが到着)

増田:じゃ団長自ら乾杯の音頭を取ってもらっていいですか。

団長:俺が冠さんから受け継いだThe冠的なヤツを、みなさんグラスをお持ちください。ではBURRN! JAPAN発売おめでとうございます、(ハイトーンのシャウトで)カンパ〜~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜イ!!!! (場内大拍手)

団長:よろしくお願いします。

広瀬:よろしくお願いしますよ、で、METALは頭にアクセントのタルって言ってる?それとも平板にメル? アクセントはどっち?

団長:俺、普通にタルって言ってますけど。

広瀬:僕はメルだけどねぇ。

増田タル?

Aruta:メルっす。

団長:どっちが正解ですか、土屋さんは。

土屋:どっちが正解っていうか、世代によってタルって言う人とメルって言うのが。

増田:今、若手の間ではタルって言うのが主流になってきてますね。

広瀬:あっ、やっぱり。

KyrieHEAVY METALだとタルになるけど、普通にMETALだとメルになる

団長:どっちがいいんですかね、BURRN!的には統一した方が。

広瀬:なんか、令和も頭にアクセントと平板と、両方あって。

団長:あぁぁぁ〜そうか。

広瀬:どっちも正解らしい。だからそれでいいんじゃないかな。

団長タルでもメルでも、正解はどちらでも。でもメタルシーンでは発音は大事じゃないですか、昔はARCHENEMYはアークエネミーだったよね。気づいたらみんなアーチエネミーって言ってるし。だって最初レコードの帯にカタカナでアークエネミーって書いてあったもの。

広瀬:Queensrÿcheも最初クイーンズライチ。ずっとそのままだったけど、いつからかクイーンズライクに。あれって本人が発音するのを聞いて、えっ!そうだったんだってなって。

KyrieDIMMU BORGIRはディム・ボガーって言ってたのが『アブラハダブラ』からディム・ボルギルに。

団長:なんかロシアの肉料理みたい。(場内大爆笑)

Kyrie:カタカナの名前が違ってるから別の人だと思ったら、読み方が変わった同じ人だったり。

広瀬HAREM SCAREMハーレムスキャーレムの昔のベーシストが最初ドナヒューって言ってたのがドナヘイだったらしくて。

団長:だってKyrieさんは未だにリエさんかキエさんか? どっちか浮ついてますよね(笑)。

Kyrie:浮ついてるんじゃなくてふらついてるって言うだろ(笑)

広瀬:どっちが正しいの?

Kyrie:自分で言うときはキエって言いますね。

広瀬:今回のBURRN! JAPANの話に行っていい? 団長のインタビューで、地元じゃダメだからって岩槻から東京へ出てくる話があって。

団長:やっぱそれは幾三さん先生の…東京でメタルする──っていう。

広瀬:でも岩槻は通えるし。

団長:ぶっちゃけ電車で4045分くらい。

土屋:東武野田線?

団長:いや、これが東武伊勢崎線なんですよ。今はスカイツリーライン?(場内大爆笑)

広瀬:野田線はアーバンパークライン。田舎の公園

団長:あのネーミングは未だに許せないっすね。

Kyrie:でも、お前ずっと埼玉の高速鉄道使ってたじゃん。

団長:地下鉄ね、だけどそれパーソナル過ぎるよ、もっとエンターテイメントしろよ。

土屋:埼玉高速鉄道ってポール・ギルバートも使ってたよ。

団長:ええっ!ポールもですか

土屋:ポール・ギルバートは駒込に住んでた。

団長:マジっすか!

広瀬:で、BURRN! JAPAN に載ってたKyrieくんのインタビューどう思いました?

団長:いや、俺の話ばっかりすんなよ〜(笑)、ほぼ俺のことのインタビューじゃないかよって。

広瀬:愛が。

団長:愛があったねぇ。

広瀬:書けないことはカット。

団長:あったんですね。

広瀬:結構ありました。

団長:カンベンしてくれ、お前。広瀬さんは書けない話でも言っちゃうんだから。

広瀬:「LOUD PARK」と「PUNKSPRING」が重なったとしたら、団長は「PUNKSPRING」に行く人間だ、という。

団長:これは事実です。

広瀬:それの言い方が、Kyrieくん吐き捨てるように言ったので。

団長:おーい!

