人間椅子が表紙巻頭を飾った『ヘドバン Premium Vol.2』の発売記念トーク・イベントが、1月23日LOFT9 Shibuyaにて開催された。今回のテーマは同誌に掲載された「100の質問」の回答を、3人であれこれ徹底深掘りしていこうというもの。司会はヘドバンの梅沢編集長が担当。3人が話し始めると〈音楽話は全く抜き〉状態で抱腹絶倒のやりとりが始まり、最初の質問で予定時間の半分近くを使ってしまったため100問は無理な状態に。今回はその中からエピソード満載の盛り上がりを見せたQ&Aをいくつかセレクトしてレポート。

〈音楽話は全く抜き〉状態の抱腹絶倒トーク・イベント。100(予定)のQ&Aから選りすぐりをご紹介!


Q:好きだったアイドル

和嶋:大学に入った頃に番組「夕焼けニャンニャン」が始まり、初期は国生さゆりさんとか渡辺美奈代さんとかの王道メンバーじゃない人がよかったので、今回選んだのはおニャン子クラブの初期メンバーの福永恵規さん(1曲シングルを出したけどあまりヒットせず)、永田ルリ子さん(シングルは出していないが文字が可愛いので彼女のフォント『ルリール』が流行った)、あと生稲晃子さん(水着写真掲載のアイドル雑誌別冊も購入)。昨年出した自選詩集「無情のスキャット」のトークイベントの際に漁った古い資料の中から、なぜか生稲さんの当時の住所が書いてあったステッカーを発見、なぜ書かれたのかは謎で、ちょうど生稲さんが外務政務官になられたので、“しっかりやってくださいね”ってお祝いの電話をしようかと思った(笑)。

鈴木:和嶋くんが一番熱量があったのは熊田曜子さんだと思うんだけど。

和嶋:それ20年くらい前の話、写真集もDVDも買いましたよ。

ノブ:俺が人間椅子に入った時(2004年)、熊田曜子さん一直線だったもの。

和嶋:だからアイドルは30代まで引っ張ってましたね。

梅沢:鈴木さんのアイドルは岡田有希子、石井めぐみ、三浦理恵子。石井めぐみさんだけちょっと古いですね。

鈴木:テレビドラマ「噂の刑事トミーとマツ」(1979年)の婦人警官役。本当に暇つぶしに見るような刑事もの、今だったら絶対放送NGみたいな内容で(ナヨナヨした国広富之が、“お前なんか、お◯こお◯なのトミコだ!”と言われると急に力が湧いてきて犯人を逮捕する設定)、そこに出てくる婦人警官がなんか地味で清楚な感じが可愛くて。

梅沢:三浦理恵子さんは。

鈴木:レッド・ウォーリアーズのダイヤモンド☆ユカイさんと結婚して、僕はファンをやめた。

和嶋:正統的なやめ方ですね。グループでしたよね、CoCoのメンバーでしたっけ? レコーディングの時に会ったのは?

鈴木:それは永作博美さんがいたribbon。三人組なのに会った時は一人いなかったので、その子のサインはマネージャーが書いてた。

和嶋:でも同じレコーディング・スタジオにアイドルがいてとりあえず感動しましたよね。

鈴木:ローリング・ストーンズとかビートルズとか、好きなバンドのLPって全部持っていそうでちょっと欠けてたりするでしょ、僕は岡田有希子さんのLPは全部持ってます。

全員:へぇ~~~。

梅沢:そこまで好きだったんですね。

鈴木:いや、そうでもないんだけど(笑)。

和嶋:鈴木君はロックのレコードもいっぱい持ってたけど、アイドルのレコードもいっぱい持ってた、聴かせてもらいに行ったもん。俺、おニャン子クラブが好きって言っても全然レコード持ってなかった。

鈴木:おニャン子クラブのジャケットのひどいところは、全員が同時に揃うことがないから、集合写真に明らかに別に何人か撮ったものをくっつけて。

和嶋:ゆうゆ(岩居由紀子)がそうでしたよね。アルバム・ジャケットなのにそのコラージュの比率とかがすごく変で、ひとしきり笑えたのを思い出しました。

鈴木:和嶋君はうちに来てひとしきり突っ込んで帰っていくんだよね、この扇風機の箱の文字が間違っている──とか。言われて初めて気がついた。文字に関してすごく拘りがあって、文字に何かあると突っ込むよね。〈葬儀屋の謳い文句がすごい変だ〉ってレコーディング最中、ずっと言ってたよね。

和嶋:〈星空のざわめき~〉じゃ浮かばれないでしょ。

梅沢:じゃあ、次はノブさん。

ノブ:僕のはいいんじゃないですか。

梅沢:せっかくだから、河合奈保子さん。(写真を投影)

