カザマタカフミ著「さよなら、売れないバンドマン」の発売記念イベントが3月11日、ヴィレッジ・ヴァンガード下北沢店にて開催された。
当日はトーク&サイン会として会場には満員のファンが詰めかけ、司会進行は同書の編集も手がけた美馬亜貴子さんが担当。著者カザマはトーク・キャラクターを色々変えながら、定まらないままスベって自爆を繰り返すスタート。
Photo by Naofumi Nemoto

バンドは好きでやってることなので辛いときもあんまり辛いと思わない。嫌なら辞めればいい


文章書くのに困ったことはないかも

 

美馬亜貴子(以下美馬):それでは拍手でお迎えください、「さよなら売れないバンドマン」の著者3markets[ ]のカザマタカフミさんです。(場内大拍手)

カザマタカフミ(以下カザマ):(カッコつけながら登場)今日はみんな、俺のために集まってくれて本当にありがとう! 精一杯いいライヴにすっから楽しんでくれよ……(我に返り)すみません! これ、BGMがないとキツイかもしれない(笑)。よろしくお願いします……。(場内大拍手)

美馬:さっそくスベるの止めてもらっていいですか(笑)。

カザマ:スベるって言ったヤツからスベるんだよ(笑)。

美馬:さて、ついに本日、『さよなら、売れないバンドマン』が発売されました。

カザマ:3月3日のライヴ(3markets[ ]@リキッドルーム)で先行発売したので、3日が発売みたいなイメージがありましたけど。

美馬:(客席に向かって)この中で、リキッドルームに来てくださった方はいらっしゃいますか?(ほとんどが挙手)。わぁ、みなさんコア・ファンじゃないですか。

カザマ:いっぱい話したので、もう話すことがないですよ。

美馬:今日はディープなファンの前でのトークになりますね。

カザマ:行けるとこまで行きましょう。

美馬:この本には2020年1月から2025年1月までの出来事が綴られていますが、出来上がってみていかがですか?

カザマ:これ、本当の話で申し訳ないんですけど、僕、書いたことをあまり覚えてないんですよ。(ブログが貯まって)本が出せるって言われた時に、そんなに書いてないじゃん──って思って見たらめっちゃ書いてあって、改めて読んだらめちゃくちゃ面白かった。3冊(他は既刊の『売れないバンドマン』:2017年、『それでも売れないバンドマン』:2020年)の中で一番面白いと思いました。

美馬:文章は自然にスラスラスラ~っと書けちゃうんですか?

カザマ:そうかも。文章書くのに困ったことはないですね。歌詞はめっちゃ困るんですけど、文章に関しては才能がある──と最近思うようになりました。

美馬:だって忘れちゃうくらいなんだものね、なんの苦もなく書けると。

カザマ:すいませんね、天才でゴメンね。(と、調子に乗るが、すぐに我に返り)ごめんね、ほんと……どうしようキャラが定まんない(自爆・苦笑)。

 

コロナ禍を超えてのメジャー・デビュー

 

美馬:前作『それでも売れないバンドマン』を出してから、この5年の間に本当にいろんなことがありましたよね。何と言ってもコロナ禍は大きかったと思いますが、ライヴが出来なかった期間は困ったでしょう?

カザマ:いや、全然困らなかったです。今までお金で困ってたけど、コロナになったら国がお金くれたから(注:持続化給付金のこと)。それと僕、病院で働いてるから医療従事者への給付金もあって。

美馬:(苦笑)でも、バンドとしては厳しい期間だったわけで。

カザマ:うーん、本にも書いたけど、僕らのライヴはそもそもお客さん入ってないから、状況はあまり変わらないんですよね。

美馬:いやいやいや、そんな売れてなくはなかったよ。むしろ上り調子でした。

カザマ:たしかにQUATTROでのライヴが出来なかったりはしましたね。

美馬:そう、一つの目標として設定していたCLUB QUATTRO公演が延期になって、それはやっぱり相当ショックだったと思うんですよ。

カザマ:たしかに。

美馬:ただ、その分練習はいっぱい出来たから、演奏が抜群に巧くなりましたよね。やれることは精一杯やっていた印象があります。

カザマ:そうです、バンドやっててもやってなくても結構一生懸命生きてる。

美馬:それに加えてメンバー脱退という大事件もあったじゃないですか。あと、プロポーズも失敗しましたよね。公開プロポーズをしたけど見事に断られ、彼女にも去られ……。

カザマ:(遠い目で)ありましたね……そんなこと。

美馬:今、振り返ってどうですか?

