『椅子の中から 人間椅子30周年記念完全読本』刊行記念として、人間椅子のメンバー3人が揃ってトークを行うというイベントが、馴染みの深い高円寺の地で開催された。イベントは同書でもメンバー同士のインタビューやディスコグラフィ作成を担当した志村つくねさんの司会により進められた。

「新青年まえがき」に乗ってつくねさんに呼び込まれた3人は、いつものライヴの感覚で登場。楽器を持たないせいかどこかぎこちなさ満載で会場の笑いを誘う。聞けばこういった形で3人でトークを行うというのは初めてとのこと。30周年という長さにも関わらずその“慣れなさ感”が笑いを誘い、場内が暖かい雰囲気に包まれてのスタートとなった。

Pix : Naofumi Nemoto

これからも人間椅子、ずっと続けていきます。 よろしくお願いします

志村つくね(以下つくね):ついにこの日を迎えたわけなんですけど、しかも縁ある高円寺でのトークイベント。

和嶋慎治(以下和嶋):我々全員コウエンジャーでしたから(笑)。

つくね:ではまずこの本30周年のヒストリー本ができあがった感想をそれぞれ伺いたいのですが。和嶋さんいかがでした?

和嶋:年数を重ねないとこういうヒストリー本は作れないと思うんです。あぁ我々もここまで来れたんだな…って感無量ですよ。みなさんにも喜んでいただけてるみたいなので。あと、赤字を入れる校正が大変でした、だから出来上がった喜びもひとしおです。

つくね:鈴木さんはいかがでした?

鈴木研一(以下鈴木):文章もそうだけど、貴重な写真がいっぱいあって、自分が見ても、“これは貴重だ!見たことない写真だ!”っていうのがいっぱいあって、これはお買い得なんじゃないかな…と。特に僕のオススメは80頁のみうらじゅんさんの文章が載っているところの写真で、見たことのない衣装を僕が着てるんですよ。

和嶋:あぁ…、これはいつの頃の?

鈴木:これはいつの頃か分からないけど、自分でオカダヤに生地を買いにいって、母親が縫ってくれたのを僕がペイントした衣装なんですよ。本当はアゲハ蝶のようにしようと思ったんですけど細かすぎて無理だったのでこうなった(笑)。まだ家にありますよ。今日このトークショーがあるっていうんで、慌てて昨日読んでないとこを読んで。

和嶋:そうですよね、校正した段階で終わっちゃってたから。

鈴木:これを読んでノブのことをドラゴンって呼ぼうかな…と思って。

ナカジマノブ(以下ノブ):いやいやいや、なんか小恥ずかしい感じが。

つくね:そのドラゴン・ノブさんは如何でした?

ノブ:すいません、ドラゴンです(笑)。これは30周年のヒストリー本じゃないですか。僕はちょうど半分で15周年なので、2人の30周年に便乗しちゃったような…、イヤ、嬉しいんですよ30周年分の楽しさを味わえて。出来上がった本も嬉しかったです。

つくね:今回初出のエピソードとかもあって、みなさんのご家族や友人からの反応はいかがでした? 久々の連絡があったとか。

和嶋:自分は2年前に「屈折くん」という本を出して、そのときはいろんな人から連絡がありました、完全に忘れてるような古い友だちから、こいつは友だちだったかな?というのまで(笑)。

鈴木:僕はツアーで青森に行ったとき実家に泊まったから、そのときに親に本を渡したんですけど、本に載ってる自分たちの若い頃の写真を見て、オカチャンは“若いなぁオトチャン”って、オトチャンは“若ぇなぁオカチャン”ってお互いに“若いなぁ”“若いなぁ”と。それでうちの親っていうのは夜は10時には寝て11時には熟睡してるんですけど、僕が2時頃水飲みに起きたら母親がまだ起きてて、老眼鏡をかけてこの本を一生懸命読んでました。“これは面白い”って。(場内より、オォ〜と歓声)

つくね:ノブさんは如何ですか?

ノブ:俺はこの本をおふくろに上げたら、研ちゃん(鈴木)のお母さんと同じで、一日で全部読み切ったって。たしか渡したのは夕方くらいだったんだけど、翌日にはもう“全部読んだわよ”って、凄い嬉しかったみたいで。それで、研ちゃんとこと全く見るところが同じで、俺のおふくろも年表のところを見て。俺が弟二人と親父と写ってるのが凄く嬉しかったみたいで。それで俺が、“おふくろが写ってる写真載せなかった…”って言ったら、“いいのよ〜、お母ちゃん恥ずかしいから”って。

鈴木:ちょっと載せて欲しかった(笑)。

和嶋:なんかそれぞれの家族模様があって。

ノブ:おふくろが言ってたのが、和嶋くんの年表、研ちゃんの年表、俺の年表ってそれぞれにあるのが凄くいいって。で、そこでおふくろがなぜか今更、“2人ともあんたより学年ひとつ上なのね”って。(場内笑)

和嶋:それは今更でしょ、15年前に分かってる(笑)、自己紹介したし何回も遊びに行ってるし。

ノブ:何回も顔を見てるのに今更認識したみたいで。でもそうやって個人のことがわかるのがおふくろは嬉しい。

鈴木:(和嶋に向かって)それで、お姉さんは何も言ってなかった?

和嶋:(笑)なんか、まるで、私の家庭は冷たい家庭──みたいな感じになってますけど(場内爆笑)。俺って冷たい人間なのか──って今更ながら…そういえば、家族にこんな本できたよ──って。

鈴木:渡してない。

和嶋:ないかもしれない。でも家に戻ったときにはこの本があったので、買ってた。

鈴木:買ったんだ(場内爆笑)。

和嶋:ひどい人間だね(笑)。いやぁ本当に申し訳ございません。

つくね:さまざまな人間模様が。

鈴木:お母さんとお姉さんの誕生日って思い出した?

