4月8日、IDOL AND READ 042発売記念トークショー&サイン会が、ゲストにRAYの内山結愛さん、月海まおさんを迎えて書泉ブックタワーにて開催された。
司会進行はIDOL AND READ吉田編集長が担当。

ツアー・ファイナルはこの日一番のRAYを、みんなの心にずっと枯れない花として残したいと思っています


「Seasons」の楽曲それぞれへの思い

 

吉田:今回の「IDOL AND READ 042」では四季をテーマにしたRAYの4曲入りEP『Seasons』のことも伺っているんですが、リリースされてから反響はどうですか?

月海まお(以下月海):みんな、秋曲の「sunset hurts」がメッチャいいって言ってくれてて、それが嬉しかったです、自分もこの4曲の中ではみんなも結構好きかなと思ってたので。

吉田:インタビューの時、メンバー全員に好きな曲を聞いたら「春なんてずっと来なけりゃいいのに」が一番人気だったんですけどね。内山さんは当然エゴサしまくったと思うんですけど(笑)、どうでした?

内山結愛(以下内山):エゴサの鬼なんで(笑)。なんかEP全体がボディブローのようにじわじわとみんなに効いてるような印象です。私は「sunset hurts」がこんなに人気になると思ってなかったんですけど、一度インスタでアンケートを取ったら「sunset hurts」で埋め尽くされていて。逆に「春なんて~」はすでにお披露目されていた曲なので、みんなにとって新鮮味がないのか感想が少なかったから、 EPのリリースイベントとかでは“「春なんて~」もメッチャいい曲なんで、みんなもう一回思い出してごらん…”って言ってました。

吉田:じゃあ月海さん「sunset hurts」のいいところを。

月海:秋らしさ──外で夕日を見ながら歩いているときに聞きたくなるようなテンポ感と、サビ前の歌詞の語感がメッチャ良くて。そこをみんな歌ってみて欲しい。サビも色んなハモリがあるので、そこを聴き比べてみて欲しいです。

吉田:他の曲はどうですか? 夏曲の「アップサイドダウン」、冬曲の「冬の手紙、末筆」。

月海:「アップサイドダウン」はメッチャ可愛い曲で、振りもお披露目しましたがメッチャ可愛くて、RAYの中でも一番可愛いレベル。しかも私、真ん中にいることが多いので可愛く踊らせていただいてます。サビのリズムと振りのリズムが歌っても踊ってもメッチャ気持ちいい。真似しやすいので、みんな踊りも真似してください。「冬の手紙、末筆」は、元のヴァージョンもいいんですけど「末筆ヴァージョン」はまた深みが増したし、自分は雪が積もっている佐渡島で育ったのでその雰囲気を思い出しました。

吉田:今度は内山さんが他の3曲を紹介してください。

内山:「春なんて~」はイントロの構成が巧みで、春の嵐が、歌が入ると一転してメンタルが不安定な春の情緒の世界になるのが大好きです。

吉田:RAYっぽい曲ですよね。

内山:そうですね。RAYの曲をずっと作ってくださっているハタユウスケさん(cruyff in the bedroom)のハタ節全開で、RAYらしいシューゲーザーの曲だと思います。夏曲の「アップサイドダウン」は可愛いいんですけど、間奏でめちゃくちゃノイズが入るところはみんなバキバキの眼で踊ってるソロ・ダンスみたいで、あまり普段やらない構成で面白いと思います。「冬の手紙、末筆」も最後の部分はしずくちゃん(琴山)のカッコいい英語の台詞が入ってます、まだみんな解読できてないんですけど(笑)。冬の生命力が落ちていく感じが沁みます。初めて聴いたときは鈴の音がクリスマスっぽいところもあって冬だなぁとも思いました。

 

BELLRING少女ハートとのスプリット・ツアー

 

吉田:そんな『Seasons』が出て、収録曲はもうライヴでも結構やってます。

内山:そうなんですけど、今RAYがピンチで。メンバー編成は5人が完全体なんですけど、基本3人で、4人になったり──、「アップサイドダウン」とかはまだ4回くらいしか披露してない。

月海:完全体は2回くらいしか。

吉田:ベルハー(BELLRING少女ハート)とのスプリット・ツアーはどうでした?