カザマ:妥当だったなと思いますよ。この本にいろいろな理由があったことは書いてありますけど、ま、それは断られるよなと。今だからそう言えますね。成長した今だったら結婚してやってもいいんじゃないかな(笑)。

美馬:なんでそんなエラそうなんですか(笑)。

カザマ:ウソウソウソ。でも、あの頃よりはすごい真面目になりました。前、ここでイベントやった時は酒飲んで出てた気がする(※嘘です。飲んでませんでした)。今はライヴ終わっても翌日ライヴがあったら酒は飲まない。(キリッとした顔で)みんなに愛されてるので、(それを)返すためにそんなフザケたことをしちゃいけないなって思ってるんですよ───(なぜか途中で照れる)ヤバイ! ヤバイってホントに(自爆・苦笑)。

 

 


美馬:あまりにもスベリすぎてお客さんも苦笑いしてますよ。

カザマ:ゴメンなさい、ゴメンなさい──結婚については真面目に考えてるんですよ。今でも貯金は増えてないですけどね。

美馬:ず~~っと「売れないバンドマン」だったのに、このタイミングで見事メジャー・デビューも出来ましたね。

カザマ:(メチャクチャカッコつけて)やっぱり人の縁って奇跡みたいなもんだから、そういうのが重なって、この場に居られると俺は思ってるんだ、メジャー・デビューっていうのもそれの一つでしかないから、メジャーだろうがこのイベントだろうが関係ねぇんだ。全部大事………(自爆・苦笑)。

美馬:(笑)自爆しないでもらえますか。

カザマ:メチャクチャいいこと言ってると思うけど。

美馬:それはホントにそうですね。2017年に一冊目『売れないバンドマン』を出した時はQUATTROすらも見えてなくて、いつかやりたいって言ってたくらいだから。それが今はもっと大きな場所でも出来るようになりました。

カザマ:確かに。でも、今でも大変ですよ、QUATTROでやらせてもらえるだけでもありがたい。

美馬:一つ一つ夢を叶えてここまで来ましたね。

カザマ:そうですね、ホントに「叶えてる」というよりは、みなさんのおかげで「叶えさせていただいてる」という感覚の方が強いですね。

美馬:メジャー・デビュー出来たことについては?

カザマ:メジャー・デビューしても頻繁にテレビに出たりしてるわけじゃないので、自分たち的には実感はないですね。

美馬:何が一番変わりました?

カザマ:心持ちかな。みんながメジャー・デビューを喜んでくれたので、その分がっかりさせないようにと思ってる。

美馬:では反対に、変わってないところは?

カザマ:人間性はあんまり変わってない。あと貯金も変わってない。

 

「さよなら、売れないバンドマン」エピソード

 

美馬:話を本に戻したいんですけど、今回はメンバー脱退、プロポーズ失敗、相棒(猫)との別れとか、結構辛いこともたくさん書いてもらったんですよね。書いてる時はどういう心境だったんですか?

カザマ:ベースが抜けた時は憎しみの感情もちょっとだけあったけど、書きながら気持ちの整理がついたので、書けてよかったです。でもけいちゃん(けいこ:カザマが飼っていた猫。今年の1月に22歳で亡くなった)のことを書くのはマジで辛かった、ちょっと思い出すのもキツい。表参道のスタバで泣きながら書いたんですけど、それをたまたま通りがかった鈴木実貴子(鈴木実貴子ズ)に見られて本当に辛かった。