(以前ライヴの楽屋で身内の誕生日話になったとか)

和嶋:あああ、姉はなんとなく知ってて。

鈴木:お母さんは?

和嶋:ああ…3月の、分かってる、29…かな。

鈴木:ああ、やっぱり。微妙なラインだね(場内大爆笑)。

ノブ:そのときも和嶋くんだけが覚えてなくて(笑)。あ、俺と研ちゃんの誕生日は?

和嶋:それは分かってる、覚えやすいんです。(ノブに向かって)920日。

(鈴木に向かって)311日。

鈴木:僕も9(ク)2(ニ)0(オ)君って覚えてる(場内大爆笑)。

ノブ:クニオ君って、そういうキャラあったっけ?

鈴木:いないんだけど、なんかクニオ君。

和嶋:いや、今日家に帰ってから、(本を)実家に送ろうと思ってます(笑)。

つくね:次に。シンプルなことお伺いするんですけど、「椅子の中から」というタイトルの由来は? まだあまり公にはなってない。

和嶋:人間椅子のヒストリー本を出そうということになって、去年の春先にどういう本にしようか──とのミーティングで、<メンバー目線で語ったり、メンバー自身の秘蔵写真も出そう>っていう話になり、<内側からの発信>となったので、それを分かりやすい言葉でサブタイトルとして付けたらどうかな──と、これになったんです。

つくね:分かりやすいタイトルで。

鈴木:これ、凄いいいタイトルだと思うんですよね。「人間椅子」(江戸川乱歩)っていうのが、椅子の中に男が潜んでそこに座るマダムの感触を楽しむ──っていう小説だから、その椅子の蓋を開けてその中から出て来た本!みたいな感じでいい。

和嶋:そうそう、小説にも掛けて、我々が我々の中身を見せます──ということもあって。

鈴木:掛けてるんだなぁ、凄いなぁ…と思って。

和嶋:(テレて)いやぁ掛けたんですよ、はい。バンド名が人間椅子っていうので、タイトルも非常によくハマりました。

つくね:具体的には去年の6月からファンの方々へ写真とかの素材を募集して、10月に全アルバム解説や個人のコーナー(味噌作り、暴れん坊将軍、東京03対談)とかを具体的に進めていって、『新青年』レコーディングに入り、今年に入って4月にメンバー同士インタビューをして、各人それぞれのヒーローに関する執筆をしていただき、626日に発売になった──というわけです。

和嶋:間に30周年記念盤の録音を挟んで──という状況で作ったから、最新アルバム解説はそのアルバムを作ってからやろう…となって。メンバー同士のインタビューも、アルバムを作り終わってからのほうがテンションが高いだろう、と、スケジュールを変えてもらったんです。

つくね:具体的に本の中身について伺っていこうと思うんですけど、なんといっても目を引くのは巻頭のカラー頁。

鈴木:これさ、最初にできましたよって受け取ってめくったら、最初がこの和嶋の満面の笑みでびっくりして(場内爆笑)。

和嶋:何の本かよく分からない(笑)。

鈴木:もうちょっと真ん中の方で出るかと思ったら、一番最初に和嶋くんの笑顔で始まる──びっくりしたね自分は。

和嶋:バンドのヒストリー本ですよ、普通ならこう楽器を持ってメンバーが並ぶでしょ(笑)。ところがそれぞれのステージじゃないところから始まる。

ノブ:でも本当にいい顔してるよね。

和嶋:いや(畑仕事)楽しかったんですよ。夢っていうか、それぞれのやりたいことをやりましょう!っていう特別企画だったので。

つくね:3人のやりたいことをやってもらう──という企画で、ここから本の中身が一気に具体的な形に進みまして。

和嶋:いわゆる普通の音楽雑誌では絶対やらないであろうことをやろう!ということで。

鈴木:この畑作業のときの衣装と和嶋の今日の服装が一緒(場内爆笑)

和嶋:気付きました?(会場に)気付きました? 俺、今日トークショーだっていうので、お気に入りの普段着慣れてる、自分の好きなリラックスする服ということで着てきて、ふっと本を見たら“、あっおんなじだよ!”って(笑)! 全然狙ってないんですよ。

ノブ:上下一緒だし(笑)

和嶋Tシャツが違うだけ。

鈴木:ズボンも同じだし、ネルシャツもチェック柄好きだからね。さっきの次の頁なんか写真が、赤いチェック、チェック、チェック、チェック…って色彩感覚が(笑)

和嶋:でも、緑に映えるでしょ。アウトドアならチェックのネルシャツ。

つくね:和嶋さん<味噌作り>体験の感想を。

和嶋:難しいですよ。ま、味噌の材料を容器に入れるだけっていえばそうなんですけど。でも失敗すると腐ったものができるし、ちゃんとやらないとカビだらけの味噌ができてしまうって言われたので。雑菌が入らないように慎重に手をキレイにし、こねるのも“美味しくなれよ”って愛情を込めて。気持ちを込めないと出来ないな…って感じはしました。

鈴木:大豆を砕いたのと、麹を満遍なくこねる。

和嶋:塩も入れて。で、お世話になったのが三里塚の近くで有機栽培をやっていて農協には所属してない農家。作った野菜は生協に卸していて、野菜は全部美味しかったですよ、瑞々しいんです。

