『鉄道アイドル伊藤桃 小田急全駅ものがたり』の発売を記念した<駅と歴史と居酒屋と>スペシャルトークショー&サイン会が、伊藤桃さんをゲストに迎え、2019年4月7日神保町書泉グランデにて開催された。司会進行は同書の出版プロデューサーが担当。
是非みなさんも実際に行って、地元の姿に触れていただければ……と思います
桃:よろしくお願いいたします。なんと今日は小田急さんの制服をお借りいたしました。これめっちゃレアなんですよ、しかもパンツスタイルを穿くことって、私、人生ではないので、さっき鏡を見て“誰かな?”とシルエットでびっくりしちゃいました。今日はよろしくお願いいたします。
──今日は朝の11時半から、神奈川県の海老名ビナウォークという所でもイベントをさせていただきました。
桃:たくさんの方に来ていただき、ありがとうございました。
──では、まずこの本について軽くお話をしたいと思うんですが、まずは去年の一月くらいに桃さんと「原宿POPUNITED」の新年会でお会いしてから。
桃:その時、何か本を作りませんか……というお話をいただいて、じゃあどういう企画にしましょうか、というところから始まりました。そこで私から是非<小田急電鉄の本>を、そしてせっかくだから一つ一つの駅を掘り下げることをしたい……というお話をしたんです。元々<JR全線完乗達成>の後にしたいと思ってた、<色々な駅に降りてみたい>というのと、私からしたらどんな駅にも魅力があるので、それを伝えられるような本にしたいと思いまして、紆余曲折の結果<駅と歴史と居酒屋と>というテーマで書かせていただきました。
──本の前半は全部カラーで、桃さんの写真が載っています。
桃:写真集になっていて、贅沢ですよね。
──後半が全駅の歴史と居酒屋。ここに、すべてメモを取ったスゴく細かい取材ノートがあるんですが……。
桃:事前に相当調べてから行かないといけなくて、実際<駅と歴史>というテーマでこの本を書くことに当たって知ったことがスゴく多かったんです。95%くらい<知ること>から始めたので、15冊くらい本を読んで自分で気になったポイントを各駅ごとにメモしました。でも楽しかったですよ、一つのことを研究するのがめちゃめちゃ好きなので。まず<行く場所を最初に決める>。全然知らないことばかりだったので、この駅に何があるかを調べると、駅の見方が変わるんです。例えば長後駅と湘南台駅では、新しい駅/旧い駅というところ。最初、長後は商店街が栄えていたんですけど、3線乗り入れの湘南台という新しい町ができるということで、賑わいが変わっていった……そこで写真を撮る視点が変わってくるんです。例えば旧い商店街と、3線が集まった新しい駅舎という風に。降りてから結構フラフラもしました、ちょっと文字数が足りないところには猫を発見したフラフラ・エピソードを書いたり。実際に訪れて足で探した、私ならではの視点も入れました。例えば他の本では掲載されてなかった、生田駅の記念碑は、なんとスーパーの駐車場にあった……とか、そういう視点が入っているのはいいかなとは思っています。
──みなさん、この本のカバーの折り返しのところに書いてある言葉は読んでいただけました?
