□ サウンドチェック

開演前に、ステージ上に設置されているモニターから出る音(=中音)の返りを調整したり、会場全体に鳴る音(=外音)の確認したりする作業のことを「サウンドチェック」と言います。サウンドチェックは、大抵ドラム→ベース→ギター→ヴォーカルの順番で行ないます。最終的に全員で音を出すのですが、このときに演奏をしながら客席に降りて行って、実際に外音がどういうふうに聴こえているのか確認するミュージシャンも多いです。

□ サウンドメイキング

「サウンドをメイクする=音を作る」ということです。エレキギターやエレキベースなどの楽器を素の音で演奏するということはあまりありません。アンプに付いているつまみを微調整してみたり、いろんなエフェクターを通したりして、自分が理想だと思う音、楽曲に対して適切だと思う音、バンドのイメージに合っている音などを作り上げていきます。たまにインタビューで「音作りに苦労した」という発言があるかと思いますが、サウンドメイキングは楽曲に対して一番最初にすることであり、楽曲のイメージを構築する上で最も重要になってくるものなので、細心の注意を払わなければいけない。ゆえに、時間をかけてじっくり行なうものでもあったりします。

□ サビ

サビは、ポップスやロックなど、曲の中で一番盛り上がる部分のこと。馴染みのある言葉ではありますが、なぜそのパートをサビということになったのか。実は諸説いろいろあるんです。まずは、俳句から来たという説で、松尾芭蕉が俳句の一番美しい部分を「(サビ)」と呼んでいたことからというもの。もうひとつは、鼻にツーンとくる「ワサビ」から来たという説。物事をピリっと引き締まった感じにすることを「山葵(サビ)を利かせる」といいますが、そこから来ているという説もあります。

□ サブスクリプション

近年、様々な分野で導入されているサブスクリプションサービス(通称:サブスク)。音楽においては「サブスクリプション型音楽ストリーミングサービス」が有名です。これはどういうものかというと、今まで音楽を買うときは、CDを購入する、または配信サイトからダウンロードするといった感じで、1枚もしくは1曲に対してお金を払うことが一般的でした。しかし、サブスクリプション型音楽ストリーミングサービスは、配信サイトに毎月一定の金額を支払うことで、そのサイトに登録されている楽曲がストリーミングで聴き放題になるというもの。「Spotify」「Apple Music」「LINE MUSIC」「AWA」などが有名ですね。日本で音楽系サブスクが本格的にスタートしたのは2015年前後。そこから配信楽曲が増え始め、昨年から今年にかけては、様々なビッグアーティストがサブスクリプションでの配信を解禁し始めています。

□ サンプリング(サンプラー)

既に、世の中に発表されている楽曲のフレーズを一部分だけ抜き出すこと。それを素材にして曲に味付けをしたり、ヒップホップ系の曲は、その素材をベースにして作曲をしたりする。サンプラーは、曲の一部分を素材にして取り出す機材。

□ 3点

ドラムセットの「ハイハット」「スネアドラム」「バスドラム」の3つのことを「3点」と言います。この3点がドラムのメイン部分であり、基本的なリズムはこの3つがあれば成立します。なので、ものすごく乱暴に言ってしまうと、他の部分はおまけです。ただ、そのおまけをどう使うかによって、その人の個性が出ますし、楽曲に奥深さを持たせたりすることができる大切なものです。

□ サーキットイベント

「サーキットイベント」とは、複数のライヴハウスやフリースペースで同時に開催されるライヴイベントのこと。「サーキット型フェス」と呼んだりすることもありますね。だいたいライヴハウスが密集している地域で開催されることが多く、オーディエンスは各ライヴハウスを行ったり来たりしながら、いろんな出演者のライヴを楽しむという感じです。通常であれば、各ライヴハウスに入るごとに入場料が発生しますが、サーキットイベントは、そのイベントのチケットを買えば、該当しているライヴハウスへの入退場が自由になるので、なんかすごく得した気分になります!