鈴木:野菜がね、作った味噌が美味しかったと言ったと思った。

和嶋:ではここで私の作った味噌を試食してみませんか。

鈴木:おお、いいね。

ノブ:出来上がってるんだ。

和嶋:出来てます。(場内拍手)皆に僕の作った味噌を見てもらっていいでしょうか。

 

ここで和嶋さんが仕込んだ味噌が白い容器のままで、袋に包まれてステージに運び込まれる。

 

和嶋:ぶっちゃけ、今日初めて開けまして──。というのは今年の夏の暑さ、凄く暑かったですよね。この味噌を見る度に茶色い液体がふつふつと出てきてて、もうこれは腐ってるんじゃないかと見るのも触るのも怖くなって。

鈴木:それが醤油なんじゃないの。

和嶋:多分最初に醤油が出たんですよ。薄茶色の液体が春先から出始めて。そこから怖くて。

ノブ:じゃあそこから蓋はしっぱなしで。

和嶋:蓋はしっぱなしでいいんだって。肝心なのは、できたところで冷蔵庫に入れる──って言われたんですけど、多分その時期は逸してしまってるかと。だからかなり熟成の進んだ味噌になってしまったかも。(茶色い液漏れが目立つ袋を見て)なんかしでかしたときって、そのことを忘れようとするじゃないですか、クサい物に蓋をする──というか、見なかったことにしよう…と。そういう状態がツアー前からずっと続いてて(場内爆笑)。

ノブ:ツアー中は忘れよう忘れようと。

和嶋:忘れてましたよ、それでいい演奏ができたんですけど。思い出すと不安でしょうがなくて、今日封印を解いたんですよ。一応みんなに食べてもらおうと思ったので試食しました。ちゃんと美味しかったです。

──匂いを嗅いだ2人は

ノブ:味噌ですよ、モロミのような匂いで。

鈴木:え? 納豆みたいな匂いがする。

和嶋:かなり醗酵が進んでるのでちょっと臭いかもしれない。

──茗荷、キュウリに味噌を付けての試食

つくね:なかなかトークショーでは見られないシーンですね。

──試食して

鈴木:美味い。

ノブ:研ちゃんが美味いっていうのは本物でしょう。

和嶋:まさに無添加の味噌。

鈴木:しょっぱい。

ノブ:美味い。すごく美味い(このときマイクと間違えてキュウリでトーク、場内爆笑)

鈴木:それ東京03のネタになるな(笑)。

和嶋:塩をたっぷり使って。薄塩の味噌とかってあるでしょ、ダメっすよああいうのは。塩を入れるから腐らないわけであり、美味しくなるんであって。味噌の酵素って凄いね、あの炎天下こんなに美味しく育ってくれた。

ノブ:これ、売れるよ、和嶋ブランドで。

和嶋:サイドビジネス(笑)。

ノブ:味噌って、白味噌とか赤味噌ってあるじゃない、あれって豆で決まったりするの。

和嶋:いろいろあると思います(最初に赤味噌は大豆を蒸し、白味噌は大豆を煮るところが違う)。味も大豆と塩の量で決められるらしくて、“食べやすい味噌にしますか? 濃厚な味噌にしますか?”って聞かれたので、若干コクよりな作りで、こうしたんです。

ノブ:美味しい。

つくね:この行くとまま味噌セミナーみたいになってしまうので(場内爆笑))、お味噌舐めながらでも鈴木さんの話題に。鈴木さんは<暴れん坊将軍>に扮していただくという企画だったのですが、メイクのイメージは、暴れん坊将軍(殿様)、女形(梅沢富美男)をリクエストされたとか。

鈴木:どういう風にしますか? と聞かれるんです、メイクとかカツラとか。僕は松平 健の<暴れん坊将軍>にしてくださいって言ったんだけど、こうなって。よく倒される側の悪代官にこういうのがよくいて、これ斬られる側ですよね。

和嶋:目元が凄く凛々しいですね。

鈴木:凛々しいっていうか、すごく好色な大名みたいで。(場内笑)

ノブ:あれ〜〜〜って、帯を引っ張ってほどく人。

つくね:で、女形の方は梅沢富美男。

鈴木:梅沢富美男サン風になったなぁと思ってます。女優さんで「必殺仕事人」でも出てくる人…。

つくね:山田五十鈴?

鈴木:そう、俺、山田五十鈴さんに似てると思うんだけど。

ノブ:これ、すごい美人じゃないですか

鈴木:うちの親に聞いたら、うちのお婆さんの若い頃にそっくりだって。やっぱりそうなるんだな。

和嶋:指はベーシストですよね。(場内爆笑)言っていいかどうか──って思ったんだけど、どうも気になるわ。

ノブ:顔とかは美人で、手先がベーシスト(笑)、手だけ思いきり研ちゃん。

鈴木:今ひとつ美しくないなぁ…と思ったけど、手だったんだね。そうか…。

和嶋:本物は手にも白粉とか塗るんじゃないの。

鈴木:塗ったところでこの指じゃ…。自分、凄い深爪をするんですよ。どんどんどんどん爪が短くなってグローブみたいな手になっちゃったんだけど、それがよく写ってますね。

ノブ:これ、時間かかったでしょ。

鈴木:そう、覚えてないけどメイクだけで一時間半くらい座ってたような気がする、結構辛かったですよ。でも自分が頼んだんだから我慢我慢って。

つくね:着付けの現場の雰囲気ってどうだったんですか?