美馬:そういう意味でも、心情をストレートに綴ったすごく赤裸々な一冊ですよね。あと、表紙を描いてくださったのが古い付き合いの漫画家/イラストレーターの世紀末さん。彼女とは、3markets[ ]のEP『バンドマンと彼女』(2017年)をお願いしたのが最初でしたよね。

カザマ:元々は当時付き合っていた彼女が、「この人面白いよ」って世紀末さんを教えてくれた。その頃の世紀末さんのアカウント名が〈社会のゴミ〉だったんです。アルバム『SUPER DUST BOX』に収録の「社会のゴミカザマタカフミ」は世紀末さんからいただいたんです。

美馬:本の表紙も一冊目からずっと手がけてくださってますね。

カザマ:ありがたい。

美馬:世紀末さんに「ついにメジャー・デビューしたので、おめでたい感じの表紙にしてください」ってお伝えたら「凄く嬉しいです」って喜んで、絵柄にメジャー・デビューを祝うくす玉を描いてくれて。ただ、彼女はカザマさんのことをすごく理解しているので、ピースが〈陰キャピース〉になってる。さすが(笑)。

カザマ:本には4コマ漫画も収録されてるんですけど、それがすごい良くて。俺よりも俺のこと分かってくれてるから是非見て欲しいです。

美馬:そして今回は、地元の同級生の9mm Parabellum Bulletのかみじょうちひろさんが対談に応じてくださいました。

カザマ:前に会った時は、僕、態度が悪かったんですよ。「おまえ、売れてるくせに……」みたいなことを僻んで言ったら、「お前はいつまでもそうなのか」って言われて、それ以来会ってなかったから。久しぶりに会って話せたのはすごい嬉しかった。ちひろは数少ない友達で。

美馬:10年ぶりくらいに会ったのに、地元トークとかですぐ盛り上がってましたね。さすが同級生。

カザマ:自分でもびっくりした。あれはホントにいい対談だった。ありがとうございました。あれがなかったら一生会ってなかったかもしれない。

美馬:かみじょうさんも喜んでらっしゃいましたよね、久しぶりに会えて、しかも「メジャー・デビュー出来てよかったな」って言ってくださって。

カザマ:でもまだ対等のところにはいないっていう感覚がありますよ。スリマが大きくなったら対バンしたいなと思ってますけどね。

美馬:あと、ヤングスキニーのかやゆーさんが来てくれましたよね、今すごい勢いのあるバンドで、しかもかやゆーさんはカザマくん曰く「俺にないもの全てを持っている男」。対談してみてどうでした?

カザマ:彼もすごいいい服着てるわけじゃないんだけど、なんか知らないけどカッコいい。キメてるかどうかもよくわからない、それがすごい。

美馬:本を読んでくれた方はわかると思うんですけど、ドン・キホーテにいそうな格好をしてるんですよ。スウェットの上下で。

カザマ:それがギリギリカッコいいんですよ。あんまり周りを気にせずに生きてて、それができるのが羨ましい。実力と才能がいっぱいあるので。彼は自分の幸せが人の幸せだとちゃんと思ってる。

美馬:二つとも読み応えのある対談なので、ぜひ読んでいただきたいと思います。

 

これからの新しい目標

 

美馬:3markets[ ]としてはテレビドラマ(中京テレビドラマ『ライブマニア』3月22日、29日放送)に出られたんですが、ドラマ初出演はいかがでした?

カザマ:名古屋で撮影したので、名古屋の人はどこで撮ったかすぐわかると思うんですけど、朝の5時から撮影で、信じられないくらい朝に、信じられないくらいちゃんとやらなければならなくて。でも、すごい楽しかったですよ。

美馬:セリフはあったんですか?

カザマ:セリフはないんですけど、バンドのMCがあって、「自由に考えていいよ」って言われて考えてやったのが、すごくちゃんとハマってた。

美馬:偶然ですけど、かやゆーさんも出てるんですよね。

カザマ:かやゆー君は別の日だった。簡単に言うとあっちは売れてるバンドマンで、こっちは売れてないバンドマン役。でも、俺らの方が尺が長いかもしんない。俺だったら飽きてカットするよ──と思ったけど、監督が気に入ってほとんどフルで使ってくれた。あと、僕、イケメンに映ってますよ。ビックリした。かやゆー君の方がイケメンだけど。

美馬:張り合わなくていいんですよ。でも最近ファンの方にも、「カッコいい」って言われることが増えましたよね。

カザマ:(写真の)加工が上手くなってるからね、直に会ったみんなは二度と言わないと思う。

美馬:(笑)これまでのバンド人生、辛いこともいろいろあったと思うんですけど、どうやって乗り越えてきたんですか?