桃:何気なくツイートした言葉が使われてて(笑)。<小田急にのりすぎてふっと車窓をながめただけでどこにいるかわかるようになってしまった…笑>。でも、小田急電鉄は一駅区間がそれほど広くないので、降りていればその景色はわりと見覚えがあって(笑)。
──今日の海老名でのイベントには、本を作ってから久しぶりで小田急に乗って行ったんですけど……車窓から見える景色の印象が、やっぱり違いますね。
桃:そう言っていただけると嬉しいです。
──桜も満開で。この本には桜に関するエピソードもありましたね、本厚木辺りでしたっけ。
桃:いきものがかりの「SAKURA」の歌詞に出てくる橋……厚木駅と本厚木駅の間にある橋なんですけど、それがどの橋か検証しよう……って編集スタッフとやり合いました(笑)。あと、今回は原稿をかなりチェックしていただいたので、凄く文章の書き方が鍛えられました。私は文科系なんですけど、来たオーダーに対して打ち返してやる!って体育会系の気持ちで、言われたことよりどんどん先のことをやったんですが……いい意味で負けず嫌いというか、頑張りたいと思って。
──真面目なアイドルなんです、締め切りもきちんと守るし。あ、さっき見せた取材ノートのコピー、今日の購入特典になってます(笑)。
桃:どうしても文章の中では文字数の制限もあって書ききれなかったことも、メモでは書きまくってるので、合わせて見ると元ネタはこんな感じなんだ……というのが分かると思います。
──で、今回は<小田急全駅ものがたり>ですので、何はなくとも小田急電鉄にご協力いただけないと本は作れない……ということで、まずは桃さん、マネージャーさんと一緒に小田急電鉄本社に伺いました。そこで企画説明をしてご協力をお願いしたところ、二つ返事で快諾していただき、それ以降も色々な面でご協力いただいたというスペシャル・ゲストを、ここでお迎えしたいと思います。大きな拍手でお迎えください、小田急電鉄CSR・広報部の山口暢一さんです。(場内大拍手)
桃:私、今日お話を聞かせていただけるのを本当に楽しみにしていたので。
山口:よろしくお願いいたします。
──山口さんは鉄道大好きなんですよね?
山口:元運転士ということで、3年前までは現役の運転士をやらせていただいていて、まさか自分が広報に行くとは全く思ってなかったので。
桃:そうなんですね。
山口:こういう機会をいただいて、非常に緊張しております。
──実はご実家が愛甲石田で、しかも高校は上野だったと伺って……片道二時間の通学を3年間、というくらい電車が好きなんですよね?
桃:(笑)通学時間が長い人は、いっぱいいますから。
山口:確かに、乗りたい……というのはあったかもしれません(笑)。
──では、訊きたいことがいっぱいあるという桃さん、後はお願いします。
桃:私は本とかで知った知識が多くて、そこから現地に行って、体験したことを書いたんですけど、実際に読んでいただいていかがでした? 長く小田急の運転士をされていた方の感想を伺えれば……怖いけど聞いてみたいと思って。
山口:先ほどもご本人が仰ってた通り、各駅を降りて自分の足で一生懸命お調べになったんだなぁ……というのが率直な感想です。
桃:ありがとうございます。
山口:コツコツ感というか、文章も、桃さんの伝えたいことが凝縮されていて、もっと伝えたいことがあったんじゃないか……というところもありますし。先ほどのカバーの折り返しにある<小田急にのりすぎてふっと車窓をながめただけでどこにいるかわかるようになってしまった…笑>。これは非常に共感を覚えるところでございまして、私は<目を閉じて小田急に乗ると何の形の車両か分かってしまう>っていう……職業病ですかね。
桃:モーター音とかも。
山口:はい、分かります。
──本当に分かるんですか?
桃:世の中にはいらっしゃるみたいですよ、<音鉄>さんとか、凄いなぁって思います。私も乗っていて、通過していく車窓の景色から、あっ読売ランド前!とか分かります。この本では急行が通過していく駅にもスポットを当てていて、そここそを読んで欲しいんですね。一つ一つの駅にそれぞれ思いを持って作った人がいるということが、本を書きながら分かって愛着が湧いて、この機会に各駅停車の駅にこそ降りて欲しいな……と思います。実際、降りてみて楽しかったですし。
山口:本の「はじめに」に、<読むときっともっと小田急を身近に感じて好きになれる>と書いていただいて、小田急電鉄の社員としては、この言葉も非常にありがたいところでございます。
桃:めちゃめちゃ小田急が身近になりました。街中で<小田急>ってワードが出たら聞き耳立てちゃって(笑)、ニュースサイトとかでも<小田急>についてのニュースが上がるとついチェックしちゃいます。で、検索し過ぎた結果、Googleで小田急電鉄のニュースがピックアップされて表示されるようになってしまって(笑)。
山口:参考文献からも、よくぞここまで調べたな……と。
桃:どの本も相当読み込み勉強させていただきました。
山口:で、やはり当社としては表紙カバーの「SE(Super Express Car)」ですね。「SE」は諸説あるんですけども、特急ロマンスカーとして最初に認知をされたということがあります。この写真では桃さん普通の表情をされてますが、とても寒い時期にこの格好(ノースリーブ)で撮影をしたんですね。
桃:12月でした。
山口:本当に寒い日で、プロ根性を見せていただきました。
桃:本の発売が春だし、この格好で、白でいきたかったんです(笑)。で、この本に書かれてないことで、広報の方だからこそ知っている、“小田急のこの駅にはこういう話があるんだよ”っていうようなお話は何かありませんか?