鈴木:凄いギスギスしてるんですよ(笑)。<ここに入れるのはご本人様だけです>と書いてあるんだけど、徳間の北くんが付いて来てスマホでメイクの現場を撮ろうとしたら、着付けの人から“入って来ないでください!!!”って凄い怒られて。北くんも“すみません、すみません”って謝って。

和嶋:カツラが入る入らない問題はどうだったの? 我々ジャケットの写真を撮るときにたまに衣装を借りたりしてたけど、なかなか本意通りにならないことがあったじゃないですか。

鈴木:『修羅囃子』のジャケットを撮ったとき、あれは僕、長髪になってるけど、本当はちょん髷のチンドン屋やろうとしてて。でもカツラが全然入らなかったのでしょうがなく。頭のサイズは63センチあるんだけど。

和嶋:デカいね。

鈴木:今はスキンヘッドでしょ、だからカツラが凄く似合うの。

ノブ:似合う、似合う。

鈴木:ふつうは薄い布(羽二重)で髪を押さえてからカツラを被るんですけでど、僕の場合はそのまま地肌に毛だけが乗ってるのでリアルなんです。

和嶋:リアル月代(さかやき)。

鈴木:昔のサムライの。

和嶋:俺も多分カツラ似合いますよ。(場内爆笑)

鈴木:ホントに被ってるの──みたいな髪型になってきましたね。(と言って和嶋さんの後ろに結んだ髪をちょんまげのように頭に乗せる)(場内爆笑)

和嶋:外国人にはウケる(笑)。

鈴木:ステージなんだからさ、非日常というところは大いに結構だと思いますよ。

つくね:鈴木さんはその場でお気に入りの写真をセレクトして2枚ばかり持って帰ったそうで。

鈴木:お客さんからもらった「白鳳の手形」とか、「トニー・アイオミのサイン」と「ジーン・シモンズのサイン」の並びに飾ってあります。

つくね:では次の話題なんですけど、ノブさんは<東京03の角田晃広さんと対談>を。

ノブ:させていただきました

つくね:凄く楽しい雰囲気が伝わってきてるんですけど。

ノブ:もちろん初対面だったんですけど、家が結構近かったので。対談させてもらった後“じゃぁ、ちょっと飲みに行きましょうよ”って誘ったら、“今日、僕も大丈夫です” “じゃあ行きましょう”と、僕は車だったので改めて待ち合わせをしてその日飲みに行ったんです、角田くんの行きつけの居酒屋さんに。入ったらお店の大将が、“あ、この前テレビ見たよ!”って、地元のヒーロー感が凄くて。

和嶋:じゃあ、相当飲みに行ってるね(笑)。

ノブ:凄い、お酒が好きみたいで。その日飲み始めたのが6時くらいなんですけど、“12時くらいに待ち合わせがあるので、それまでしか時間がないけどいいっすか”って感じだったんです。 “もちろんそれだけあれば、今日は初日だし、飲みましょう”と飲み始めて。でも12時が近づいてきても全然帰る気配がなくて。

和嶋:分かります、お酒が好きな人はお酒に飲まれますから。

ノブ:そういえば和嶋くんもそういうことあったね。

和嶋:あのときは飛ばしてましたよ。

ノブ:で、12時から待ち合わせがある──って人に“ちょっと遅れます” “ちょっと遅れます”って何度かメールを送っていて、結局、遅れる…というよりキャンセルになって。角ちゃんが──敢えてそう呼びますけど、“角ちゃんって呼んでください!僕もノブさんって呼びます!”って言うから、“ノブさんじゃなくて、ノブでいいよ”って言っても最後まで“ノブさん”で。それで角ちゃんは酔うと凄いダメになるそうなんです。それは本人も色んなところで言ってて、バイオレンスには行かないけど酒癖が悪いんです。自宅に帰ると全てがトイレに見えてしまうなんてこともあったりなかったりみたい(笑)。

和嶋:ああ、ヒドいな(笑)。

ノブ:角ちゃん曰く「前に飲んだときに “凄い失敗をしちゃって、家にあった白いスニーカーが便器に見えて、思わず◯◯◯◯しちゃった──」 なんてことも笑いながら話してくれました。角ちゃんは、飲むと凄い陽気になるんですよ。僕がその日の深夜、タクシーで帰るときに、その傍で“バンザ〜イ バンザ〜イ 先輩バンザ〜イ”って、バンザイで送り出されて。凄い陽気で楽しい人です。それで色々とつながりができて、東京03の舞台も観にいかせてもらって。感激でした、今度是非一緒に。

鈴木:笑う話?

ノブ:笑かしたり、おおお〜っと思わせたり、最後にちょっといい話があったりして、凄い感激しました。

和嶋:ライヴっていいんですよ、我々もライヴやってますけど。僕もシソンヌとか舞台で見たんですけどテレビと全然違って、悲しい場面では悲しくなるし、空気を共有してる感じ。

ノブ:で、この「やりたい夢の企画」、最初10コくらい案を出したんです。<アニメの声優に挑戦>とか。対談ももう一人挙げてたんです、角ちゃんと江頭250。(場内騒然)。お二人にぜひ合いたい!って。スケジュール等で、角ちゃんになったんだと思います。

和嶋 35周年本は是非エガちゃんに。

 

つくね:それでノブさんの対談で注目を浴びた箇所がありまして、こういうトークの機会ですから切り込んでいこうと思うんですが。それは<人間椅子解散の危機>について。これは和嶋さんと鈴木さんがふとしたことで険悪になった事件があって、いまや笑い話なんですけど。あの書かれてあることはお2人は覚えてらっしゃいますか?