月海:ベルハーちゃんもヲタちゃん(ファン)も“盛り上がるぜ!”って熱量がスゴくて。RAYも熱量のある曲の見せ方とかにすごい影響されて、さらに盛り上がるようなパフォーマンスができればいいな──っていう感覚がありました。

内山:盛り上がりでいうと、一番最近の名古屋の時は我々とファンのみんなの熱気が凄すぎて、湿気で虹が出てたんですよ、ヤバ過ぎるくらい。去年末の埼玉でも床がみんなの汁でビチョビチョになって(笑)。普段のRAYの熱量以上のものをベルハーちゃんは届けてたので、スゴく刺激を受けました。

月海:今の体制のベルハーちゃんのお披露目の時にRAYは呼んでいただいて。そこから仲良くさせていただいてます。

内山:グループの歴史ではベルハーさんは先輩なんですけど、気持ち的には切磋琢磨している仲間というかライバルというか。

吉田:ツアー中のエピソードはありますか?

月海:福岡で一緒に水炊きとか美味しいものをたくさん食べて、みんなと話して楽しかったです。

内山:その時、やっと一緒に食べられて。ツアー中は楽屋も一緒になることが多かったから、いい意味で普段一緒にいるメンバーと変わらない感じで。無言の時はみんな無言で、喋る時は一斉に喋って、本当に居心地のいい、良い関係になれてよかったと思います。

吉田:出番前はRAYはあまり緊張しない?

月海:普通に緊張しますよ。人前に出るのはメチャ緊張しますね。RAYはそれぞれ個々に準備するんですけどベルハーちゃんはみんな一緒にっていうイメージ、“モモ上げ”を皆んなで一緒にやって。

吉田:月海さんはギターも得意ですけど、ツアーにはギターを持っていかないんですか?

月海:ギターはメッチャ大荷物になるので、飛行機とかで移動する時は、持っていきたいけど持っていけない。

 

当日プレゼントされたミニZINEの中身は?

 

吉田:なるほど。では今日みなさんにプレゼントしたミニZINEですが、お2人のおすすめ本が4冊ずつ紹介されてます。時間が短いので、ざっくりどんな観点から選んだか話していただけますか? 月海さんは、まずびっくりしたのが、山本直樹の『レッド』。ハードな革命を描いたもの。

月海:結構ハードです、もちろん自分はその時代(1969 – 1972)には生きてなくて、若者がメッチャ政治に関心があった頃。分厚くて続きもありますが漫画なので読みやすくて、この時代を肌で感じられる作品だと思います。登場人物もデフォルメされずにリアルです、当時の学生の感じでドキュメンタリーを観てるような感じで面白いです。『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』は、『ち。-地球の運動について-』で有名な魚豊さんの本で、『ち。~』とは全然違ってリアルな現代の話で非正規雇用の男の子の物語。そこで悩んでいろんな行動をするんですけど、現代ならではの格差とかが見える物語です。

吉田:4冊全部について聞きたいですけど時間もないので、次は内山さん。

内山:オードリーの若林正恭さんのラジオを毎週聴いていて、若林さんの思考とかが好きでこのエッセイ本『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』を選びました。オードリーさんの今に至るまでの道筋みたいなドラマを見てさらに熱が入って、私と似てるところもあって思考が手にとるようにわかって、例えば自意識過剰でスタバに行ってグランデって言えない──とか共通項を見つけて。カズオ・イシグロさんの『わたしを離さないで」は、テレビドラマで知って。他にも映画や舞台になったんですけど、人間なんだけど、人間じゃないような扱いをされて──奇妙なんです。それがどんどん紐解かれていって伏線回収していく物語が面白いですし、私、〈胸くそ悪いストーリー〉が好きで、良いものも悪いものもずっと尾を引いて残る──というツボを突いてくる話。胸くそが悪いっていうか、希望がなくて、それが辛すぎてずっと印象に残っている作品で、ここに挙げました。

吉田:ちなみに2人とも本は結構読みます?

