2017年3月25日(土)タワーレコード渋谷店にて、『The Collectors ANTHOLOGY 30th Anniversary Book』出版記念トークショー&握手会が行われた。加藤ひさし氏、古市コータロー氏が登壇し、本書の編集担当・荒野の司会により進行した。
武道館公演を収めたBlu-ray及びDVDを、この本を読みながら観ると一番面白いと思うんです
― ちょうど発表になったばっかりなんですけど、武道館公演を収めたBlu-ray及びDVD『THE COLLECTORS live at BUDOKAN“MARCH OF THE MODS”30th anniversary 1 Mar 2017』が6月7日に発売になります。(場内大拍手)それに向けて、これから制作を行なっていくということですが。
加藤:昨年BOXセット『MUCH TOO ROMANTIC!』を出した時に、1st、2ndと3rdアルバムの一部のリミックスを、ケニー・ジョーンズというエンジニアにやってもらったのが凄く良かったんです。それで、武道館は30周年という中で一番大きなイベントだったので、ライヴの音はケニーに締めてもらおうかなと思って。この間ロンドンで確認してきたんですけど、今作業中で、まだまだ終わらない感じですね。
― で、加藤さん、なくしたサイフは出てきたんですか。
加藤:ロンドンでサイフをスリにやられてね(笑)。(古市)コータロー君みたいにチェーン付きのサイフじゃないとダメだね。
古市:僕だって酔っぱらってサイフを落とした経験からこれに変えたんだから! ファッションじゃないですよ(笑)。
― どういう状況で被害にあったんですか?
加藤:めっちゃラッシュの地下鉄に乗っててやられたんだけど、見たらもうファスナーが開けられてて。で、世界が変わっていくというか、どんどん悪くなっているというのを肌で感じたのは……「悪の天使と正義の悪魔」のPVで米国陸軍が使ってるM4カービン銃のレプリカを僕が持ってるんですけど、その本物を抱えてる警官が駅にいっぱいいたのを見てね。そんな光景、ロンドンでは初めてだった。
― そんなに治安が悪くなってるんですね。
加藤:EU離脱問題とかテロ対策とかあるんだろうけど、あんなのは初めてだった。街も汚くなってるし、荒んだ感じがして。
― で、サイフなしでも何とか乗り切れたんですか?
加藤:現金が残してあったから、それで無事に帰って来ました。
― それで、このBlu-rayにはオーディオ・コメンタリーや特典映像も色々入るみたいですけど。ライヴ当日はオフステージでもカメラを回してたんですよね? 楽屋の写真を見ると、こたつとか持ち込んでましたね。
加藤:そうそう、コータローはこたつに入ってましたからね。
― 楽屋では本番までどんな風に過ごしてたんですか?
古市:こたつに入ってました(笑)。何時間もいると武道館って寒いから、ずっと手を入れてた。手がかじかんじゃうから。いつもツアーのファイナルとか、ああいう大きなライヴの時は本番前に必ずシャンパンを飲むので、いい感じで飲んでました。
― じゃあ外でシーチキン兄弟が何かやってるとか、そういう状況は?(註:加藤ひさしと共にシーチキンのCMに出演したTOSHI-LOW、ホリエアツシ、Mummy-Dが、開場時にチケットのモギり係を買って出た)
古市:知らない、知らない。
加藤:着替える所がないからって、シーチキン兄弟がいきなり楽屋に入ってきて。TOSHI-LOWが「今からモギリやるよ」って言うのを、Mummy-Dが「本当にやるの?」ってロビーで揉めてた(笑)。
古市:多分イベンターも困ったと思うんですよ、素人さんにモギられても(笑)。
加藤:TOSHI-LOWが言ったひと言で好きだったのが、「今から来る客なんか少ないんだから、大丈夫だよ」っていう(笑)。
― その辺の模様も特典映像で見れるんですかね。
古市:そこにはもう映像班はいなかったですね。
加藤:入れたかったなぁ。
古市:こっちも本番の準備の方が忙しくて。
加藤:でも、なんかあっという間だった……。1年かけて準備してきたし、僕らも単独としては初めての武道館で、緊張してないって言えばウソになるし。やることがいっぱいあったので、どこでどうカメラが回ってたのかというのは覚えてないんですよ。だからそれを映像で見直すのも楽しいかな。もしかしたら本番前の凄い緊張した顔が映ってるかもしれないし、コータローはひたすらこたつに入って暖まってるのかもしれないし。
ステージのスモークの量がすごくて
― ステージでスモークを使った関係で、しょっぱなから加藤さんがステージで迷子になる事件が起きたそうですが。
加藤:これはポッドキャスト(「池袋交差点24時」)でも言ったんだけど、ステージはスモークが凄くて、コータローの足下のエフェクター・ボードとかも見えないくらい真っ白で。で、俺はステージ真ん中のマイクの所に行けばいいなと思ったら、俺のマイクがないんですよ。コータローのマイクが自分のだと思っちゃって、そこに行ったらマイクスタンドが(ギタリスト用に)曲がってたんだよね。あ、これは違う!って思って。
古市:でも何度も言うけど、打ち合わせしてたよ。
加藤:それがね〜。
古市:普段から人の話聞いてないじゃん(笑)、それが出たよ。舞台監督の言うことは聞こうよ!