和嶋:覚えてますよ。

鈴木:俺、覚えてない。俺、絶対盛ってると思うんだけど。

和嶋:ノブから見たドラマのストーリーだから。

鈴木:あんなことなかったよね。

和嶋:ま、それに近いことはあったんだけど。

ノブ:あれ、違うの?(場内爆笑)

鈴木:なんかモメてることはあったかもしんないけど、「品川心中」の落語が長いからってモメた?

和嶋:それが一つのきっかけだったかもしれない、っていうかそれではないと思ってる。

鈴木:さすがにそこで解散っていうのは(笑)。

和嶋:ちょっとちっちゃい理由だよね。落語家でもないのに噺が長いって(笑)。

ノブ:本にも書いたけど、別々のタクシーで行ったから、そのきっかけしかその後に聞かなかったんだよ。こういう話をして、じゃあ、ここがここが──ってなったのを俺が聞いてなかったんだね(笑)。

鈴木:結局なんでモメたかは、俺全然覚えてない。

和嶋:そりゃ30年やってると、そういうのは一回や二回ありますよ。

ノブ:でも、あれっきりだもんね。僕が入る前はないでしょ、あんなこと?

和嶋:いや、あったと思う(笑)、しょっちゅうあったと思う。

鈴木:あったと思うけど、それも覚えてない(笑)。多分そういうヤバいことやイヤなことがあると生きていけないから、脳みそが忘れるようになった。

和嶋:素晴らしい! そういうもんです人間って。

鈴木:いや、本当に忘れてる、嘘じゃないんだよ。

和嶋:え!覚えてないの?(笑) 俺なんか反省しながら生きてますよ。

鈴木:結局ノブの嘘なんじゃないか(笑)。

ノブ:イヤイヤイヤ!(場内騒然)、こんなこと嘘つかないでしょ。

和嶋:ま、当事者じゃない人が見聞きしたものは、絶対その人のフィルターを通るから。

鈴木:ノブ物語だよね。

和嶋:それに近い発言はあったのかもしれませんが。

ノブ:そのとき、ちょうど僕は翌日が早くて新幹線で帰って。和嶋くんと研ちゃんと川端くんの3人が車で一緒に帰ったんだよね。そのとき川端くんとメールをやり取りしてて、メールが来る度に “涙が止まりません…“って。

和嶋:川端くん泣いてたのは俺も覚えてます。

ノブ:“2人がまったく無言です…、車内がキツイ“って。(場内爆笑)

つくね30年やっていると色んな伝説的なエピソードがあるもんですね。

ノブ:でも、本当にそれで、まるでなかったことのようになったのが、凄い俺はホッとして。まさに、俺ん家でミーティングがあったのは覚えてる?

鈴木:覚えてない。(場内爆笑)

ノブ:そのミーティングの前の日に、知り合いに相談したんですよ。そうしたら、“たぶん、あの2人はその話題は関係なくなってんじゃない、すんなりいくと思うよ“って。でも、俺は初めてなんでドキドキですよ。

鈴木:いや、ノブの文章を読んで、“あ、今、品川心中の落語が短くコンパクトにまとまってるのはそういうことだったんだ…“って。そういう顛末は全部忘れたけど。

和嶋:僕は、ポイントは忘れずに日々向上しようとしてます。

つくね:いつまでも仲良くお願いしたいところで。

ノブ:あの日、最初に研ちゃんが僕の部屋に入ってきて、5分くらいして和嶋くんが来て、そうしたらどっちともなく、“あんなことでバンドやめるのはよそう“って。

和嶋:拍子抜けだった?

ノブ:俺は、えぇ〜!って。

つくね:ディテイルが詳しいから、やっぱり本当の話じゃないですかね。

鈴木:いやぁもう…。

ノブ:じゃ、もう、なかったことにしよう。(場内爆笑)

和嶋:忘れると、ちゃんといい味噌ができますから。

ノブ:そうね、そうしよう。

和嶋:都合いいように覚えておく。

ノブ:そうしましょう(笑)。

鈴木:なんだったらさ、中野サンプラザで長〜〜〜〜く落語やってもらって。

和嶋:いや、俺の潜在意識がそれはヤメロと言ってる。それはやっちゃマズイと。

鈴木:俺休めるからいいな──と、今ふと思ったんだけど。

ノブ:あの時は、“休みたくない”って言ってた。

鈴木:いや、あの時とは違うんですよ、身体の事情が(笑)。

 

つくね:ということで、次の話題に。この本の一つの目玉である全曲解説ですけど、これは101516日に合計10時間かけて行われたんですが、前半は和嶋さんと鈴木さんに話していただいて、翌日ノブさんが合流──というスタイルで、時間もたっぷりとって秘蔵のお話も伺えました。この本に書いてあるのを読んで、改めて音源を聴きたくなった──という話もたくさんいただいてます。

鈴木:これ、便利なんですよ。今まで録音した曲がどのアルバムにはいってるのか一目で分かる。

和嶋:わりと初歩的なところですね(笑)。普通取材じゃ言わないことまで喋ってるので面白い。そう、この本を作るときにディスコグラフィは是非自分たちでやりたい──って言って。

つくね:僕も、この取材中、ライヴで聴きたくなった曲が増えて、「大団円」とか。

鈴木:あれ、いい曲だと思うんだけどな。

ノブ:あれ、一回やったよね。

和嶋:うん、やってます、たまにやるんですよ。

鈴木:あの、人間椅子30周年でいろんな物販グッズ出してるじゃないですか、俺、ふと、ゆるキャラ作ろうかな──と思って。

和嶋:お、唐突に。

鈴木:曲の題名見て、ゆるキャラになりそうなものねぇかなって思ったけど、意外とない。(場内爆笑)

つくね:タイトルをキャラクター化したいってことですか?