□ サークルモッシュ

モッシュと同じく、こちらもハードコアやパンクから出てきたものですが、最近はいろんなところで見かけるようになりました。「サークルモッシュ」は、オーディエンスが輪になって、グルグルと走り回る行為のこと。近寄ると危険なので、混ざらない場合は距離をとりましょう。

□ SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)

「Subscription video on Demand」の略。月額など一定料金を支払うことでサービス内の動画コンテンツを好きなだけ観ることができる「定額制動画配信」のことです。NetflixやHuluなど、最近はSVOD形式をとるサービスが非常に多く、メインになってきています。

□ 詞先

「詞先」とは、曲を作るにあたって、まず最初に歌詞を決める作り方のこと。歌詞先行を略した感じですね。曲を作るときに、「このことについて歌いたい!」というものがあるときは、詞先で進めていくことが多く、最初からガチガチに決めてしまうときもあれば、ざっくりと決めておいて、後から出てきたメロディに合わせて微調整していくこともあります。また、どういう内容の歌詞にするのか先に決めてしまうことで、メロディや曲全体の雰囲気が浮かびやすいという利点もあります。

□ 指版

ネックを見てみると、裏側は握りやすいように半円になっているのですが、弦が張ってある表側は平らになっています。あの表側の平らな板のところを「指板(しばん)」と言います。指を乗せる板、という感じです。フィンガーボードと呼ばれることもありますね。

□ シャウト/デスヴォイス

歌唱法のひとつで、ざっくり言ってしまうと、シャウト(shout)=叫ぶということです。あとは、ちょっと音を濁らせた叫び声のことを「デスボイス」と言ったりもしますね。ちなみに「デスボイス」は和製英語のため、使われているのは日本のみ。海外では「スクリーム」と呼ばれています。その中でも高音のものを「スクリーチ」、中音のものを「グロウル」、低音のものを「ガテラル」など、結構細かく分かれていたりします。また、息を吐いて叫ぶだけではなく、息を吸い込んで叫ぶパターンもあったりと、ひとことでシャウトと言ってもかなり奥深く、いろいろな方法があるんですよ。

□ ジャスト

「ジャスト」とは、決められたテンポにぴったり合わせて演奏すること。演奏って基本的にはそうしているんじゃないの? と思うかもしれませんが、ジャンルによってはジャストで演奏してしまうと、グルーヴが生まれなかったりしてノリが悪く聴こえてしまうこともあります。

□ しゃくり

こぶし同様、歌を上手に聴かせるためのテクニックのひとつです。「しゃくり」は、例えば「ミ」の音を発声するときに、「ミ」よりもほんの気持ちちょっと下の音から、正しい「ミ」のところまでなめらかにスライドさせてあげていく(しゃくりあげる)歌唱法のこと。正しい「ミ」の音をジャストのタイミングで歌うというよりは、気持ちちょっと遅れた感じで「ミ」にたどり着く、みたいなイメージですかね。また、しゃくりは「ベンド」とも呼ばれています。

□ ジャケ写

「ジャケット写真」の略。形態によって変わりますが、CDに入っている歌詞カードの表紙が「ジャケ写」になります。ちなみに、ジャケットと呼ばれるようになった由来ですが、元々レコードは、紙にすっぽり包まれる形で売られていました。それが「レコードに上着を着せているように見えた」ことから、「上着」の意味である「ジャケット」という言葉が使われるようになったそうです。

□ ジャム・セッション/ジャムる

たとえば、ギタリストがリフを弾き始めて、そこにベースとドラムが合わせていく……といった具合に、ミュージシャンによる即興演奏のことを「ジャム」、もしくは「ジャムセッション」といいます。ジャムセッションは、本当に何も決めずに突然始まることもあれば、ある程度のコード進行や小節数を決めておいてスタートすることもあります。また、ジャムセッションをすることを「ジャムる」と略して言うこともあります。

□ ジャンル

音楽の種類・・・ですが、ロックひとつとってもその中にいろんな種類=ジャンルが設けられています。何故ジャンルがあるかと言えば、音楽を買おうとするときに便利だから。分類されていないと何を手にとっていいか分からない。自分の好みを把握するためには必要なものなのです。ジャンル分けを嫌う人もいます。が、何でもそうですが、新しいモノは「ジャンル」を意識しないと生まれてきません。例えば「ミクスチャー」にせよ、「ジャンル」という明確な区分けがない限り、ミックスすら出来なかったはず。「分かる」からこそ、壊すなりアレンジするなりして、次に進むことが出来るんですよね。

□ シューゲイザー

'80年代中頃~末頃にかけて、イギリスで生まれたロックのジャンルのひとつ。様々なエフェクターをかけて作り上げた、幻想的かつ浮遊感のあるサウンドが特徴的。また、時折ギター音が猛烈なノイズを放つ「轟音ギター」も特徴のひとつです。で、なぜそういう音楽が「シューゲイザー」と呼ばれるようになったかというと、そのサウンドを作り出すために、ライヴ中、ギタリストはどうしても足元にあるエフェクターを見がちになります。その様子を観た人に「あいつ、前を見ずに下ばっかり向いてやがる」と思われてしまったらしく、「靴を見る人(Shoegazer)」と呼ばれるようになったそうです。元々はバカにした意味だった「シューゲイザー」でしたが、その後、ジャンルのひとつとして確立されたのです。