広瀬:“アイツ、メタルじゃないですから”って。

Kyrie:本人も、誰よりも、“NoGoDはメタルだ”って言うんですよ。

団長:そりゃあ言うよ。俺、パンクは苦手なんだよ、得意なのは筋少(筋肉少女帯)だけですよ。

Kyrie:筋少とSEX MACHINEGUNSと冠さん。

団長:十分でしょ。

広瀬:この間の「PURE ROCK JAPAN」の楽屋でANCHANGにも伝えましたけど、団長が、ANCHANGの<文句があるなら武道館に出てから言え>って言葉をリスペクトしてて。

団長:これは俺がANCHANGさんのコラムを見て凄い影響を受けた言葉はなんです。<自分たちは今回のツアー・ファイナルを武道館でやるけど、未だにコミック・メタル云々と言われます──。でもご意見はもっともなのでご意見のある方は武道館のステージに立ってから言ってください>っていうのを見て、自分はNoGoDを諦めずに続けられた──っていうのがあったんです。

広瀬:その話をANCHANGに言ったら、“いやぁそんな生意気なこと言ってましたね…”って。因にMACHINEGUNSとかとは交流はあるんですか?

団長:最近、しっかり絡ませていただける機会が増えまして、<SEX GoD tour>で、SEX MACHINEGUNSNoGoDのツーマンツアーで回らせていただいたりとか。本当は、<SEXGoD>でやりたかったんですけど、冠さんは俳優業も忙しいからなかなかタイミングが合わず。

広瀬:劇団☆新感線も公演が長いからね。

団長ANCHANGさんの “冠はニュースクールの、キッズに寄ってるからなぁ”って一言もあって。(笑)

Kyrie:ネタですけどね。

団長:冠さんはハードコアの人たちとも仲がいいじゃないですか。やっぱり京都の出身っていうのもあって、ROTTENGRAFFTYとか、他にも色んな所に顔を効かせるというか。

広瀬:僕は劇団☆新感線で会った時しか話はしないんですけど。

団長:それは俳優 冠 徹弥。

Kyrie:だって俺「メタルマクベス」観に行ったもの。

広瀬:どうでした?

Kyrie:いや、凄かったです、素晴らしかったです「メタルマクベス」。あのグルグル廻のも。ステージが360度なので客席が色んな方向を向いて、色んな所にステージがあって、情景が変わると向きが変わって。

広瀬:だから、あれは走り回って大変なんだって。

Kyrie:転換がメチャクチャ大変そうで、それも4時間から5時間の芝居で。

広瀬:それを一日二回。

Kyrie:朝公演、夜公演。

団長:そうやってメタルを一般層に広げようとしている冠さんの姿勢は凄くリスペクトできるんですよ。

広瀬:だから団長もやってよ。

団長:やりたいんですけど、メタル界隈からは色物として見られるんですよ。

広瀬:そんなことないって。インタビュー中で割愛しましたけど、団長の言葉の中でよかったのは、<お前ら輸入盤買いにdiskunionに行けるくせに日本の若手バンドを見に来ない!>

団長:元々CDを持ってるにもかかわらずTシャツと一緒に売ってると買うANGRAとか、ま、もちろんANGRAは最高のバンドだけどね。

Kyrie:僕、邦楽聞かなかったからね。

団長:こういう、こういうヤツ大っきらい! じゃぁお前、「にこにこぷん」で洋楽流れたか? 邦楽だろっ! 「みんなのうた」って邦楽だろ? そういうことだよ! 「マザーグース」じゃねぇ、童謡だろ、我々は日本に生まれ日本でやってる以上、ジャパンの血が流れてるんだよ。

増田:さっきGYZEで、日本の血を大事にしよう…って言ってたのと重みが全然違う(笑)。(場内大爆笑)

団長:そういう話をしてたんですか?