加藤:そうだね(笑)。
古市:自分から言ったんだよ、“どうせハンドマイクだからスタンドは後ろに下げといて欲しいな”って。
加藤:言った、言った。“「愛ある世界」はハンドマイクで歌うから、マイクスタンドを後ろに置きに行くのはかったるいんで、ドラムの前に置いといて”って。今思い出した(笑)。
古市:横で、“いつもと違うことやんない方がいいのになぁ”って思ってた。
加藤:言ってくれればいいのに。
古市:時すでに遅しで。
加藤:あの瞬間が一番恐ろしかったね、俺は。だって自分の歌うマイクがないんだもん(場内爆笑)。口パクかよって。
― でもそれ以外は、特に大きい事故もなく。
加藤:そうだね、ちょっと楽しくなっちゃって。楽しすぎると人間ダメだね、「僕の時間機械」の歌詞を間違えたし。それはそのまま活かして、間違ったままBlu-rayに入れます。
古市:そうしてよ。
加藤:修正はできるんだけど、みんなも覚えてるし、つまずいたままにしようかな、と。それも含めてあの日の出来事だから、まぁそういう所も見られるかな。
― コータローさんもスモークで(エフェクター・ボードの)ペダルが見えなかったって言ってましたけど。
古市:だからリーダーがマイクを見失ったように、俺もなかなか踏めなかったですよ。でも見えないのはあらかじめ分かってたからさ!
加藤:なんで威張るんだよ(笑)。
古市:説明したよ。スモークも最初は重いのを仕込んだから見えないよって。
加藤:でもあんなに見えないとは思ってなかった。
古市:スモークは重いからなかなかひかないんだよ。
― 今日はPlayerさん監修の「THE COLLECTORS GearBook」のイベントが先にあったところで。
加藤:夕方やってきました。
― 「GearBook」には、この曲のレコーディングではこのギターを使ったとか詳しく載ってますね。PVとかライヴでは見かけても、ここに載ってないギターもいくつかありましたけど。加藤さんのフライングVとか。
加藤:途中で気に入らなくなったギターは結構処分してるからね。全部が全部は載ってない。
古市:なので、今残ってる限りを全部載せました。
― コータローさんのストラトも思ったより減ったんですね。
古市:黒も白も売っちゃった。だんだん歳と共に、あんまりいっぱい持ちたくなくなって。
加藤:持ってても弾かなくなっちゃうからね。
古市:本当はもっと減らしたいんだ。
― コータローさんのリッケンバッカー2本にはそれぞれ愛称がついてることで知られてますけど、最近も愛器に名前をつけてましたっけ?
古市:水色のテレキャスターには有りますよ。ビビアン。
加藤:何でビビアンなの?
古市:それはビビアン・スーから来てて。
― じゃあ、結構年季が入ってるんですね。
古市:いや、命名したのは最近ですよ。ビビアン・スーとか土屋昌巳さんがやってたバンド(The d.e.p)をよく聞いてた時期だったので。
加藤:じゃあ2000年代ってことか。
古市:命名したのは去年なんだけどね(笑)。
加藤:でも、今日はなんて言ったってこの本『The Collectors ANTHOLOGY 30th Anniversary Book』ですよ。
― この本と、BOXセット『MUCH TOO ROMANTIC!』に入ってるドキュメンタリーのDVDをあわせて楽しんでいただけると、より一層このバンドの奥深い所が分かると思うんです。
加藤:BOXセットのインタビューで荒野君が一人につき1時間近くインタビューをして、色んな話を聞き出してくれたんだけど、DVDではほんの5分か10分くらいしか枠がなかったので、それじゃあまりにも寂しいねって話で。だったらメンバーの本音みたいなものを、ずっとコレクターズを応援してくれた皆さんにたっぷりお知らせするのも30周年らしいんじゃないかなっていうのが、元々この本を作ったきっかけなんです。だからこのBOXのDVDを、この本を読みながら観ると一番面白いと思うんですけどね。
― 本当に一生もののBOXなので、今からでも是非手に入れてください! 今日はありがとうございました。
加藤&古市:ありがとうございました。
The Collectors ANTHOLOGY
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The Collectors ANTHOLOGY 30th Anniversary Book
A5判 / 208ページ / ¥ 2,547
新作『Roll Up The Collectors』を引っ提げ、3月に初の武道館公演を敢行するザ・コレクターズ。
その活動を支えてきた歴代メンバーのインタヴューと、関係者や縁のアーティストによる証言を軸に、時代の荒波を乗り越えて歩み続けてきたロックンロール・バンドのゼン&ナウを浮き彫りにする。改めての全スタジオ・アルバム&ライヴ・アルバム評に加え、前身バンドであるザ・バイクの活動も再検証。
ビギナーからマニアまで、全ファン必携の一冊!【CONTENTS】
フォト・ギャラリーROLL UP THE COLLECTORS
ザ・コレクターズによる22thアルバム全曲解説
吉田 仁が語る2010年代のザ・コレクターズTHE HISTORY PRE-COLLECTORS
ザ・バイクからコレクターズへ
CDレヴュー:ザ・バイクEARLY DAYS
インタヴュー:リンゴ田巻
インタヴュー:チョーキーとしはる
対談:片寄明人×會田茂一
アルバム・レヴュー①
インタヴュー:岡村詩野
インタヴュー:山中さわお(the pillows)COLUMBIA YEARS - PHASE 1
アルバム・レヴュー②
ザ・コレクターズが語る『UFO CLUV』
インタヴュー:ケニー・ジョーンズCOLUMBIA YEARS - PHASE 2
アルバム・レヴュー③
インタヴュー:松本俊之
アルバム・レヴュー④
インタヴュー:小里 誠
インタヴュー:阿部耕作
アルバム・レヴュー⑤
インタヴュー:山森“JEFF”正之
アルバム・レヴュー⑥MANY FACES
モッズ・カルチャーとザ・コレクターズ
同時代の洋楽ロックとザ・コレクターズ
日本のロックとザ・コレクターズ
アイドル歌謡とザ・コレクターズ
恋愛表現とザ・コレクターズTWO FOR THE ROAD
アルバム・レヴュー:ソロ活動編
加藤ひさしが語る古市コータロー
古市コータローが語る加藤ひさし