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04 Limited Sazabys

“eureka tour 2016-2017”ファイナル・レポート&緊急インタビュー!

昨年9月に2ndフル・アルバム『eureka』という傑作を世に放った4人。本作は彼らの注目度を急激に高め、遂にロックの聖地である日本武道館の舞台を視界に捉えるまで地点にまで到達させた1枚だ。しかし、そうした華々しい歩みの背景には、自分たちのパフォーマンスを向上させるためにコンスタントなライブ活動を行い、その中で数え切れない試行錯誤を繰り返してきたという事実がある。そこで今回はそんな“ライブ・バンド”04 Limited Sazabysが2017年に見せるであろうさらなる飛躍をイチ早く見定めるため、GiGS4月号で掲載予定の特集に先駆けて彼らに緊急インタビューを遂行した。バンド史上最長となった“eureka tour 2016-2017”のツアー・ファイナル:Zepp Nagoya公演の速報レポートと併せてチェックして欲しい。

Text/HIROKI KATAGIRI [GiGS] Photo/TAKESHI YAO

対バン全31公演とワンマン全9公演というバンド史上最長のツアー“eureka tour 2016-2017”を敢行した04 Limited Sazabys。最新作『eureka』を引っ提げて全国を廻る中で、彼らは一体何を手にしたのだろうか。それを目撃するため、編集部は1月22日のツアー・ファイナル:Zepp Nagoyaへと向かった。

結論から言えば、4人が手に入れたのは“一体感”。しかし、それは「バンド・サウンドが今まで以上にまとまっていた」とか「ロング・ツアーを通してメンバー間の結束が強まった」というような、月並みの言葉では表現し切れないレベルのものだった。  ボウリング・フォー・スープの代表曲「1985」が場内に鳴り響き、4人がステージに姿を現した。ここまではいつも通り。だが、この日の会場は彼らにとって“ホーム”の名古屋である。フロアからは一際大きな歓声が上がる。GENが“04 Limited Sazabys 2017.2.11 日本武道館”と書かれたフラッグを羽織っていたこともその大歓声に拍車を掛け、場内のボルテージはバンドの第1音目を待たずして最高潮へと達し、その最高値はラスト・ナンバーの「swim」が鳴り止む瞬間まで更新され続けた。  彼らが手にした“一体感”はライブ中の随所に見受けられた。「Telepathy」や「hello」「Buster call」での合唱、「Give me」等でのクラップで見せた“ファンとの一体感”がその1つ。「一緒にライブを作っていきましょう」とGENがライブ中に語っていたが、それが如実に表れた形だと言えるだろう。


 そして、そうしたファンと同様に04 Limited Sazabysのライブを一緒に作り上げている、“スタッフとの一体感”にも言及しないわけにはいかない。後のインタビューでも語られているが、この日のリハーサルの最中にも彼らは、主に曲間の繋ぎ方等に関してスタッフの意見を頻繁に仰いでいた。曲をプレイするメンバーとそれを最良の形で会場中に鳴らすスタッフとの信頼関係がこうした光景から伺えると共に、その信頼関係がこの日彼らがまとっていた無敵感を生み出す大きな要素の1つなのだと改めて感じたのだ。  さらに、冒頭で“月並みの言葉では表現し切れない”と書いたものの、そういった数々の“一体感”をさらに増幅させて圧倒的な存在感へと昇華させていたのは、やはり他でもなく4人それぞれのプレイであり、“バンドとしての一体感”だったことも記しておきたい。