カザマ:昔から言ってる気がするんだけど、好きでやってることなので、辛いときもあんまり辛いと思わない。嫌なら辞めればいいじゃないですか。好きでやってるから大変なんて思わない。ダメ?

美馬:イヤイヤイヤ、一番カッコいいですよ。

カザマ:本当ですか。(カッコつけて)好きでやってることなんで、辛いとか思ったことナイんすよ。みんなも好きにやればいいと思うよ。日本なんて保証がしっかりしてんだから大丈夫!(自爆・苦笑)

美馬:何を言ってるんですか(笑)。とりあえず今一番の不安はなんですか?

カザマ:今はライヴが続いているので体、喉を壊しそうだなっていう不安があります。歌下手なんで喉壊したらみんなに迷惑かけないかな──っていうのがめっちゃ怖い。それが一つと、MCやセットリストを毎回考えてるんですけど、それがうまくハマるかどうかっていうのも。最近ライヴが続いてるから考える量が異常に多くなって、こんなに考える必要があるのか?!って思ってるんですけどね。

美馬:MCが同じバンドって多いですけど、3markets[ ]は毎回違いますからね。

カザマ:MCが一緒ってのは許せない。同じことを2回言ったら(ファンからすれば)「おまえ、こっちは2回来てるんだぞ!」ってなるでしょ、その時あることをMCするべきだと思ってるから。

美馬:2月26日にはメジャー・デビュー・アルバム『SUPER DUST BOX』も出ましたね。レコーディングではバンドでの合宿なども経験したそうですね。

カザマ:うちのバンドってそんなに個人個人仲良くないので──いや、仲悪いわけじゃなくて、夜はしゃぐとかはないから、それはバンドとして寂しいかも。本当は夜にトランプしたり、「好きな子いるの?」とかやりたいんですよ。

美馬:誘えばいいじゃないですか。

カザマ:誘って誰がノッてくれるの?

美馬:案外masaton.(ドラムス)とか付き合ってくれるかもよ。

カザマ:次、もし機会があったら誘ってみますか。

美馬:(メンバーとは)ケンカとかあまりしないんですよね。

カザマ:あまりしないっすね。音楽的に言い合いになったりすることはあるけど、昔よりはしなくなりました。

美馬:音楽的な言い合いというのは凄くバンドっぽくていいですね。では、本も出したし、メジャー・デビューしてアルバムも発売しました。これからの新しい目標を聞かせてください。

カザマ:新しい目標ですか? そうすね、いつも「カザマさんにとっての幸せってなんですか?」と聞かれて考えるんだけど、幸せって、「幸せだって気づく心があるってことだ」って思ってる。だから目標ってのは常に「今」だって思ってるよ。今の時間、幸せだよ、ありがとう!(わ~~~と言いながら自分で拍手)

美馬:また自爆しましたね(笑)。なんかもう情緒が不安定で申し訳ない。喋ってる内容はいいんだけど、入って来ないんだよね(笑)。ありがとうございました。ではトーク・パートはこれで終わりにして、皆さんからの質問にお答えしたいと思います。

 

カザマタカフミ Q&Aコーナー

 

Q1:カザマタカフミ流、やる気の出し方は?