山口:小田急電鉄は、環境とか回生とか一部太陽光パネルの発電でやっています……ということは触れていただいてるのですが、経堂駅が最近緑化になりまして緑を増やしてみたり。駅舎の材料として、今、木材の使用が進められていて、参宮橋駅は東京都の木材の補助金をいただいて進めていたり……というのがあります。ただ電車を走らせているだけではなくて、環境負荷軽減にも取り組んでいるということを。
桃:声を大にして。
山口:言いたいかな……というところです。
桃:世田谷代田駅では、その環境負荷軽減を体験できるツアーがあって。無料で参加できるんです。私も参加して<回生ブレーキ(車両で発生した電気を他の電車が再利用するシステム)>とか体験したんですけど、どんどん楽しくなってしまって(笑)凄く濃縮された内容の一時間のツアーでした。最近新しい駅が増えましたから、そういった新しいエコの駅が多くて、世田谷代田とか東北沢とか新しい駅ですもんね。
山口:ツアーは弊社ホームページ(https://www.odakyu.jp/csr/environment_room/)から申し込みできます。小田急の環境負荷軽減への取り組みや、ロマンスカーEXE系の廃材を利用した簡易運転台を操作できて、回生制動の仕組みがご説明できるようになっています。今こうしてお話ししていて、回生制動で(場内が)頷いていただけのが、僕は非常に嬉しいです(笑)。
桃:分からない方は、ツアーに参加すればいいですね。
山口:そうですね。
桃:では、次の質問なんですけど、私はフラットな状態からいろんな駅に行ってそれぞれ好きになっていったんですが、運転士時代とかも含め特に思い入れのある駅とかってありますか?
山口:運転士として見ると駅もそれぞれ特徴があって、曲がってる・上ってる・下ってるとか。
桃:代々木八幡駅の急カーブとか。
山口:代々木八幡の駅は、停止目標が直前まで見えないんですよ。
桃:写真も載せましたが、めちゃめちゃ急カーブなんです。おかげでNTTタワーが奇麗に見えるんですけど(笑)運転士さんは大変なんですね。
山口:結構そういうところは苦労してます。で、本に関しては前半がカラーで中盤の駅紹介から白黒になっているのがちょっと残念かなぁっていうのはあるんですが……でも、鉄道会社でこういう企画の本に協力したというのは、多分初めてだと思います。(場内拍手)
桃:ありがとうございます。
山口:鉄道雑誌というと、車両ばかり載っている本とか、駅紹介だけで終わってしまう雑誌……というのが多いのですが、今回は前半カラーは桃さんをフィーチャーした写真、後は居酒屋ですよね。社員の中には居酒屋巡りが好きな社員もいますので、こういうご紹介をいただけるのは、逆に非常に参考にしたいと。実はこの本を作る前、社員に<沿線の居酒屋で、良い店はないか>というアンケートをとってみたんですね。で、実際にそのアンケートの中から桃さんが直接訪ねられたお店もあって、やってよかったと思ってます。
桃:いや勉強になりました……というか初めて行く町で、居酒屋さんも私のアンテナで選んだお店ばかりなんですよ。私、渋い居酒屋さん、大将! とかおかあさん! みたいな人のやってらっしゃる、人情の感じられる店が大好きで。だから初めて行く町の、そういった店を教えていただく……というのはこの本のコンセプトにピッタリで。例えば教えていただいた柿生駅の鳥宏とかも、昼に現地の駅周辺の取材に行ったときに“良さそうだなぁ”っていうお店をいくつかピックアップした中の店で、また別の日の夜に行って。
──え、2回行ったの?