KOUHEIのドラムはそのタイトさに一層磨きが掛かり、タム回しやシンバル・ワークの流麗さはもちろん、打音1発でアンサンブルを牽引している感もまとっていた。楽曲ごとに様々なアプローチを見せるRYU-TAとHIROKAZのギターは、これまで以上にツイン・ギターらしさを増していたことが印象的。「discord」等のドロップ・チューニングの楽曲に合わせてギターを持ち替えるという見た目の新鮮さもあったが、RYU-TAのパーカッシブなバッキング・リフにHIROKAZのメロディアスなリード・フレーズが絡んだ際の棲み分けが絶妙だった。各々が自身のサウンドやプレイを細部まで追求し、クオリティーを高めてきたことが容易に伺い知れる。そして、特筆すべきはGENだ。昨年導入されたESP製のオリジナル・モデルは完成当初よりも引き締まったトーンでバンドのボトムを支え、「Letter」等の楽曲ではベース・ボーカルとは思えない巧みなフレージングも見せる。また歌唱面では、本ツアーを通して格段に安定感が増した。特に「eureka」や「Horizon」などの楽曲が持つ異なるベクトルの壮大さを見事に描き出した表現力には脱帽。こうした4人がそれぞれにパーソナルな進化を成し遂げた結果、会場を1つの集合体に変貌させるバンド力を手に入れていたのだ。  様々な“一体感”を感じることができたこの日は、紛れもなく本ツアーにおけるハイライトであり、最高傑作『eureka』が本ツアーを経たことで大いなる帰着点を得たと見せつけられた1日だった。  だが、同時にたくさんの課題が見つかった1日でもあるはず。そうでなければ面白くない。いや、だからこそバンドは面白い。MCでGENが口にした「昨日の自分を超える」という言葉がその証だ。だとすれば、このライブが記録した最高地点を更新する日もすぐにやって来ることだろう。例えばそう、2月11日の日本武道館や4月に開催される“YON FES 2017”のステージで。