Aruta:マインドは一緒です。 

団長:いや、しかしBURRN! JAPANなんて雑誌よく作りましたね。

広瀬:最初に作ったのは増田さん。僕がBURRN!に入る前、87年の話。

団長:既にあったんですね。

増田:最初に出た頃は半年に一回のペースで、6冊作ったところで僕が人事異動でMUSIC LIFEに移っちゃったので。

広瀬:増田さんがいなくなってそのまま消滅してたのを、何年か前に僕が復活させた。

団長:広瀬さんがBURRN!の編集長になってなかったら、俺たちなんか一生BURRN!に出れなかったよな、あれだけ読んだのにな。

Kyrie:だと思いますよ。

広瀬:僕はNoGoD好きだから。(場内から歓声)

団長:これを全国のヘヴィメタル・ファンに捧げたいですよ。BURRN!が言えばそれは法律と一緒だから。

広瀬:意外と僕の発言って重味ないみたいよ。影響力ないみたい。だって編集後記で “陰陽座とNoGoDが好きだ”って言ってる段階で偏見のない人間だと分かるはずなのに、未だにいわゆる正統派しか聴かない人間だと思われていて、僕にしてみれば、陰陽座もNoGoDも正統派だから。じゃ、逆にNoGoDのどこがオチャラケてると思われてるわけ?

団長:俺です!(場内爆笑)

広瀬:中島みゆきだってラジオDJのときはあれほどオチャラケてるけど、歌はああじゃない。分けて考えればいいのにね。

団長:そうですよね、プライベートと作品は。

Kyrie:インタビューでも話させてもらいましたけど、作品とキャラクターの乖離は僕らはしょうがない。でも、かといってこの(団長)キャラクターを封じ込めたところで、多分何も面白くないし。

広瀬:ある程度乖離してるのがいいと思うんだけど、乖離はちょっとマズいんじゃないか…って発言がKyrieくんの発言の中にあって、どこまで許容するのかって。

Kyrie:要はそれが一番よく響く場所ってどういう所だろう──ってことで。だからうちとかはコンセプト的なもので、彼(団長)は道化として、それこそキング・ダイアモンドみたいなスタンスが似合うんじゃないか──っていう話はしたりして。

広瀬:でもキング・ダイアモンドは普段こんな喋り方はしない…。

団長:そうなんですかね。

広瀬:分からない、してるかもしれない(笑)。

団長:家族の前では。

広瀬:家族の前では…。

増田:想像するとおかしいよね、キング・ダイアモンドがメタルかメタルかでモメてるのって(場内爆笑)。

広瀬Kyrieくんのインタビューに “歌がちゃんと歌えないと単なるピエロですから”っていうのがあって、<歌が上手いピエロ>ってとこが大事ですよね。

団長:これは頑張るしかないよ、もう14年やってるんですけど──やっぱどうしてもエゴサーチとか好きなので、未だに新しい自分のPVとか上がるとコメントとか見るんですよ。そこで、結構 “化粧しなきゃいいのに“とか言われるんですけど。

広瀬:化粧しなきゃいいのに──っていうのは素顔がカッコ良くて(場内大爆笑)

団長:そうですね、そうです。

Kyrie:それ悪口です(笑)。

広瀬:だって、それ素顔を知らない人が言ってるわけでしょ。だったら素顔見せてやるぜ!って言ってみたら。

増田:(場内に)あの、NoGoDは団長が素顔で活動したらいいのに──と思われる方正直に手を挙げてみてください。

団長:おお〜〜、テメエ!!!いやぁ、でもやっぱり素顔でうちの音楽をやったら曲の世界が強すぎて、普通の人がこういう歌を歌っても──っていう風になっちゃう。だって80年代のL.A.メタルだってああいう風に格好を派手にしてパーティ感を出してるからパーティ・メタルがハマるというか、やっぱりそういう演出がヘヴィメタルには…(Kyrieが小声で耳打ち)、え、ハイボール? 俺に言わないで。俺は店員じゃないんだから(場内爆笑) ま、いや、だから、激しい音楽にはルックスとかエンターテイメントとかは大事かなって。

広瀬:陰陽座が最初出てきた頃、なんであんな格好をしてるんだ?って言う人はいたけど、これだけやってきたら陰陽座は素顔でやった方がいいって全然思わないでしょ。それと同じで、そこういう格好をしてるから…って偏見を持つ人はいるんだけど、これだけやってきたらもう陰陽座が素顔でやった方がいいって全然思わないでしょ。キッスみたいにメイクしてる時期と素顔の時期があっても、やっぱり思い入れがあって一般的なイメージはメイクしてる時期。

増田:やっぱりそうなりますよね、キッスの場合あれがオリジナルだってイメージが強いし。

広瀬NoGoDはヴィジュアル系というイメージでのメイクなんですか?