桃:もちろんどの駅も2〜3回行ってますよ。お昼は普通に本用の取材に行って、その間にお店のチェックをして夜にもう1回行く。私、鉄道が好きなんだなって改めて思いました。どれだけ乗ってても、毎日乗ってても全然大変じゃないから、“あぁ今日は栢山までね〜”って感じで爽やかに乗ってました。あの、運転士さんって鉄道ファンとしては憧れの存在なんですけど、その時代の<これは大変だった秘話>みたいなものはありませんか?
山口:私はSEの運転はできなかったんですけど、NSE3100形……開成駅東口の駅前第2公園に静態保存されているロンちゃんですね、こちらの世代から運転をしました。で、実はあのロンちゃん、なかなかクセがありまして。これ以降はほぼ1ハンドルの車両が主流になっているんですが、ロンちゃんは2ハンドルの最後でして、運転に個人差が出るんです。いろんなやり方がある中で、いかに操作するか(笑)。スピードを出す区間でも、駅を発車するところから加速を良くしていくやり方があって、そういうのを研究したりというのはありましたね。
桃:今でもロンちゃんに会えると、やっぱり嬉しいものですか?
山口:そうですね。実はロンちゃん、地元の開成町によるクラウドファンディングで今後のお色直しが決まったということで、本当に地元の人にも愛されてるんだな……と社員として誇りに思っています。
桃:私も行ったんですけど、毎月第2、第4日曜日には一般開放されていて、実際運転席とかにも入れるんです。超ゴキゲンで入ったんですけど、凄く狭いんですよね、展望車の上なので。
山口:運転台が上にあって、眺めはいいんですけど非常に狭くて。それと、昔は車内でタバコが吸えたんですよね。1号車から5号車が禁煙車で6号車から11号車が喫煙車。で、1号車の禁煙車の上なので下りはいいんです、ところが上りで箱根湯本から新宿に向かうと、11号車から煙が上がってくるんです。タバコを吸わない人にとっては、ちょっと苦痛かなと。窓を開けるとよけいに下からガンガン煙が入ってくるし、結構キビシかったですね。昔懐かしい思い出ですけど。
──梯子で運転席に上がるんでしたっけ?
山口:そうです梯子で。とは言いながらも新宿から運転していくと富士山が見えてきてだんだん大きくなってくる、そうすると“ああ下ってきたな”と。逆に箱根湯本から新宿に向かって行くとだんだん都心のビルが見えてきて、“ああ戻ってきたな”という感じがする……というのが展望席と、二階建て運転席の特権かなという感じがしますね。
桃:さっき居酒屋の話が出たんですけど、ここに行ってみたいっていうお店はありました?
山口:社員からもオススメがあった、鳥宏ですね。私、酒がまったく飲めないんですが、代々木上原の三貴も行きましたし、経堂の赤堤、相模大野のガクさん、地元愛甲石田の、めんどり。お酒が飲めないのに、なんでこんなに行ってるのかな……と思ったら、古き良き時代は“おい、飲みに行くぞ”と先輩に連れて行かれていたことがありまして。ですから三十年来有るお店もありますし、新しいお店もあって、この本で食べ歩きをするのも非常にいいものかなあ……と思ってます。
桃:単純に聞きたいな……と思った話を訊いてもいいですか? 足柄駅なんですけど、以前駅の近くにタバコの大きな工場があって、そのための引き込み線があったそうで、何年か前までは架線とかも残ってた……という情報をネットで見て“あ、廃線跡があるんだ”と思ってたんですけど、私が行ったら架線もなく、ただのあぜ道になっていて……山口さんはそれが有った頃は見たことがあったんですか?
山口:私も会社に入ってからは、<専売公社線が残っている>というのは分かってましたけど、すでに貨物輸送をやってなかったので。
桃:架線は残っていて?