「“ここから本当の快進撃が始まるんだぞ”っていう1ページ目にしたいんです」(GEN)
――GiGS4月号(2月27日発売)で日本武道館公演の特集を展開させていただくんですが、そのためにまずは今回のツアーを一度しっかり締め括りたいと思うんです。昨年9月14日にリリースされたフル・アルバム『eureka』は、楽曲やフレージング、サウンド・アプローチと、あらゆる面で幅を大きく拡げた1枚でしたよね。
GEN:うんうん。
――そんなアルバムを引っ提げた本ツアーだからこそ、今まで以上に自分たち自身の成長を感じられたんじゃないかとも思うんですよ。そもそもみなさんは、今までずっとライブを“自分たちが成長できる場所”と位置付けてきたわけじゃないですか。
KOUHEI:うん。確かに自分たちでも成長が感じられたツアーだったなと思いますね。今までで一番長いツアーだったから、当然関わってくれるスタッフさんが増えたんです。そういう中で、僕らのパフォーマンスを良くするためにスタッフさんから僕らに対して指摘してくれることも多くなったし、スタッフさん同士もライブをもっと良くするためにぶつかってくれて。そういう風に、メンバーだけじゃなくてチームとして成長できたツアーだったと思います。
GEN:自分の成長を聞かれているんじゃないの?(笑)
KOUHEI:え、そうなの!?(笑)
――いやいや、大丈夫ですよ(笑)。チーム全員が意識を前に向けているというのは、ステージに立つ上でとても心強いことですよね。RYU-TAさんはいかがでしたか?
RYU-TA:『eureka』の楽曲って、これまでの作品よりもかなり難しいものが多いんですよ。だから、何よりもまず自分がスキル・アップしないといけないなって思っていました。リハが終わっても楽屋でずっとギターを弾いていたし。
KOUHEI:やってた。前のライブで出てきた反省点を自分でもう1回振り返って、そこを重点的に確認したり。
RYU-TA:そうそう。そうやってフレーズとかをだんだん身体に染み込ませていって、ライブでの見せ方も徐々に良くしていきました。
GEN:『eureka』って、RYU-TAの弱点みたいなところが結構浮き彫りになったアルバムでもあったから、そこを克服しようとしていた感じでしたね。
――プレイヤーとしても成長できたツアーだったと。HIROKAZさんはどんなツアーだったと感じていますか?
HIROKAZ:俺としては、“AIM tour 2016”のときよりも同世代の対バンが増えたことで、毎回毎回たくさんの刺激をもらえたっていうのが大きかったです。今までは無意識にちょっとごまかしていたような部分も、対バン相手のライブを通して見えてきたりして。そういうところを少しずつ直していったツアーでした。で、ワンマン・シリーズになってからどんどんそういう部分を形にしていって、やっと出来上がってきたかなぁ…と。
GEN:このツアーから全員がイヤモニを使い始めたので、もっと細かくシビアにパフォーマンスを修正していくようになったんですよ。“あの曲のあそこでちょっと突っ込んじゃうんだよな”とか“この曲の締めでどうしても行き切れないんだよな”とかっていう、今までは勢いでバーンッと押し通してしまっていたようなところも、ちゃんと考えながらプレイできるようになったというか。
――04 Limited Sazabysには勢いのある楽曲が多いですが、それとプレイの勢いというのは必ずしもイコールじゃないんですね。他にはどんなことを感じましたか?
GEN:今回のツアーで初めて行った場所も多かったんですけど、そこでたくさんの人が待ってくれていることが嬉しかったです。それで“もっと上を目指して良いんだな”って気持ちにさせられたというか、上を目指していくことに対するためらいがどんどんなくなっていくツアーでした。
――僕自身、今回のツアーでは横浜F.A.Dと北浦和KYARA、Zepp Tokyo、Zepp Nagoyaという4公演を観させていただいたんですが、如実にバンドの成長が感じられるツアーだったと思っているんです。正直、横浜では少し物足りなさを感じた曲もあったんですけど、それが翌々日の北浦和では改善されていたりとか。
GEN:うん。そういう風に“なんかここ物足りなくなったなぁ”って感じるようなことがあれば、その都度自分のプレイや機材を見直して日々一番良い音を探していました。機材もツアー中にどんどん変わっていったんですよね。僕もいろいろ増えましたし。
――なるほど。ではそういった試行錯誤の集大成が、2月11日の日本武道館公演ということなんでしょうか?
GEN:どうなんですかね?(笑)
――えっ!?(笑)
GEN:いや、ツアーの集大成っていう感じなのか、僕たちの今までの集大成なのかっていう。まぁ、タイミング的には今回のツアーの集大成って感じで全部出し切りたいと思ってはいるんですけど…うーん、どうなるんだろう。何かの集大成っていうよりは、“ここから本当の快進撃が始まるんだぞ”っていう1ページ目にしたいんですよ。
KOUHEI:うん。僕も正直まだ実感がなくて。
――マジッスか(笑)。
KOUHEI:そうそう(笑)。もちろん演出とかは話し合っているんですけど、話し合うだけじゃ身体に入って来ないというか。ただ、不安みたいなものはそこまでないんですよ。これだけいろんなところでライブをやらせてもらっていると、当然メンバー間でもよく武道館の話題が出てくるんです。「武道館に立つんだから、これじゃダメでしょ」って。そうやって気持ちは武道館に向かっているんだけど、いざ「武道館、どうですか?」って聞かれると、まだ想像ができていないんですよね。
RYU-TA:僕も同じです。想像ができていない。でも、楽しみではあります。僕らと、PAや照明といったスタッフさんたちを含めたチーム全員で戦えば、なんか大丈夫なんじゃないかなって。だから、当日来てくれるお客さんにも、「任せろ!」とまではまだ言えないですけど(笑)、そういう姿勢を見せたいなって思っています。
HIROKAZ:うん、そう思う。ワンマン・ツアーが終わってすぐに武道館があるから、最初にKOUHEIが言っていたように、このツアーで高め合ったチームの力をそのまま…いや、超えたいなって思っています。まぁ、でも一番思っているのは“みんなで楽しもうよ”ってことで。俺ら4人とスタッフさん、お客さんのみんなで楽しいライブがしたいです。
――話を聞いていると、武道館が“目標”から“目的”に変わったという印象を受けますよ。漠然と目指すものから、“そこに向かうために今何をすべきなのか”という具体的な対象になったというか。
GEN:うん。でも僕ら、もともとそんなに武道館を目標にしていたわけではないんですよ。ただ、やっぱりすごく特別な場所なのは間違いないので、特別な1日にしたいですね。だから今は“あそこでどれだけ遊べるか”っていう感じで考えています。
――ファンの方たちも“04 Limited Sazabysの武道館を観に行く”というよりは、“04 Limited Sazabysの次のライブを観に行く”という感覚なんでしょうかね?
GEN:あぁ、そういう人もいると思いますし、やっぱり僕らが武道館でやるから観に来てくれるっていう人もいると思いますよ。“初めての武道館だから観たい”って。ただ、僕らにとって武道館はゴールじゃないし、実際に武道館のステージへ上がったときに“すごく良いところだな。またやりたいな”って思えば、また武道館に帰って来られるように自分たちの音楽をやるだけです。