鈴木:「人面瘡」のゆるキャラとか。

和嶋:おお、それは我々らしくていいですよね。──でも、それは人気を博しますかね(笑)。

鈴木:絶対売れると思う。

和嶋:小さいマスコットみたいなやつ?

ノブ:着ぐるみでステージにも出てこれるやつ?

鈴木:そう。

ノブ:「人面瘡」を演奏してるときに、人面瘡くんが踊りながら出てきて。

鈴木30周年だけの催しですけど。

つくね:アイアン・メイデンのエディみたいな。

ノブ:すごい分かった気がする。

和嶋:「相撲の唄」で相撲取りがシコ踏んで、全然ロックっぽくない(笑)。

ノブ10人くらいで。

和嶋:ちょっと笑っちゃう。

鈴木:あ、でもここのトークはその話じゃなくて。

和嶋:ディレクターが鉛筆を投げる──とかありながら、我々が苦労して作品を作ってきたんだな──ということを。

つくね:(カバーの内側の)表紙をめくっていただくと、カラーページも見応えたっぷりで(表紙裏見開きのファンの方々提供のチケット群、裏表紙見開きのノブさん提供のスタッフパスなど)、これは本当にスタッフ含めみなさんの情熱に支えられて作られたもので。

和嶋:そう、こういう本では珍しい表紙裏表のカラーページは豪華ですよね。

 

この後、「人間椅子写真館」の写真解説、鈴木さん作の絵掲載の「人間椅子フライヤー」などのページの感想が続いた。

 

つくね:こういう細かい絵を描かれたときの状況って覚えてらっしゃいますか?

鈴木:いや、なんとか目立つように作ろうと思って、98頁の絵は水木しげる先生の絵を見ながら描いたんだと思いますよ。この99頁の右上のフライヤー(1988)、は僕と和嶋くんの合作です。渋谷ライブ・インにて〜って文字を書いたのは僕、人間椅子って書いたのは和嶋くん。この蜘蛛みたいな亀みたいなのを描いたのは僕で、蛙の解剖図を描いたのは和嶋くん。

和嶋:上の方のドグラ・マグラみたいなのは僕ですね。

ノブ:あの、今、だいぶ2人の世界に入ってしまって──本を手元に持ってきてない人もいるんですけど(笑)。

鈴木:ついこの間レコーディングしたことは忘れてるんだけど、この頃頑張って描いたのはすごく覚えてる。だってこの絵の一線一線をどっちが描いたか分かるもん。

和嶋:分かります。

ノブ:凄いですね。

和嶋:人間椅子のロゴが最初から決まってたっていうのもポイント高いですよね。

鈴木:これ、多分、気持ち悪い感じにしようっていうのと。

和嶋:日蓮宗の髭曼荼羅みたいな感じで──って言ってたよ。

鈴木:全然覚えてない。でも、何回も何回も修正してこうなった気がする。

和嶋:これ、原版が残ってるのが凄いね。

鈴木CD出すからってメルダックに渡したらどんどん変わっていって。

和嶋:一時期ポップになったことがあったね。

鈴木:すごいポップな人間椅子のロゴになっちゃって。

和嶋:それをまた微妙に修正したんですよ。

鈴木:どんどんどんどん変わっていくから。

和嶋:丸まっちくなって。しかもファースト・アルバムに至っては、“ロゴあるんですよ!”って言ってるのにロゴ使われなかったからね。

鈴木:書道の大先生に書いてもらって。

和嶋:そういう裏話もあるんです。

鈴木:この本の表紙の和嶋くんは首にアクセサリーとか巻いたりして今とは変わった感じで。

和嶋:人間椅子ってことで、なんか管理されてる、社会に隷属してる状態を出せないか──と、これは犬の首輪を付けて隷属してる状況を表してるんです。

鈴木:なんか、プレイみたいな。

和嶋:そう見えなくもない(笑)。なんか過激な格好をしてた。

ノブ:これ、買いに行ったの?

和嶋:買いに行ったんですよ、ホームセンターかペット屋さんに。これが一番奴隷っぽいかな──って。

ノブ:奴隷っぽいから。(笑)

和嶋:まさか自分でつけるとは(笑)。

鈴木:メガネも今とはずいぶん違ってる。

和嶋:メガネはその時に流行ってるものしか店に置いてないから、この時はボストンメガネで。普通にそれをかけて出ただけ。

鈴木:懐かしい写真。裏は今(の人間椅子)になってる。

和嶋:表見て裏見ると、“メンバー全員違わね?”って、(場内爆笑)全員メンバーチェンジ。

つくね:まだまだお話が尽きないところですが、ここで休憩を挟みまして質疑応答に入りたいと思います。

 

──休憩──

 

つくね:では後半戦、まずは皆さんから事前にいただいた質問用紙からの質疑応答を。

Q1:昔の資料を集めるとき、面白いエピソードがあれば。

鈴木:「思い出写真館 鈴木編」に写ってる坂本くん。予備校時代、“和嶋は勉強の邪魔になるからもう会わない”って言ったの坂本?

和嶋:そう、坂本です。予備校時代、坂本くんは原付バイク乗ってて、俺も乗ってたもんだから毎日ツーリングに行ってたんですよ、勉強もしないで。で、冬に差し掛かる頃、“坂本、バイク乗るべ“って言ったら、“和嶋頼むから、もう来ないでくれ“って言われて。(場内爆笑)

Q2:泣く泣くボツにした話や、これは載せられないと見送った資料は?