カザマ:ちょうど最近僕もそれに悩んでいて。やる気っていうのはドーパミンが大事で、ドーパミンを出すためには早起きするのがいいんだよ。なぜドーパミンが出るかというと、早起きをしたという自分への達成感があるので、その成功報酬としてドーパミンが出るらしい。朝4時に起きてストレッチとかやったんだけど、それを(医者に)言ったら「寝不足ですよね」って。だからやる気は出るんだけど身体が付いてこない。朝は一番活動的になりますね。早起きがいちばんいい。

Q2:好きな女性のタイプを教えてください

カザマ:元気な人。元気だったらなんでもいい。一人でいても楽しいけど、一緒にいて二人でいたらもっと楽しいというのが理想なので。こっちも元気をあげるし、元気をもらえるような、そういう関係性がいいな。寄りかからない関係性で居られる人。つまり早起きをする人。

Q3:高校生のうちにしておいた方が良いことは?

カザマ:難しいなぁ~、なんだろう。すごい真面目な話、やっぱり恋愛かも。この時に人とコミュニケーションを取っとかないと将来苦労するよ。俺みたいになるぞ、誰も友達が残らないみたいな。僕がしておいてよかったなと思うのは、三者面談の時、お父さんお母さんがいなくてお兄ちゃんが来たんだけど、違う学校に通ってるお兄ちゃんと制服を交換して面談に行った。先生がそれを見た瞬間、「こいつらに何を言っても無駄だ」と思ったらしく、何も話さないままで終わった。

美馬:それを人にお勧めしたいの?

カザマ:オススメします、だって一生話せるもん、こうやって。

美馬:つまり、エピソードになるようなことをする──ですね。

カザマ:彼女を作って、すごい早起きをして学校に行くとか。朝4時に登校しちゃった──みたいな。

美馬:高校のときは誰かと付き合ってたの?

カザマ:付き合ってました。高校2年のときに、夏休み前に彼女を作るぞと、部活の活動中に好きな子に電話して告白しました。中学の頃からその子が好きで。僕、中学のときはメッチャ頭悪かったけど、その子が行く高校に行きたくて、勉強して同じ高校に入ったんです。

美馬:その子は元気な子だったんだ。

カザマ:ふつうの子だった。

Q4:誰かのことを思い浮かべて曲を作ったりしますか?

カザマ:むしろ、そういうことしかないかな。自分のことが多いけど、あ、この人見届けたいな──とか思う。

美馬:言える範囲で、これは誰のための曲っていうのはある?

カザマ:「君が太るべきだったたった一つの理由」はけいちゃん(けいこ)の曲。

美馬:けいちゃんはカザマくんが飼ってた猫ですね。なんか出来事があったら曲にしようと。

カザマ:曲を作るときに想いとかがあって、それをどう伝えようかって考えるから。

美馬:今まで付き合ってきた女性に書いた曲もあるんですね。

カザマ:ありますよ、曲聴いてないんですか?(※「バンドマンと彼女」「猫の缶詰」「底辺の恋」など)

美馬:聴いてますよ(笑)。

Q5:うどんと蕎麦、どっちが好きですか?

カザマ:今は蕎麦かな。

Q6:海、山、川、沼だったらどれが好きですか?

カザマ:めっちゃムズいですね。僕、海生まれ山育ちだから、どっちもイケるんですけど。川もあったな、沼はなんで沼なんですかね。でも川がいいかな。

Q7:作った曲の中で一番好きな曲はなんですか?

カザマ:「バースデー」って曲が一番好き。自分のことを一番良く歌えてる曲かな。暗くてあまり人気はないけど──あと、キーが高くて歌えない。前回本を出した時のトークイベントで、小学生の子が「バースデー」が好きって言ったのを覚えてる。大丈夫?とか思ったけど。

美馬:11歳だったかな。女の子でしたね。

カザマ:たまにいるんです、若い子で「バースデー」が好きって子。

Q8:今後も本を出版したいと考えていますか?

カザマ:「3」って区切りのいい数字なので、これで終わりな感じがしますけど、この後、多分『帰ってきた売れないバンドマン』とか、最後は『死んだ売れないバンドマン』とか。で、俺が書いてないの。誰かが書いてくれる(笑)。

美馬:評伝ね。

カザマ:みんな書いてください、あいつはこんなヤツだった、とか。

美馬:追悼本みたいなやつ? でも、担当編集者としては『帰ってきた売れないバンドマン』だけは非常に避けたいです(笑)。

Q9:好きなポケモンは?