団長:メイクしてるメタルバンドっていっぱいいたじゃないですか、もちろんキッスだし、アリス・クーパーやキング・ダイアモンドも。俺からするとスリップ・ノットとかも、エンタメ・ロックとヘヴィな音が融合すると面白いじゃないですか。ショウとして感動できる。ライヴを観に行く理由ってやっぱり浮世離れしたものを見たいからっていうのがあると思うし、だからメイクや衣装は大事かなと思ってたんです。

広瀬:日本の場合って特殊なのはエンタメとしての化粧じゃなくて、ヴィジュアル系ってジャンルとしての化粧。

団長:ヴィジュアル系っていう言葉があまりにも浸透しすぎて…早くなくなっちまえばいいのにあの言葉──って思ってて。今の時代、ヴィジュアル系って言葉はアレルギーでしかなくて、今日ここに集まってくださったメタル好きの方々はヴィジュアル系って聞くと怪訝な顔をされると思うんですよ。90年代ヴィジュアル系を世に送り出した人たちから後の世代はダサかったんですよね。音楽やエンタメはそっちのけ、ただ単に化粧をしただけという存在に成り下がってる下手クソが多かった。Kyrieさんなんてドリーム・シアター、ジョン・ペトルーシが好きだから7弦ギターを使ってたのに、“え、これって弦多くないっすか?”とか言うのもいて、とにかく幼稚だったよね、学芸会の延長みたいなバンドばっかりで。化粧をしてヴィジュアル系って名乗るとそこそこお客さんがついて──甘やかされてた。

Kyrie:僕らも最初、そのヴィジュアル系というフィールドでやろうとしたっていうのは、そのルートがあるからこそというのもあるんで一概にそれが弊害ともいえないんですよ。やっぱり自分たちがやってる音楽は凄く好きでも、ライヴワーク、運営というか活動していく上でもう行き詰まっちゃう感じがすごくあって、それを打開するのに、ライヴに積極的に足を運んでくれる人たちがいる場所を──というのが当時でいうヴィジュアル系って所だったんです。

団長:そうそうそう。

広瀬:ヴィジュアル系のフィールドしかライヴをやる場所がなかったってよく言いますよね。

KyrieMACHINEGUNSがそうだったって聞いてます。逆に言うと来てくれるから、音楽的、エンタテイメント的な所をあまり大事にしてないバンドさんでもライヴができてしまう、お客さんを呼べてしまうという状況があったんでしょうけど。

広瀬:団長のインタビューの中で、化粧をし始めたら、“そういうことするんだったら、そういうハコに出てくれ──”って言った心の狭い人がいた…って話。そんなことだからダメなんだよね。

団長:今から156年前なんですけど、じゃあ白塗りします!ってヴィジュアル系のハコに行ったら、“お前らヴィジュアル系バカにしてるのか!”って言われて行き場をなくしましたから。みんな、それぞれ守りたい様式美があるのは分かるんですよ。

広瀬:でも、それが狭すぎるんだよね。

団長:俺たちはその様式美の中で収まりきらないから外に出たのに、そっちはそっちでこっちの様式に合わせろって言うのは──アートの表現を狭める。ライヴハウスの人が言うことじゃないだろうって思ったんですけどね。雑誌のグラビアを見て、こんなの流行ってるんだ──って言ってましたけど、バンド名はプライドがあるので変えませんでした。とにかく目立ちたかったし、他とは真逆のことをやりました。烏合の衆になりたくなかったし、それがロックの最初の精神だと思うので。

土屋:人とは違うことをしたい。

団長:そして自分の表現をしたい。それ、アーティストはみんなあると思うんです。

 