□ 白盤

あるアーティストがCDをリリースするとき、発売の1~2ヵ月前ぐらいにテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの媒体に、宣伝用としてCDが配られます。CDの表側(=盤面)って、アーティスト名や作品名などが書かれていますよね? でも、そのCDは何も書かれていないものが多いんです。その「何も書かれていない=白」というところから、宣伝用のCDを「白盤」と言います。とはいえ、アーティスト名とリリース日と収録曲ぐらいはだいたい書いてあります。

□ 白ホリ

正式名称は「白ホリゾント」。ホリゾントとは、ざっくり言ってしまうと「壁」のことなのですが、メイキングなどを見ていると、真っ白な空間で写真や映像を撮っている場面が度々出てくるかと。あの真っ白な空間、もしくは壁が白ホリです。背景が白いことで、光が反射しやすい、撮影する対象を目立たせやすいなど、白ホリでの撮影は様々なメリットがあります。また、白ホリが常設してある撮影スタジオのことを、白ホリスタジオといいます。

□ シンセベース

ライヴを観ていて、ベーシストが曲によって鍵盤を弾き始めるという場面を観たことがある方も多いのではないでしょうか。あのキーボードは「シンセベース」といって、シンセサイザーの一種です。エレキベースでは出しにくい太い出音やエフェクティヴな音色を求めて、シンセベースを多用することがとても増えてきています。

□ シークレット・トラック

クレジットに記載されていない楽曲が、CDの何曲目かに隠れていること。最初にこれをやったのはナイン・インチ・ネイルズだと言われています。彼らの場合は、クレジットされている曲が終わってもCDが曲数のカウントを続け、99曲目になると、突然楽曲が始まるというものでした。だから、ドキドキする感じがシークレット・トラックという響きにはあるわけなんですが・・・ここ最近、「シークレット・トラック」と言えば、やっぱりバンプ・オブ・チキン。あの脱力具合は、正に「隠された楽曲」だと思います。

□ シーケンサー

というと、キーボードを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、データとして取り込んだ音源を連続してプレイさせる機能を持つマシンを、シーケンサーと言います(シーケンスとは、「連続する」という意味です)。入力&出力装置として、かつてはキーボードがその主役でしたが、ここ10年くらいで、ほとんどパソコンにとって替わられています(それ用のソフトをインストールしないと使えませんけどね)。

□ シーケンス

同じフレーズの反復のことを「シーケンス」と言います。シーケンサーは、そのフレーズを記録し、自動演奏させる装置のこと。最近はシーケンサー・ソフトをインストールして、パソコンで動かす場合がほとんど。

□ スキャット

曲を聴いていると、歌詞には書いていないものの、ヴォーカルの人が“シュビドゥバー”とか“ダディダダ”とか“パッパラ”みたいな言葉を歌っているときがありますよね。あれが「スキャット」です。スキャットは、主にジャズの世界で使われている歌唱法で、意味のない言葉で即興的にメロディを歌うことをいいます。歌というよりは、声を楽器として表現するニュアンスです。

□ スクラッチ

「こすり」と呼ばれる、ヒップホップなどで使用される、いわば演奏技術。ターンテーブルを使って、レコードを手動、同じ箇所を反復させて独特のノイズとリズムを作り出す。

□ スケール

ギターやベース演奏時においては、音階のこと。弾くとき絶対に必要な知識(ちなみにもう一つ絶対に必要なのがコード=和音)。一番有名なスケールは「ドレミファソラシド」でしょうね。これはトライアド・スケールと呼ばれてます。ちなみにいわゆるロックンロール/ロック的な単音ソロを弾く時には、「ペンタトニック・スケール」という音階を知っていると便利。

□ スチール

スチール(もしくはスチル)とは「写真」のことです。スチールは英語の「still」が元になっているのですが、「まだ~」といった副詞の意味ではなく、「静かな」とか「動かない」という形容詞の意味からきています。

□ ストリングス

弦楽器の中でも、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなど、いわゆるクラシック音楽で活躍している楽器達をまとめて「ストリングス」と称しています。編成的に最もメジャーなのが、ストリングスカルテット。弦楽四重奏とも呼ばれていますが、これは第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4パートで構成されていて、弾く役割がそれぞれ異なります。