全員:あ~いいですね~昭和のアイドル。

鈴木:高い声が出て、すごく歌が上手い。

和嶋:上手い方ですよ。マンドリン・クラブだった。

鈴木:さすが詳しい。

梅沢:同じ系列で柏原芳恵さん。

全員:いいですね~。

梅沢:この辺の共通項は水着だし巨乳で。

ノブ:この二人だけで共通項って、僕ももう一人書いてるじゃないですか、田中好子さん。僕はお三方ともレコードとかは知らないんですけど。共通項は……ぽっちゃりしてる……僕はぽっちゃりしてる方、大好きなんで。

和嶋:キャンディーズの中ではぽっちゃり。(藤村)美樹ちゃんはスレンダー。

鈴木:僕、美樹ちゃん派。

ノブ:じゃあ(伊藤)蘭ちゃんですか?

和嶋:まぁ……そうかなぁ……でもこれが大人になるとちょっと変わるんですよ。小学生の頃はピンクレディのミーちゃんが健康的で好きだったのが、おじさんになると断然ケイちゃんなんですよ。これなんでだろう。

鈴木:自分もそう。

和嶋:当時も大人の人はケイちゃん好きだった。

ノブ:こういった話になると2人(和嶋、鈴木)からすごい熱量を感じるんです。僕はそこまでではないんです、他の人もそんなに知らないし。その頃はアイドルというよりアニメの方が好きで。アニメの女性じゃなくてアニメが好きだった。「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」とか。みんなが学校でアイドルの話をしてる時、僕は家でセル画を描いてましたから。

全員:へぇ~。

ノブ:だからアイドルって言われて思い浮かぶのは数人しかいなくて、紐解くとこういう方々で。で、これは昔から〈アイドルとか手の届かない人たちより同級生の方が絶対可愛い〉ってずっと言ってました。

和嶋:たしかに、その通りですけど、それを言うと身も蓋もないというか。アイドルを好きな人はそこにイメージを持つのも楽しいんです。

ノブ:分かります、分かります。僕はその頃、たまたま先にアニメを好きになったんで、そちらを掘り下げてしまった。

鈴木:人間椅子初代ドラマーの外崎力君もアニメが好きだった。「鉄格子黙示録」とか全然違うドラムパターンだった。

和嶋:ドラムやる人はアニメが好きでリアリスト。

鈴木:覚えて、います~か~♫、飯島真理「愛・覚えていますか」。こんなにいい曲が世の中さあるんだべか……って思ってたさ。

ノブ:そういう意味では、僕は歌ってる声優さん、例えば潘恵子さん、堀江美都子さんとかすっごい好きだった。ちょっとした握手会とか行ったことありますよ。

和嶋:そっちに行ったんですね。

ノブ:だから完全にオタクの方だったんですよ。

梅沢:お二人はアニメは?

和嶋:全然興味ないですね。ちょうどガンダムが流行った頃だったけど。

鈴木:ガンダムもエヴァンゲリオンも全部一緒に見えるもの。

和嶋:その頃からロック、洋楽に興味が行ったから。

鈴木:ジャイアント・ロボは好きだったけどね。

 

最初の質問で40分くらいを費やして“これだと10問くらいで終わりそうです”と梅沢さん。続く「好きな男優」「好きな女優」の質問が終わった段階でノブさんは“今日、この会やってよかったですね、二人の知らないところすごく知れて”と一言。この後、下記の質問が挙げられた。
Q:好きな歌謡曲Q:好きなドラマQ:好きな食べ物Q:好きなラーメンQ:最近感動したことはQ:初恋は何歳
この後の流れの中で異様な盛り上がりを見せたのが下記の質問。

 

Q:生まれ変わったら男と女どっちがいい?

梅沢:鈴木さんだけ「女」なんですよ。

鈴木:絶対「女」がいい。

ノブ:俺も「女」って書いてる。

梅沢:本当だ、ノブさんはどんな理由があって?

ノブ:単純に。できれば可愛い子ちゃんがいいんですけど、あらゆる人に甘えまくりたい、可愛い子ちゃんとしてちやほやされたい。で、手玉に取りたいですね男を。

和嶋:男からしたら最悪なことかも。

梅沢:鈴木さんはなぜ?

鈴木:女の人に生まれたら城田優(好きな男優)と付き合うことができる。

和嶋:それは思いつきで言ってる?

鈴木:城田優と付き合って尽くしてみたい。

ノブ:尽くす女性になりそうだものね。

鈴木:そっちがいいですね。

ノブ:料理とかも上手いし。オダギリジョー(好きな男優)は?