和嶋:さっきノブくんが自分の企画で10個くらい出したって話がありましたけど、僕も、いくつか出したうちで実現できたらいいな──っていうのはありました。僕、「刑務所の慰問」に行きたかったんですよ。あと「老人ホームの慰問」もやってみたい。

鈴木:僕は、昔の会報の写しを載せるのをチャラいから止めてくれって必死で頼んだんだけど──、“いや、面白いから載せます”って言われて(笑)。

ノブ:いや、これサイコーだよね。

和嶋:校正でちゃんと読んでるつもりだったのに、こういうところ意外と見逃していて。ここで書いてる研ちゃんの「21世紀の予定」。一個も実現してません(笑)、凄い面白い。

鈴木:でもさ、注目して欲しいんだけど、「ハードロック喫茶ナザレスを夜に経営する」って(場内拍手)。

和嶋:近いところはいってる。

鈴木:経営はしてないけど、ちゃんと「ハードロック喫茶ナザレス」実現してます。

ノブ:僕もこういう図版のページは校正のときスルーしちゃってて、今日イベントがあるので改めて見直して一人で爆笑しちゃった。

和嶋:研ちゃんの住んでた部屋の見取り図、周りがともかくうるさいって書いてある。

鈴木:部屋って扉を閉めたらプライベートな空間なんだけど、自分、いつも扉を開けっぱなしにしてて外の世界の延長というか、ホームレスのテントみたいな感じで。

和嶋:俺も勝手に上がり込んでました。

ノブ:歴代の研ちゃんの家に勝手に入ってるでしょ。

和嶋:どの部屋も全部見てますから(笑)。

鈴木:ノブくんは?

ノブ:俺はさっきも言った通り10個くらいやってみたい企画を挙げてて、声優をやってみたい──とか結構本気のことを書いてたからボツったのかな。

鈴木:声優は何のキャラの声をやりたかったんですか?

ノブ:特にこれってキャラはなかったんだけど、犬の役とか、とにかく声優さんの真似事をやってみたかった。

鈴木:「サザエさん」の。

和嶋:同じこと思ってた。「サザエさん」のタマ。

鈴木:あと、イクラちゃん。

和嶋:ぶぱ。

ノブ:ばーぶー、だよ(笑)。

 

次の質問は、それぞれの好きな女性有名人は? 
ただ、最近の情報に疎い和嶋さん、ノブさんに、やや好みがマニアックに偏る鈴木さんでは、互いの記憶を掘り起こす会話が大半のため、ここでは割愛。
ざっくりまとめると
和嶋さん:福永恵規、永田ルリ子、新垣結衣、熊田曜子
鈴木さん:江口のりこ、松嶋菜々子
ノブさん:河合奈保子、柏原芳恵、安藤サクラ

 

つくね:(笑)最後の質問です。封印されたレア曲もこの本で振り返ったわけですけども、また改めてやりたくなった曲と、これは絶対にやらないという曲は?

鈴木:久々に「意趣返し」とかやりたくなった。

和嶋:本にも書きましたけど、鈴木くんに歌詞を送ったら、真っ黒になってファックスが届いたみたいで、自分で怖くなっちゃった。

鈴木:暗い歌詞だったから黒くなって。

和嶋:墨塗りのファックスが、不幸の手紙みたいでしたね。

鈴木:俺、「暗黒星雲」やりたい──って時々言うんだけど…。

和嶋:やりましょうよ。

鈴木:う〜ん。

和嶋:やりますよ

ノブ:俺、あれがやりたい「無言電話」。(おお〜と場内から歓声と拍手)

鈴木:「世界に花束を」で、和嶋くんがまた語ればいいんじゃない。

和嶋:ハードル高いんですけどね、でも頑張ります。

ノブ:そうやって言うと、俺がやってない曲はほとんどなくて。

和嶋:ないかもね。「三十歳」と。

鈴木:それをやるわけにはいかないもんね。

ノブ:「エイズルコトナキシロモノ」

鈴木:じゃ、やってみます。

ノブ:あと「エデンの少女」

和嶋:本でも書きましたけど、ライヴでびっくりするくらいシーンとなったんだよね。あまりに違う曲を作っちゃったんだな──と思って。

つくね:逆に言うとやりたくない曲というのは?

和嶋:そんなのはないですよ。

つくね:要望があれば、何が来ても。ということなので皆さんもリクエストをしていただければ願いが叶うかもしれませんので。

和嶋:そういうのをちりばめつつ。なにしろ全曲やるのは相当きついですからね。

鈴木:「新生」ってどういう曲?

和嶋:チャチャチャチャ〜チャチャチャチャ〜ン〜

鈴木:チャチャチャチャ(と曲に合わせ、顔を見合わせて笑う。場内大爆笑)

和嶋:思い出したでしょ、言葉より音楽。素晴らしいですね、言葉はなくとも音で伝わる。

ノブ:今、二人がハモった瞬間にニコッとしたのが、本当によかったね。

つくね:これですね。

ノブ:やりたくない曲ってないですよね。俺、「走れメロス」とかもやりたい。

和嶋:歌詞がないからあまりやらなくなっちゃいましたね。「ヘヴィ・メタルの逆襲」とかも好きですよ────これは鈴木くんがあまりノッテこない。

つくね:といったところでこのコーナーはおしまいということで。

 

この後、3人から入場者に抽選で「年表ページに掲載されたそれぞれの直筆の名前の原本」がプレゼントされた。

 

つくね:盛り上がりますね。

和嶋:こうして3人でトークするのって初めてかもしれない。トークだけって

のは。我々も30年目にしてこういう経験ができました。

ノブ:つくねくんから僕たちへの質問もあるんでしょ?

