海賊版とは、作品の権利を持っている人の許諾を得ずに発売された非合法商品のこと。その中でも「海賊盤」は、音楽に関わるもの(CD、レコード、DVDなど)のことをいいます。海賊盤は英語で「ブートレグ(bootleg)」といって、たまにアーティスト本人がこのタイトルを自身の作品に付けることもありますね。ちなみに、ブートレグとは元々「密売酒」、もしくは「酒類の密売」という意味で使われていた言葉。昔、アメリカで禁酒法が施行されていたときに、長靴にお酒を隠して密輸していたことからそう呼ばれるようになったそうです。
ライヴの開演前に、会場にいるお客さんに向けて、公演名やライヴ中の諸注意をアナウンスすることを「影アナ」と言います。だいたいイベンターの人がアナウンスすることが多いのですが、たまにミュージシャン本人がするときもありますね。影アナが終わると、「もうすぐライヴが始まる!」とテンションが高まって拍手が起こったり、歓声があがったりするときもあります。
ドラムセットは太鼓とシンバルで構成されていますが、シンバルのような金属でできている楽器を総じて「金物」と呼びます。一言で金物といえどもその種類は様々。主にリズムを刻むために使われる「ハイハット」や「ライドシンバル」、アクセントをつけるために使われる「クラッシュ・シンバル」などがあります。叩き方によって変わってきますが、文字で音を説明するのであれば、ハイハットはチッチッチッチッ、ライドはキーンとかチーンチーン、クラッシュはシャーン!といった感じでしょうか。他にもエッジ(シンバルの端の辺り)が反り返っている「チャイナ・シンバル」や、他のものよりサイズが小さい「スプラッシュ・シンバル」などがあります。
低音域と高音域を抑えめにして、中音域を強調した音のこと。「ドンシャリ」とは違って、ちょっと柔らかい感じ音になり、ジャズやクラシックを聴くときはカマボコにしておくと良いと言われています。なぜカマボコなのか?という話なのですが、ここで出てくるのがイコライザーです。頭に思い浮かべてみてください。中音域を調整するメモリがある真ん中辺りを上にあげて、そこから最高音域と最低音域のメモリが一番下になるように、左右にあるメモリをちょっとずつ下にさげていくと、メモリのつまみがカーブを描いて、それがカマボコみたいに見えるというのが呼ばれるようになった理由です。
客席からステージを見て、ステージの右側を上手(かみて)、左側を下手(しもて)と言います。一般的な立ち位置としては、ギターが上手、ベースが下手ですね。決して「じょうず/へた」と読むわけではないですよ。ちなみに、海外では「上手/下手」と言うのではなく、ステージから客席を見て、右側を「Stage Right」、左側を「Stage Left」と言います。もうそのまんまです。もし、友達とフェスなどの大きな会場ではぐれてしまった場合「とりあえず上手側のこの辺り」など、事前に集合場所を決めておくと便利です。
素舞台大会場でのライヴになると、ステージセットが組まれて、そこで様々な演出が行なわれたりすることもありますが、そういった舞台装置がまったく設置されていないステージのことを「空舞台(からぶたい)」もしくは「素舞台(すぶたい)」といいます。また、舞台上に演者さんがまったくいない状況のことも同様に「空舞台」と言います。
完全パッケージの略。マスタリングまで終了して、完全に仕上がった状態=もう発売できる状態になった音源のこと。例)「音源が完パケるのが10日なんで、取材はそれ以降になると思います」。ちなみに、撤収=ハケるというところから、ライヴの現場では「完全撤収」の意味で使われることもあります。例)「今日の完パケ22時半ね」。
ドラムのパーツの名称で、バス・ドラムのこと。ドラマーの足元にあるやつです。キック・ペダルを踏んで太鼓の音を鳴らすので、キック・ドラムとも言う。ヒップホップ・アーティストは大抵「キック」と言いますが、これはシーケンサー&サンプラーでバスドラの音を出すとき、「バスドラをキックする」という言い方をするので、そこから来ていると思われます。
サビに入る前とか間奏とかに多いんですが、演奏している人達が同時に音を一瞬だけ止めて、またバーン!と全員で弾く、みたいなやつを聴いたことはないでしょうか。あのことを一瞬だけ演奏をとめるということから「ブレイク」と呼ぶのですが、普段は「キメ」と呼ばれることが多いです。全員でバシっとかっこよくキメる、みたいなイメージで捉えていただければと。
最近はスマホのカメラ性能もかなり高くなっているので、手軽に良い写真が撮れるようになりましたが、たとえば、みんなで何かをしていたときに写真を撮ったら、なんだか思っていたより顔が暗い……なんてことはよくあるかと。表情が暗いのではなく、写真全体の明るさが暗いというお話ですよ。この原因はおそらく「逆光」になってしまったからだと思います。逆光とは被写体の真後ろにある光や、そういう状態になってしまっていること。被写体の後ろに光があることで、被写体のカメラに写る側が影になるので暗くなってしまうというわけです。そうならないためにも、光の位置は撮影する人の前(順光)にするか、もしくは斜め目(斜光)になるようにしましょう。光の位置を意識すると写真のクオリティが飛躍的にアップするので、覚えておいたほうがいいかと!