内山:今はあんまり読めてないですけど、メッチャ好きです。

月海:今は全然読めてないんですけど、自分は漫画はなんとなく苦手で活字ばっかり読んでるタイプで、卒業してから逆に漫画を読むようにはなりました。小中高とずっと活字で、佐渡島は大きいので移動中とかに読んでました。

 

 


内山結愛主催毎月対バン・ライヴ

 

吉田:CD屋さんも行きます?

月海:CD屋さんも佐渡島にはTSUTAYAしかなかったので、ネットで聴いたり借りたり。サブスクもあったんですけど高校の頃は日本のアーティストさんはあんまり入ってなくて、インディーズ・バンドが好きだったけど売ってなかったし、ネットで取り寄せて聴くっていう感じでした。

吉田:内山さんはnoteにアルバムレビューを毎日あげる〈一日一アルバム〉もありますけど。

内山:高校の頃は買ったり借りたりでTSUTAYAを愛用していて、今はサブスクと、ライヴに行ってバンドさんの物販でサブスクにない音楽を買うとか。本当にメッチャ好きなのはあった時に買ったりとか。noteの方でもレビューをしてるんですけど、そこでは最初diskunionで気になるものを買ったり聴いたりしてました。

吉田:その〈一日一アルバム〉の流れで、内山さんは今、プロデュース・ライヴをやっているんですよね。

内山:今年の1月から、私が対バンを選んだりの制作一式をするライヴ「内山結愛主催毎月対バン」を始めてます。純粋に自分が心からいいと思った音楽にみんなに出会ってもらえるといいなと。RAYがいつもトリなんですけどバンドさんの熱を引き継いで、私たちも普段出ないようなパワーが届けられたらいいので、色んな化学反応があるんじゃないかと思っています。

吉田:月海さん、内山プロデュース・ライヴはいかがですか。

月海:毎月テーマがあってバンドさんをお呼びしていて、そのテーマが毎回面白くて、このテーマだとこういう人たちが呼ばれるんだっていうのもあるし、自分も結愛ちゃんと趣味が似てる部分があるので、対バンしたかったバンドさんと一緒にできたり、知らなかった音楽に出会えて、RAYのみんなと一緒に楽しんでいるって感じです。

吉田:連日ライヴが続いてますけど、そこについてはどうです?

内山:肉体疲労、身体はバキバキではありますけど、私たちに付いてくる皆さんもヤバイ、スゴい。

吉田:この後ツアー・ファイナルが5月4日の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンになりますけど、改めてその日に対しての思いや意気込みを。

月海:5人体制はこの日が最後だし、ベルハーちゃんと走ってきたツアーの集大成なので、それも感じて欲しいし、5人体制最後だけど私は笑顔で終わりたいと思ってるので、みんなをたくさん笑顔にさせてその思い出をキレイにプリントアウト/保存して、素敵な公演にしたいと思っています。

内山:「IDOL AND READ」のインタビューでも〈この5人は奇跡の5人〉と繰り返して言っているんですけれど、本当に私も心からそう思っていて、その5人でできるこの日一番のRAYをみんなの心にずっと枯れない花として残したいと思っています。よろしくお願いします

吉田:そこでRAYが終わるわけじゃないので、5人体制の歴史に残るライヴをやりつつ、未来に向かっていくRAYでいて欲しいなっていう感じです。では時間になったので。

内山:ありがとうございました。

月海:ありがとうございました。

(場内大拍手)

この後サイン会&特典会が行われた。

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