□ ストリーミング

昔はインターネットを通じて映像や音声などを視聴する場合、一度すべてのデータを受信してからではないと再生することができませんでした。しかしこの「ストリーミング」という方式は、データを受信しながら同時に再生を行なうというもの。ものすごく厳密に言うとちょっと違うんですけど、イメージとしてはYouTubeやニコニコ動画を思い浮かべてもらえると分かりやすいかと思います。

□ ストロボ

これも照明の種類のひとつで、「フラッシュ」とも呼ばれています。言葉からなんとなくイメージが湧きやすいかもしれませんが、ストロボはカメラのフラッシュのように、パカパカと何度も連続で光ったり消えたりする照明のこと。ステージでパフォーマンスしている人が、ストロボが点滅するのに合わせて動くと、動きがカクカクして見えます。

□ スネア・ドラム

ドラム・セットの中心になるもので、リズム・パターンの中でビートを刻む最も重要なパーツ。「ドッ・タン・ドド・タン」というリズムの「タン」の部分がスネアの音。略してスネアと呼ばれることが多い。「タン」の部分はバスドラ(バス・ドラム)ですね。

□ スプリット盤

「スプリット盤」は、2~3組のアーティスト/バンドの曲を1つのCDにまとめたもののこと。それがシングルなら「スプリット・シングル」、アルバムなら「スプリット・アルバム」です。コンピ盤は、アーティスト名を「V.A=Various Artists」(訳:多数のアーティスト達)と表記することがほとんどですが、スプリット盤は○○○○×□□□□のように、参加している人達の名前で表記されることが多いです。

□ スモーク盤

スモーク(smoke)とは煙のことなのですが、ライヴにおけるスモークはいろいろな種類があります。思い出していただきたいのですが、ライヴを観に行ったときに、フロアに入ると場内が少し霧がかっているというか、なんかちょっと白いモヤみたいなものが見えることはないでしょうか。あれはなぜかというと、ライヴ会場で照明やレーザーを使うとき、スモークを炊かないとぼやけてしまうというか、キレイに見えないのです。そのために炊かれているスモークもありますし、特効のひとつとして使われるスモークもあります。たとえば、ステージから天井に向かってぶわー!っと勢いよく吹き上がるジェットスモーク(通称:CO2)や、モクモクとした煙を発生させるフォグマシンや、ステージの床に煙を這わせるタイプのローフォグなど、様々な種類があります。

□ スラップ

別名「チョッパー」。弦に親指を叩きつけたり、指で引っかけあげたりする奏法のことです。スラップをすると音が跳ねてリズミカルになるので、サウンドに躍動感を与えたいときによく使われます。元々はベースでよく使われる奏法のひとつとして有名なのですが、ギターでスラップする人もいますね。ジャズやファンクで使われることの多い奏法でしたが、最近は幅広いジャンルで取り入れられています。

□ スリーピース(3ピース)

ギタリスト、ベーシスト、ドラマーの3人組で構成されるバンドのこと。これはギター・トリオとも言われます。ちなみに、キーボーディスト、ベーシスト、ドラマーの3人で構成されるバンドもありますが、この場合はキーボード・トリオ。また、3ピースの数字の部分を変えて、4人組だったらフォーピース、5人組だったらファイブピースといった形で使うこともあります。

□ 絶対音感/相対音感

「絶対音感」とは、音を聴いたときに、それがどの高さか瞬時に分かるというもので、この言葉は聞いたことのある方がほとんどかと。楽器の音色だけでなく、グラスを叩いた音やドアが閉まる音など、音ならば何でも判別してしまうというもので、小さい頃にしか身に付けられないと言われています。だいたい7歳前後までっていう説が多いみたい。それとは別に「相対音感」というのもあります。これはある基準の音(例えばドの音)を聴いた後に、次の音を聴きます。その次の音が基準の音より高いか低いかを判断する能力のこと。音痴を治すためのトレーニングとして「相対音感」を養うことは非常に効果的で、絶対音感と違い、大人になってからでも鍛えられます。なので、音痴だけど、歌が上手になりたいなぁ……と悩んでいる方、是非挑戦してみてください!