山口:残ってましたね。
桃:その時代を見たかったです……。
山口:2018年3月に複々線が完成をして、下北沢付近も大分変わりましたよね、成城学園前も変わりましたし。私も生き字引きではないんですが、駅周辺の変わった様子を、文章を読みながら思い起こすということもありました。
桃:人間って不思議なもので、新しい駅を見慣れてしまうと前の駅の姿が思い出せなかったり、開発されたところに以前何があったのか忘れてしまったりして。でもこうして写真とか文章に残して、小田急にはこんな歴史があったんだな……ということをいろんな人に知ってもらえたらいいなと思いました。あと、本にはいろいろ付箋を貼っていただいてますが……山口さんの好きな駅ってどちらですか? 私は田舎が好きなので、多摩線の黒川とかが落ち着きますね、緑がたくさんあるんですよ。
山口:黒川は最近、駅のBGMと構内放送が読売交響楽団に弾いていただいたものになって。
桃:すごい! 映画の世界になりそうな雰囲気ですね。ここは駅の前に大きな緑の空き地があったり、<タヌキ飛び出し注意>みたいな看板があるところなので。
山口:海老名とかは2ページに渡って紹介していただいて……いやあ、よくぞお調べになったなあと。海老名は小田急としても力を入れているところですので、非常にありがたいなと。フクロウも……駅にフクロウ(オブジェ)がいるのは、みなさんご存知ですか?
桃:本にも書きましたけど、コンコースの中にフクロウがいるんですよ。
山口:約2年前に注目を浴びてしまいまして、フクロウを撮影する方が溢れてお客さまの導線が確保できないこともあったんです。
桃:そんなだったんですか! 結構気づきづらい場所にありますよ。でも、ハト除けに設置されたんですけどね。
山口:実は栗平の駅にもいるんです(笑)。
桃:そうなんですか!?
山口:栗平駅の屋根の上にフクロウがいます。
桃:え〜! 知らなかった! 悔しい!
山口:今度見てみてください。線路沿いからしか見えないんです、駅の中からだと見られない。上り下りホーム共に、新百合ヶ丘寄りにあります。
桃:栗平って、駅舎も栗の形で可愛いですよね。
──山口さん、早く好きな駅を教えてください(笑)。
山口:あ……そうですね、地元愛で考えると、好きな駅はやはり愛甲石田です(笑)。
桃:あの辺りはぬかるんでるので、工事が大変だったと聞きました。
山口:愛甲石田と伊勢原の間に歌川という川がありまして、ここは地盤がすごく弱いところだったんですね。で、歌川が氾濫すると小田急線もその区間は止まらなければならなかったので、高架化を実施できました。それ以降は、この区間で小田急が止まることはなくなりました。
桃:地盤が弱くて工事が大変だったという話を伺って愛甲石田を通ると、そうか、そういう大変なことがあって高架もされてるのか……って思いました。
この後、本書未掲載の写真をスクリーンに映しながら山口さんと一緒に撮影時の思い出が語られた。制作時は桃さんの特写のため3回ロケに行き、1回目は和泉多摩川あたりまで、2回目は箱根湯本から小田原、新松田、相模大野、そして3回目は表紙カバーも含めた海老名車両基地でのSE撮影〜片瀬江ノ島〜下北沢〜代々木上原へ移動したとのこと。
桃:表紙の時は12月で寒かったんですけど、SEに会えて嬉しかった。本当にSEに憧れが強くあって、SEの開発に携わられた生方良雄さんの本を読むと、ますますSEに会いたくて会いたくてしょうがなくなってた時に、「車両基地で撮影」という話をいただいて。“えっ、SEと撮れるんですか! ”って超興奮して、私、撮影日程もゴリ押しでしたよね(笑)。
──これは、初代ロマンスカーなんですか?