カザマ:ポケモンやらないからなぁ──ミュウツーとか好きだった。

カザマタカフミ即興6題噺&プレゼント・コーナー

この後、「時間があるのなら、じゃあ何か特別なことをやろう──、俺のこの才能をみんなに知らしめてやる──」と、最前列に座った5名に好きな単語を書いてもらい、それを元に物語を作る──という即興のゲーム(?)が始まった。

美馬:出来るだけ難しそうなヤツにして。

カザマ:人生でまだ一回もやったことがないやつなんで。

集まった単語は美馬さん曰く、「絶妙にいじわるなもの」(笑)。「四捨五入」「イワーク」「酸辣湯麺(サンラータンメン)」「カラオケ」「メガネ」「Y2K」の6個。

カザマ:じゃあ行きますよ。

ヨーコは2Kに住んでいた。略して「Y2K」なんだけど、俺と住んでいたヨーコはいつも「カラオケ」に行っては帰りに「酸辣湯麺(サンラータンメン)」を食べていたんだ。だけどあいつ遂に「イワーク」になってしまった、どうしても「イワーク」になりたいって言ってたんだよ。でも「イワーク」の世界って厳しいから、10人いると「四捨五入」で、5人はいいけど4人は捨てられちまうんだ。その時なぜ捨てられたかというと「メガネ」をしてたからなんだ。あの「メガネ」さえなければあいつも「イワーク」になれたけど、本当に危険な世界だから水にも弱いし、ならなくてよかった──なんて思ってるよ。──ありがとう。(場内大拍手)

 

この後全員参加のじゃんけん大会が行われ、「さよなら、売れないバンドマン」の刷り出し(校正/確認用プリント)にサインを入れたものや、カザマタカフミ私物が賞品として配られた。大盛り上がりの後、サイン会に突入した。

 

  

新刊のご案内

  • さよなら、売れないバンドマン
    購入する
  • さよなら、売れないバンドマン

    四六判 / 264ページ / ¥ 1,800

    売れないバンドマン」が悲願のメジャーデビュー!!
    3markets[ ]カザマタカフミが綴る煩悶の記録
    地獄のコロナ禍、メンバー脱退、プロポーズ失敗、最愛のパートナーとの別れ
    ──全部乗り越えて今度こそ売れる!!

    知る人ぞ知る(?)インディーズ・バンドだった3markets[ ]がついにavex traxからメジャーデビュー!! 2025年2月にメジャー1stフルアルバム「SUPER DUST BOX」を発売、3月には全国ツアー「ゴミ箱から愛をこめて」を開始と、まさに波に乗る中、バンドのソングライターでギター/ボーカルを務めるカザマタカフミの書籍を緊急出版!!
    コロナ禍、メンバー脱退、プロポーズ失敗、最愛のパートナーとの別れ等々....胸が張り裂けるような毎日をカザマはいったいどう乗り越えてバンドを続け、メジャーデビューを掴んだのか? 「奇跡」という言葉では語り尽くせない、一人のバンドマンの生き様が詰まったエッセイの決定版です。
    かみじょうちひろ(9mm Parabellum Bullet)、かやゆー(ヤングスキニー)との特別対談や人気漫画家、世紀末による新作漫画も掲載。

    【主な内容】
    第1章 2020年1月-2020年7月
    今年フェスに出られなければバンドをやめよう

    第2章 2020年12月-2021年3月
    「だから売れないんだよ」と言われて

    第3章 2021年5月-2022年10月
    何か一つでいいから残したい

    第4章 2023年1月-2023年4月
    俺たちは、ずーーーっと、ずっと低空飛行

    第5章 2023年7月-2025年1月
    幸せって手に入れるものじゃなくて気づくことなんだ

    〈特別対談〉
    かみじょうちひろ(9mm Parabellum Bullet)
    かやゆー(ヤングスキニー)

    〈特別インタビュー〉
    関係者が語った3markets[ ]/カザマタカフミの素顔

関連書籍

特集・イベントレポート