□ セットチェンジ

イベントライヴの場合、一組のアーティストが終わった後に、次のアーティストが準備をして本番、終わったらまた次のアーティストが準備をして……という流れになりますが、あの準備であり、準備している時間帯のことを「セットチェンジ」といいます。「転換」ということのほうがメジャーかもしれないですね。野外フェスや長丁場のイベントの場合、場所や時間の都合上、事前にサウンドチェックができないので、セットチェンジのときに本人が出てきて、ちょこっと音を出した後に、そのままワンコーラスぐらい曲を演奏し始めて、お客さんがめちゃくちゃ盛り上がる、という光景をよく見かけます。

□ セットリスト

通称「セトリ」。その日のライヴで演奏する曲順が書かれたものや、曲順そのもののこと。セットリストは、出演者の足元だったり、客席からは見えにくい位置に貼ってあります。ただ、目立たないように黒地に白文字で印刷されていることがほとんどで、ステージが暗くなったときによく見えません。なので、前日もしくは当日に、スタッフさんが文字の部分を黄色い蛍光ペンなどでひたすら塗りつぶします。おつかれさまです。

□ セーハ

ギターでコードを弾くときに、1本の指で複数の弦を押さえることを「セーハ」(もしくは「バレー」)といいます。セーハをして弾くコードの代表格が「F」。これは、人差し指1本で全ての弦を押さえるというものなのですが、とりあえずギターを始めてみたものの、多くの人がFを弾けずに挫折してしまうという「ギターあるある」があるぐらい、初心者にとってセーハはひとつの難関です。弾けるようになるためには練習あるのみなのですが、コツとしてはセーハする人差し指の側面(親指側)を弦に置くなど、さまざまな攻略法がありますので、ぶつかってしまった人はいろいろ調べてみましょう!

□ 全通/全ステ

たとえば、某ミュージシャンが全国7ヵ所ツアーをするとなったとき、その全公演を観に行くという熱狂的なファンの方もいらっしゃいます。その“すべてのライヴに通う”ということから、その行為を「全通」と呼ぶことがあります。また、“全部のステージに行く”という意味で「全ステ」と言われることもあります。

□ センターステージ

アリーナやスタジアムでライヴをする場合、ライヴハウスやホールと違ってステージがないので、イチから舞台を組み立てていきます。その際に、アリーナ席の中央に舞台を配置して、その周りをオーディエンスが囲んでいるタイプの舞台形式のことを「センターステージ」といいます。センターステージにすることで、出演者とお客さんの物理的な距離が短くなるので、大規模な会場でも比較的近くにいるように感じることができますよね。ちなみに、通常のライヴでよくある形式といいますか、会場の片側にステージを設置するタイプの舞台形式のことは「エンドステージ形式」といいます。

□ 速度記号

速度記号にもいろいろな種類があります。「Largo(ラルゴ)=ゆるやかに」「andante(アンダンテ)=歩くような速さで」「Allegro(アレグロ)=速く」といった、その曲を演奏するうえでの一定の速度を表したものや、「ritardando(リタルダンド)=だんだん遅く」「accelerand(アッチェレランド)=だんだん速く」といった速度の変化を表すもの、それ以外にも、変化する前の速さに戻す「a tempo(ア・テンポ)」などがあります。とはいえ、「歩く速さとか人によって違うし、いまいちわかりにくい……」と言いたくなりますよね。なので、より正確なテンポで演奏するために使われるのが、メトロノームです。

□ ソデ

頭の中でステージを思い出していただきたいのですが、上手側、下手側のそれぞれの一番端には幕が張ってあったりして、裏側が客席から見えないようになっていますよね。あの裏側には機材が置いてあったり、出演者がスタンバイしていたりするのですが、その場所のことを「ソデ」と言います。正式には舞台袖なのですが、略して呼ばれることが多いです。

□ ソロ

「ソロアーティスト」「ソロライヴ」など、いろいろな使い方がされるこの言葉ですが、これはイタリア語の「Solo」=「独奏(者)」「独唱(者)」が由来になっています。意味合い的には、「ひとつ」とか「ひとり」といった感じですね。ちなみに、楽譜で使われている言葉は、イタリア語がほぼメインです。なぜかというと、それには諸説いろいろあるのですが……歴史の授業で「ルネサンス」って習いましたよね? 14~16世紀頃にイタリアが発祥となった文化運動のことですが、あの時期に現在のクラシック音楽が確立され始めたから、というのが一般的のようです。当時はイタリアが文化や芸術の最先端を行っていて、宮廷音楽家の多くもイタリア人でした。その人達が、いろんな国の貴族に雇われていくのと同時に、使われている言葉も一緒に広まっていった……というわけです。ちょっとした歴史の授業でした。