鈴木:にも尽くしたい。

ノブ:今、すごくいい顔した、女性を感じた。

梅沢:鈴木さんが城田優にそこまでとは。

鈴木:カッコいいじゃないですか、歌も上手いし、色白いし、背高いし、肩幅広いし、いいとこずくめ。

和嶋:(鈴木さんを指差しながら)色白いし、背高いし、肩幅広いし。

鈴木:いや、こういうんじゃなくて、一般的なああいう人に生まれたかったな。

和嶋:僕は「男」なんですね、即答ですけど、次も次も次も男でいたいかな。別に差別してるつもりはないんですけど、自分で何か表現したい、行動したいって気持ちがあるから。もちろん女性だって作家、漫画家とかたくさんいらっしゃいますけど、男ならではの力強い表現というか、決断とかそういうものをするためには男じゃなければできない、男性的表現をしたいということですかね。(鈴木さんに)女性に生まれ変わりたいと聞いてびっくりしたんですよ、それは考えたこともない。

ノブ:意外と即答でしたね。

鈴木:(和嶋さんに)なんだったら付き合いますか?

梅沢:ぎゃはははは(場内ざわめく)。

和嶋:来世でお願いしますよ。

鈴木:料理、洗濯、掃除、全部やりますよ。

和嶋:ただ、俺、来世でオダギリジョーさんみたいに生まれるかどうかは保証ないです。

鈴木:最低でも、自分より背は高く生まれて欲しいですね。

和嶋:じゃあ来世は男(和嶋)、女(鈴木)、女(ノブ)で生まれてくるということで。で、可愛い子ちゃんちゃん(ノブ)に翻弄されるわけでしょ(笑)。

鈴木:三角関係だ。

和嶋:翻弄されて、俺は騙されてんのかな……と思いながら、鈴木君のところに帰っていくわけですよ。やっぱりそんなことはするもんじゃないな、俺は間違ってたって。

鈴木:相手が和嶋君だと思うとイマジネーションが広がらない、やっぱり城田優くらいじゃないと。

和嶋:多分、すれ違うかな。

鈴木:出会うことがないな。

和嶋:いや、出会ったとしても、この人じゃない!って思う。

鈴木:お互いにね。

和嶋:俺は「(鈴木)研子を幸せにしてやれない、彼女の望む男ではない」と思う。

ノブ:俺、今、息ができないくらい笑った。

和嶋:というように、「男」は自分勝手に好きなように生きる……という甘えですかね。

ノブ:僕、熊田曜子さんそっくりになります。

和嶋:あ~~危ない、はまっていく。嘘はつかないようにしてください。

ノブ:和嶋君にそっと近づきます。

梅沢:どんなバンドなんだよって話ですよね(笑)。

和嶋:来世も見据えてますからね。グループ組めるかどうか分からないですけど。

梅沢:男女ミックスの。

ノブ:アリです。

和嶋:いいんじゃないですか。特にリズム隊が女性だと安定したリズムが出せる。

ノブ:女だてらにあのリズム隊すげーなって言われて。

和嶋:ドラムが可愛いんだよって言われて。

ノブ:熊田曜子さんに似てんだよ……三角関係らしいぞって。

和嶋:どーも揉めてるらしいぞって。

梅沢:面白すぎますよ。……いやぁ、そろそろ時間が。

和嶋:でも、俺はこの〈生まれ変わったら何になる?〉っていうのが、一番のメインテーマだと思ってますから、ここに辿り着けてよかった。

 

さらに「Q:私のここが変だと思う所」について

 

梅沢:「私のここが変」については、和嶋さんが風呂に入らない……というのを最後にトークを終えたいと思います。それで、このトークの第二弾をやってもいいですか、よきタイミングで?(場内拍手)。

鈴木:でもね、レコーディングが終わってからね、これから作曲期間に入りますので。

梅沢:レコーディング終わってから、トークとカラオケ大会を。

和嶋:いわゆる〈ニュー・アルバム・プロモーション強化月間〉があるので。

梅沢:その時にやらせていただければ。

和嶋:しかも、その時も新譜出しているのに、〈音楽の話〉しませんから!

梅沢:そういうことで半年くらいお待ちください。じゃぁ最後に一言ずつ。

ノブ:配信を見てくださった皆様、ありがとうございました。今年も頑張りますんでよろしくお願いいたします。

鈴木:ちょっとマズイことを言っちゃったかもしれませんが、そこはカットして。SNSに載せたりしないようにね。よろしくお願いします。

和嶋:とても楽しくトークができました。さっき鈴木君も言いましたが、今年アルバム制作をします。カッコいいアルバムを作りたいと思っています、待っていてください。で、今日は1月、新年の抱負ができました。「風呂に入る」にします(場内大拍手)。

 

この後、プレゼント大会が行われた。

 

※視聴期限:2025年2月6日(木) 23:59 まで視聴可能

◎配信チケット代:2,300円

 

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