この辺りからKyrieが団長のキャップを取って自分で被ったり、自分の帽子を団長に被せたりと悪戯を始め場内は大爆笑、そこに団長が怒りをあらわに「メタルの老害」を糾弾、広瀬編集長も加わりさらに話が混乱(笑)。

 

団長:いや、だから広瀬さんみたいな人がいなかったら、俺ら若手がBURRN!みたいな大きいメディアに出ることはなかったと思う。

広瀬:いや、だから僕が思ってるのは、アメリカもイギリスも自分の国の地元のバンドがあるからこそシーンが大きくなったわけで、特にアメリカなんかは70年代は<年に一度来るレッド・ツエッペリンよりも近くにいるエアロスミス>って具合に、おそらく80年代も<年に一度来るジューダス・プリーストよりも地元にいるモトリー・クルー>だったり。そういう考え方がどうして日本はできないのか? だから団長が言ってた<お前ら輸入盤買いにdiskunionに行けるくせに日本の若手バンドを見に来ない。お前ら一生LOUDNESS聞いてろ!>というのと同じ。それは凄く分かる。

団長:最近、世間がメタルに対して少しは寛容になったな──と思うんです、雑誌も増えたじゃないですか、でも俺等はそういうちゃんとしたメタル専門誌や情報誌で載るのはBURRN!さんぐらい。色んな雑誌を見てると未だに偏ってるなとは思うんですよ、こういう特集をするんだったら、これも引っ張ってこいよ!って人選が多くて、やっぱり大御所を引きずってるんですよ。

広瀬BURRN! JAPANだって結局オジさんが多く買ってる実態はある。

Kyrie:オジさん…って(笑)、お兄さんでいいじゃないですか。

団長:メタラーって30代からなんですよ、それまではキッズって言い方に変わっちゃって、もう生まれが違うんですよ。そういう方たちってBURRN!とかヘヴィメタルの雑誌に触れる機会がほとんどないんですよ、それが悲しいし。

増田:情報だけでよくなっちゃってるんだよね。インタビューや作品の背景とかじゃなく。

広瀬:でも、そうなんだよね、BURRN! BURRN! JAPANを熱心に読んでくれてるのは年配の人。

団長:そういう方が熱心に長く聞き続けて、ファンでいてくれるというのは先輩のバンド──。でも、年配の方は一度聞かなくなってもまた戻ってきてくれるじゃないですか、若い子は薄情ですよ、全部韓流と2.5次元へ行きましたからね。(場内大爆笑)

Kyrie:でも、僕らはバンド単位なんで──結局メタルが好きとかロックが好きとかっていうより、バンドが好きで応援してくださる方がいらっしゃるから、あまり業界全体の浮き沈みみたいなものをやっていて意識することはないんですよ。ライヴに来てくださる方やCD買ってくださる方々も、ヴィジュアル系が好きだろうと好きじゃなかろうと、ヘヴィメタルが好きだろうと好きじゃなかろうとNoGoDが好きだと応援してくださる。

広瀬:そうそうそう、だからNoGoDっていうジャンルに。

団長:ならないとよくないなと思いますし。

Kyrie:そうそう、僕らは流行のジャンルやどこかにカテゴライズされるバンドになりたいとも思わないので、一個のバンドとして聞いてくださる方は見てくださるので。でも雑誌やメディアを見てるとそういうショウビズを感じることは多々あります。

広瀬:僕自身曲単位で聞いて、ジャンルで好きになったことがない。だからNoGoDの音楽が好きで、陰陽座やNoGoDがどこに属するのかは関係ない。元々、L.A.メタルだから好き──というのじゃなく、モトリー・クルーの曲が好きだったり、アイアン・メイデンの曲が好きだったり、ANTHEMの曲が好きだったり──ということ。僕自身がそうなので分からないんですよ。

Kyrie:僕もそうなんですけど、リスナー側はみんなそうだと思うんです。僕も中学の頃ドリーム・シアターを好きになって、そこから繋がって聞いたラッシュやメタリカも好きになった──というだけで、別にそのジャンルが何かってことじゃない。だってラッシュはプログレッシヴ・ロックの重鎮ですし、片やメタリカはスラッシュ・メタル四天王って言われてるくらいですから。ジャンルに括り付けるとバンドの本質が全く見えなくなってくることが結構あって。