つくね:大事なことを聞き忘れてました。「無情のスキャット」がYouTube247万回超えの再生で、国内はもちろん海外からも反響は大きくて。人間椅子はこの秋にもいろんなイベントに出演されて、12月には初の中野サンプラザでのライヴが控えていますが、今後の意気込みはどういったものをお持ちでしょうか?

和嶋2013年にオズフェストに出て、そこから再デビューしたなって感じがすごくあるんです。「イカ天」に出たときも、これでデビューするんだっていう印象が凄く強かったんだけど、オズフェストに出て、これで海外の人にも伝わっていくのかな──という思いが凄くあって。今、それを着実に行ってるのかなというのがやっと実感できました。YouTubeという素晴らしいシステムで「無情のスキャット」が海外にも伝わったので、この流れに乗って海外でもライヴやってみたいですよね。

つくね:鈴木さんいかがですか。

鈴木:うん、あの〜ぼちぼち、この秋のライヴの練習をしながら、12月の中野サンプラザで、どんな曲をやろうかなぁ──っていう話を始めたところで。30周年の目玉だとすれば、30周年を振り返ったようないい曲を揃えるのがいいのかな──とも思いつつ。それだけじゃ、なんかつまんないなぁって思ったりもして。

和嶋:ただ、曲を演奏するだけではなく何かこう。

鈴木:ゆるキャラ?(笑)

和嶋:そこで人面瘡くんが(笑)

鈴木:まぁでも、多分、和嶋くんは「品川心中」やるって言うと思うんだよね。でっかいホールで一人舞台でどんな落語をするのか楽しみですね。

和嶋:メリハリがあって、中だるみしないようにしますよ。

つくね:ノブさんいかがですか?

ノブ:話に出てましたけど、日本のライヴももちろん頑張るんですけど、海外も行ってみたいなと思ってるので、それを実現できるようにしていきたいなと思ってます。あとは、この本ができたので、またタイミングがあるときにまたこういうのをやれたらいいなって思って。

鈴木:ええ〜出したばっかりなのに?

ノブ:次はちょっと、こう映画みたいなのもいいかな──って。(場内拍手)ドキュメント映画みたいなのを。例えば今からずっとつくねくんがカメラを持って、僕らのことを撮って。

鈴木:俺、やだなぁ。

ノブ:じゃあKISSみたいにアニメを作るとか。

鈴木:ああ〜う〜〜ん。(場内爆笑)

和嶋:ドキュメントは上手くやれば──だからタイミングなんじゃないかな。よき時に来れば。言い方が難しいですけど、いい感じが作れればいい流れが来るんですよ。

ノブ:まぁ、30周年でこの本を作ったけど、31周、32周年がしょぼくならないように、俺は活動していきたいな、と思ってます。

つくね:最後に今日お集まりの皆さまに向けて一言いただけたら。

和嶋30周年の本が出て、今日もこんなに集まっていただいて、イベントでの寄せ書きもあって、凄い熱いものを感じて、こんなにみんなに好かれていいのかなって、恥ずかしいくらいの凄い嬉しい気持ちでいっぱいでございます。これからも人間椅子、ずっと続けていきます。よろしくお願いします。(大拍手)

鈴木:この本を読んでノブのページを見ると、僕と和嶋くんが凄く仲が悪いんじゃないかな──と思う人がいるかもしれないけど……、ま、そんなに仲よくはないんだけども、仲悪いってことはないですよ。

和嶋:いや、まぁこんなに一緒にいるんだから。

ノブ:だってさっきハモってニコッとするのを見たら、仲悪いわけないと思うけど。

和嶋:ノブが“悔し〜”って思うときもあって。

ノブ:ライヴ中でも。

鈴木:和嶋くんが新しいバイクを買ってうちに見せに来たことがあって、そのことをノブに言ったら、“あれ? 俺見てないよ”って。

和嶋:ちょうどあの時、ツーリングに行くルートにたまたま鈴木くん家があったので。(笑)

ノブ:俺の知らないとき、和嶋くんツーリングの帰りに研ちゃん家に寄ったりして。その話を不用意にリハ中にするんですよ。(場内爆笑)でも、大丈夫大丈夫、俺もその場にいたような空気を感じつつ。

和嶋:この『新青年』のキャンペーンの帰り、新幹線で乗車変更したらスタッフ全員バラバラの車両や席だったのに、座ったら俺の隣、研ちゃんでした。(場内爆笑)

ノブ:俺だけ違う車両なんだよ。(笑)そういうこと結構あって。大丈夫大丈夫、3人仲良くやってますから。

つくね:集まってくださったみなさんに何か一言。

ノブ:みなさんの顔が暗くて見えないんですけど、こうやって集まっていただけたら(照明が点いて場内明るく)、あ、ありがとうございます。できれば皆さんと朝まで飲みたいくらいの気持ちでいるんですけど、これからも人間椅子の応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(場内大拍手)

つくね:本日は貴重な話をたくさんありがとうございました(場内大拍手)

 

帰りがけの出口では和嶋さん特製の味噌を見て、匂いを嗅いで写真を撮ることができ、3人の代わりに味噌がお見送りする形となった。

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    (ナカジマノブ Dr/Vo)

    曲目
    ■針の山
    ■りんごの泪
    ■天国に結ぶ恋
    ■賽の河原
    ■人面瘡
    ■地獄
    ■死神の饗宴
    ■相剋の家
    ■冥土喫茶
    ■新調きゅらきゅきゅ節
    ■なまはげ
    ※ギター、ベースTAB譜付バンド・スコア

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