山口:最初にお話しした通り諸説あるのですが、<ロマンスシート>というのがこれより前にあったんです、このバーミリオンオレンジのロマンスカーとしては、これが初代です。
──本の目次に、この車両が<Blue Ribbon賞>を獲った時のパネルを載せてるんですけど、1957年(昭和32年)ってありますね。
山口:シートもリクライニングじゃないし、肘掛けに引き出し式の灰皿が付いてます。
桃:灰皿とか栓抜きとか付いていて……私も旧い車両が好きで。
山口:中には<走る喫茶室>という、飲食ができる車両もあって、ここでロマンスカーの乗務員……今はアテンダントと言います……が、昔は四角い氷の塊をアイスピックで削って冷たい飲み物を提供していました。暖かい飲み物用に給湯器もあって、ちなみにココアのブランドは森永さん、紅茶は日東さんでした。
桃:本では見ていたんですけど、実際にカウンターの中に入れてスゴい嬉しかったです。
さらに本書ではモノクロ掲載になってしまっている、駅解説ページ関連の写真をカラーで紹介。
桃:玉川学園前の傍で<タヌキのトンネル>を捜しに行ったんです。なんかワクワクする響きがあるじゃないですか<タヌキのトンネル>って。駅からは徒歩で25分くらいかな、開発でかなり環境が変わってきたエリアで、タヌキが事故に遭うことが増えたそうなんです。それで事故に遭わないように、小さいトンネルを作って。でも、ものすごく深い森で、捜しても見つからなくて管理人の方に伺いました。トンネルには監視カメラが付いていて、タヌキの他にも主にハクビシンとか猫が使ってるって仰ってましたね。この辺りは生き物が沢山いるってことですね。
──ということで、スライドは終了なんですが。
桃:いや、本当に楽しかったです、この本はともかく私が気になったことをエッセンスとして入れて、自分らしい物が書けたので。
──居酒屋取材、38軒すべて飲んでますから(笑)。それもエリアが広範囲にバラけていて。
桃:正直、一番大変でした。駅紹介の本文は行って書いて行って書いてだったんですけど、居酒屋さんは取材許可から始まって、自分の感性を信じてのお店選びなので、“読んだ方に本当に行きたいと思ってもらえるかな”というところをすごく考えて、一つの駅で何軒かトライして選びました。自分の人生の中で、こんなに短い期間で、お店をやっているご年配の方々に会うことってなかなかないので、そこで色々な話を教えていただきました。本当に懐かしそうに楽しそうにお話をされていて、是非みなさんも実際に行って地元の姿に触れていただければ……と思います。私は舌でも覚えてるんで、食べたくなっちゃうんですが(笑)。
──というようなところで、お時間もいっぱいとなりましたので。これからサイン会、特典会があります。
桃:ありがとうございました。4月24日には「鉄道サミット2019 in 新宿アイランド」を、南田裕介さん、久野知美さん、スギテツさんほか濃いメンバーと一緒にやらせていただきます。あと、現在発売中の「旅と鉄道」とヴィレッジヴァンガードのフリーペーパーで、この本の書評を載せていただいています。5月3日にはBS12の「BOOKSTAND TV」でこの本について語っていますので、是非是非こちらもチェックしてみてください、よろしくお願いします。
──ありがとうございました。(場内大拍手)
この後サイン会と特典会が行われた。
『鉄道アイドル伊藤桃 小田急全駅ものがたり』のご案内
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鉄道アイドル伊藤桃 小田急全駅ものがたり
B5判 / 128ページ / ¥ 1,980
全74駅と周辺名所+38軒の居酒屋を徹底取材執筆した最重要小田急ガイド本
「小田急の魅力はロマンスカーだけじゃない。各駅停車の旅こそが醍醐味である」推薦文 by.岸田 繁(くるり)
小田急全駅のマニアックな詳細、歴史、駅名の由来などの情報を紹介しつつ、各地の変遷、周辺の渋い居酒屋、観光地、名所など、伊藤桃のアンテナがキャッチしたポイントを網羅☆
箱根、新松田、登戸、江ノ島、相模大野、下北沢、向ヶ丘遊園、小田原etc.ロケでは伊藤桃のビジュアルと小田急電鉄の名所の風景とコラボレーション☆伊藤桃自身が厳選、実際に飲みに出かけてリサーチした38軒の「おひとりさま向けおすすめ居酒屋」ご紹介ページも充実!
【CONTENTS】
小田急線全路線マップ伊藤 桃×小田急線
コラボレーション・ロケ伊藤 桃が訪ねて食べて飲んだ、おひとりさま酒場38軒
小田急全駅物語
小田原線
箱根登山鉄道
江ノ島線
多摩線