広瀬:その辺のジャンルを超えることは、大雑把にいうと西洋の人たちは簡単にできる。でも日本人って一旦頭の中に入ったカテゴライズはずっと入ってる。

Kyrie:そうですね、ライヴとかやってるとそういう文化の違いは如実に感じます。

増田:ただちょっと変わりつつあるのかなぁってところもあって。今はそのジャンルが細分化してるでしょ、ヘヴィメタルっていってたものが、なんちゃらメタルっていっぱい増えたわけですよ。で、初めて聞く洋楽がブラックメタルだった──ということになるじゃないですか。昔、僕らの世代はラジオで色んなポップスがかかってる中でヘヴィメタルがあって、“あ、これカッコいいね”ってなったわけですよ。色んなものがある中で発見した。だけども一番極端なものから聞き始めるというのが一時期凄く増えた。その後、今変わってきてるのが音楽の聴き方がSpotifyとか定額制で色んなものが聞けるようになったでしょ、あれはむしろラジオに近いと思うから。

広瀬:たしかに。

増田:ああいう中から、“え、何コレ?”って反応するようなところが出てくると思うんですよ。

Kyrie:あれって面白いのは親和性のあるアーティストがどんどん出てくるじゃないですか。僕もApple Music使ってるので関連性のあるアーティストを見るんですけど、NoGoDはどこにもつながらないですね。

団長:俺も思った。GoogleNoGoDを検索すると、このバンドを検索している人はこれでも検索しています──と出るんだけど全然ピンとこないものばかり。

Kyrie:団長が個人の仕事で一緒させてもらった人はいても、一緒にライヴをやったこともなければ──っていう。

増田:個人の仕事って闇営業?(場内爆笑)

Kyrie:不思議なのはNoGoDの同世代で近しいところで活動してる、○○○オペラ(場内爆笑)、NoGoDからiTune musicで関連性のあるアーティスト検索すると摩天楼オペラは出てくるんですよ、あ、言っちゃった(笑)。それで摩天楼オペラのところに行くと、DaizyStripperが出てくる。でも、そこをず〜っと辿ってみても、どこにもNoGoDはいない。

団長:俺、未だに自分の曲凄い聞くんですよ、凄く好きで。でも他に似てるものがいないんですよ。

広瀬:確かに。

団長:そろそろ似たようなフォロワーのバンドが生まれてきてもいいはずなんですよ。ライヴの現場で若い子から、“高校の頃NoGoDコピーしてました!”って言われるんです。でも全然白塗りしてくれないですからね。(場内大爆笑)

広瀬:でも、それはさ、陰陽座好きだからってあの格好をしないのと一緒で。

団長:そうですよね、でも陰陽座に憧れて女性ヴォーカルが目立つバンドって凄い多いじゃないですか、よくFUKIちゃんが公言してますけど。でもいないよね〜。

Kyrie:でも、“凄い好きです”って言われたときに、ありがとうございます…って言って、何が好きだったんだろう?って見て思うときって結構ある。

団長:あるね。俺たちのスピリットまでは届いてなかったんだな──って思うとしょうがない…。

Kyrie:もうちょっと頑張らないとなって。

広瀬:もうじき15周年になるわけで。

団長:はい、来年で。

広瀬:来年には武道館に出ないと。

団長:今からクラウドファンディングしたら500万円できるかな…。

Kyrie:問題はクラウドファンディングしてまで武道館でライヴをしたいかどうかで。

団長:(即座に)した〜い!!!メッチャしたい。平日でもしたい。

Kyrie:そっか、初耳だった。そこまでしてしたいんだ。

団長:だって、V系の同期の人間も頑張って武道館まではやるんですよ。バンドマンの夢じゃないですか、90年代に生きてたら武道館は一度は立ちたいステージなんですよ。

Kyrie:ゴメン、立ちたいと思ったことがない。(苦笑)

団長:俺は立ちたいから、同席してもらっていいですか。(場内大拍手)お願いします、俺が立ってるから、いいの。だからみんな無理してやってるんですよ。で、今はTwitterとかってエグい世界で、こんなくらいかな武道館は…っていうのが見えると胸が痛くなるんですよ。要はヴィジュアル系ブームの時は、その人たちの音楽では武道館には立てなかったってことが証明されちゃうところがあって、それは悔しいんですよ。

増田:歌手でデビューした人が<紅白歌合戦>に出るというのが一つのステイタスとしてあるわけじゃないですか。同じようにバンドやってる人が武道館を経験することに価値を感じるか感じないかってことですよね。

Kyrie:感じるヤツと感じないヤツが一緒のバンドにいるんですよ。

団長:だから、ギャラ払うから同席してもらってもいいですか。武道館は同席有りの相席有りでいいんで、たまたまギター持っていて弾いてくれれば、相席で偶然会っただけでいいんで。

Kyrie:じゃあ団長のソロ・コンサートを武道館でやったら。

団長:いや、それは俺が富豪の娘、この国を牛耳る財閥の娘と結婚したら。俺ひとりじゃちょっと無理があるので。これは一回先輩に言ってもらった言葉で、俺たちは<滲むジャンル>にいる──と。ジャンルが色んなところに重なって滲んじゃって明確にラベリングできないけれども、そこに新しいラベル、自分たちのラベルができる可能性もあると。で、それと話は違うんですが、ガールズ・メタル・バンドは大人をプッシュして業界を盛り上げようとするシーンがあったんですよ。なのに同じ世代である男のバンドはなぜ見てくれないんだろう──というのもあって

増田:団長が女装すれば。

団長:でも、すっげーブスですよ。

Kyrie:本を出したときに女装したんですよ、メッチャ、ブスでしたよ。

団長:お前、やめろよ。でも、女性メタル最近優遇されすぎですよ。

広瀬:優遇されてるって言うけど、でも、お客さん入ってないじゃん。

Kyrie:でも注目度は。

増田:あの、すみませんビール2つお願いします!

団長SHOW-YAさんのやってる「NAONYAON」っていいイベントだなぁって思うんですよ。だからそういう括りで、<白塗り野音>とか。

増田:そんな、客の入らない二丁目の店みたいなのは(笑)

土屋:いや、だからそれは団長が仕切って。

増田:白塗りの先駆者として。

団長:先駆者──ったって、えぇ〜俺っすか? だって呼べるバンドっていったって、ジェ○○○○○○と、ニューロティカさんと。

増田:キッスを呼べ。

団長:いやいやいや、だって高いでしょ?キッス兄さん(場内大爆笑)

Kyrie:白塗りしなかったら安くいけたり。

団長:だから、ま、BURRN! JAPANはシーンに風穴を開けたと思うんですよ。

広瀬:そうだ、そうだ。

土屋:え、どこが。

団長:いや、だって、じゃなかったら俺たちメタル・バンドとして取り上げられない、一生色モノとして取り上げられるんですよ。だって結局音楽ってミーハーじゃないですか、ファッションだから。やっぱ表面的に売れてるものにどんどん人は行くし。

増田:だからメディアにとってキャッチーな存在ってあるわけですよ。その時代に、これを食べとけば美味しいよ──っていうのはあって。だからNoGodもこの荒波を乗り越えて、白塗りの先駆者として新しい時代を作っていけばいいじゃないですか。

団長:閣下辺りは、そろそろ<白塗りBURRN!>というのを。表紙は閣下と俺と人間椅子の鈴木さんで。(場内大爆笑&大拍手)

増田:白バックで写真を撮るとマズい(笑)。

Kyrie:何も写らない。でも本当に人間椅子は正にそれで、僕らの知らないような時代の荒波を乗り越えて、今。

増田:それこそメディアで今、キャッチーな存在になっていて。

広瀬:一時期から考えるとあり得ない感じ、ビックリですよね。

団長:俺、人間椅子が変わる瞬間を生で見たんすよ。OZZ FESTの初日、ももクロで和嶋さんがギターを弾いていて、ももクロのファンたちは知らないお爺さんが弾いてるな…って感じだったんですが、二日目、みんな人間椅子なんかまるで興味ない、それこそ流行のニュー・スクールの方に興味が行ってたのに、演奏が終わったら人間椅子のステージにアンコールが起きたんですよ。鳴り止まない拍手が続いたのを見て、俺は人間椅子がずっと好きだったから、いい音楽を、信念を持って続けてたバンドはちゃんと評価を受けるんだ!っていう瞬間を生で見ちゃったから、なまじ白塗りは止められないですよね。

Kyrie30年の中では流行り廃りやムーブメントも色々あっただろうし、氷河期も経験した上で、それでも自分たちが一番いいと思うものをやり続けたときに、それがちゃんとお客さんに響いた瞬間を見た──となったら、やっぱりそれが一番アーティスト冥利には尽きるかなという気持ちはしますね。

団長:そこに行くしかない

Kyrie:どこまで行っても僕たちがやることだけは変わらない──というところだけは持ってないと。

土屋:今回のBURRN! JAPANでいうと、NoGoDの位置というのはキャッチーな存在として僕ら側スタッフとしては捉えていて

Kyrie:キャッチーな存在って何ですか?

土屋:ここの位置にいて欲しい、みんなの目を惹き付ける存在で。

団長:中継ぎだね、でも中継ぎが仕事しないと試合は組めないから、4回辺りから頑張るっていうやつ。そういうポジションでいいですよ、俺たちはメイン・ストリームで表紙を飾れるバンドにはなれなくても。

広瀬:いや、なった方がいいよ。

団長:なった方がいいんですけど、自分たちはそこに重きは置いてない。

Kyrie:いや、今、俺たちが表紙になる雑誌って何だろうって思っちゃいますよ。団長:何だろうなぁ「????」(場内爆笑)、「???」「白塗りBURRN!

増田:その時代の表紙になるっていうよりは、表紙にしなきゃならないような存在にならなきゃいけない──、ということで結構いい時間になってしましましたので、今後の告知があれば。

団長:あります、詳しくはwebで(笑)。え〜〜〜と、これからも頑張ります、BURRN!読者の皆さん、NoGoDの応援よろしくお願いします!(場内大拍手)

 

この後、恒例のプレゼント・タイムとなり、GYZE、NoGoD それぞれが掲載されたBURRN! JAPANの刷り見本にサインを入れたもの、またGYZE、NoGoDのグッズ、CD、私物(笑)が提供され、Aruta、団長、Kyrieと場内とのジャンケン大会でプレゼントされた。

 

増田:みなさん、ありがとうございました。では、最後に言いそびれたこともあるかと思いますので、まずはNoGoD団長から一言。

団長:今回はこういったトークライヴに呼んでいただき、本当に光栄でございます、ありがとうございました。NoGoDは今後もヘヴィメタルの皮を被りながら楽しいウルサい音楽をやっていこうかなと思いますので、この国の重金属音楽を愛する皆様 、応援していただければ幸いです。よろしくお願いします。(場内大拍手)

増田GYZEArutaさんからも。

Aruta:トークイベントありがとうございました、こういうイベント初めてなので緊張しましたが、すごい楽しませてもらいました、ありがとうございます。(場内大拍手)

増田:ということで、編集長、次のBURRN! JAPANは。

広瀬:そうなんですよね、割とすぐ来ます、9月……。

増田9月目標で今動いております。

広瀬9月目標、頑張ってくださいね土屋さん。

土屋:えっ? ね。

広瀬:また次の表紙巻頭、土屋さんで。

土屋:そうですね──後で話しますけど。

増田:後ほど我々はプチ編集会議などをしたいと思います。というわけでお楽しみいただけましたでしょうか?(場内大拍手)ありがとうございます、では最後、編集長締めていただければ。

広瀬:いやぁ今日は全く対照的な二人で(場内爆笑)、こういう組み合わせでよかったと思います。で、次のBURRN! JAPAN9月予定なんですけど、本誌BURRN!は今年35周年、こちらも応援のほうよろしくお願いいたします、ありがとうございました。(場内大拍手)

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    山下昌良(LOUDNESS)
    柴田直人(ANTHEM)
    GYZE

    NoGoD
    ★団長
    ★Kyrie

    ミヤ(MUCC)
    猫曼珠
    首振りDolls
    GRANRODEO
    大内“MAD”貴雅
    鈴木研一(人間椅子)
    Yoshi(aldious)

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