出演する順番と逆にリハーサルをすること。一番最後にリハーサルをする出演者=ライヴのトップバッターが、終わった後にセッティングをバラさなくてもよくなるので、複数のバンドが出演するイベントの場合は、逆リハのことが多いです。トリを務めるバンドは早く会場入りをするため時間が空くので、その間に取材をしたりすることもありますよ。
「キャパシティ」の略。ザックリ言うと「量」みたいな感じですね。いろんな場面で使われる言葉ですが、ライヴに関して言うなら「会場に動員出来る人数」のこと。例えば「バンド史上最大キャパでのライヴ」という場合だったら、これまでで一番大きい会場でライヴをする、ということです。先ほどの「ハコ」と組み合わせて“あのハコってキャパいくつだっけ?”みたいな感じで使ってみよう!
CDって透明なフィルムに包装されていて、ビニールのヒモをくるくるって引っ張って、そのフィルムを外す形になってますよね。あの包装のことを「キャラメル包装」と言います。これはCDのみでなく、お菓子だろうがなんだだろうが、あの仕様はすべてキャラメル包装と呼ばれます。ちなみに、フィルムを外すときにひっぱるビニールのヒモのことを「ティアテープ」と言います。
「曲先」は詞先の逆で、曲を先に作る作曲方法のこと。鼻歌で歌ったメロディから膨らませていくやり方や、コード進行を先に決めてしまって、そこにメロディを付けていくやり方、あとは、このリフを使いたい、こういう曲展開をしたい、この音を使いたいなど、アレンジ面から進めていくやり方など、いろいろな方法があります。
たとえば「タカタカタカタカ」というリズムがあったとして、それを「タカタターカタカ」と演奏するとします。実際に口に出してもらえると分かりやすいんですけど、ちょっと前のめりな感じがしませんか? こういうリズムのことをシンコペーションというのですが、このように、元々ある拍を前に食い込ませて演奏することを「くう」と言います。例えば、誰かと話していたとき、その人が話し終わる前に話し始めてしまう状況ってありますよね。いわゆる「食い気味」っていうやつですけど、まさにそのイメージです。
コンピューターを使って出している音(いわゆる電子音)のことを「打ち込み」と言いますが、コンピューターを使って作曲をすること、ひいてはコンピューターそのもののことも「打ち込み」と言うことがあります(例:デモは打ち込みで作りました)。打ち込みをするときにはDAWというソフトを使うのですが、楽器で弾いたリフを取り込んだり、自分の中で思い浮かんでいるメロディを打ち込んでからアレンジを詰めていったり、何も思い浮かんでいない状態から音やリズムパターンをとりあえず決めて膨らませていったりと、その流れは様々です。
どのエフェクターもそうなのですが、特にこの「空間系」に関しては、細かく分けていくと結構大変だったりします……。ざっくり言うと、音に広がりを持たせると言った感じでしょうか。有名なところでいうと「ディレイ」と「リバーブ」の2つ。「ディレイ」は音を遅らせる効果があります。遅らせる時間を自分で調整できるのですが、ちょっとだけ遅らせて音に厚みを出したり、大幅に遅らせることでトリッキーなサウンドを作ったりすることができます。「リバーブ」は残響効果。お風呂で声を出すと音が反響しますよね。気持ちよくなってついつい大声で歌ってしまっていた、なんてこともありますけど、「リバーブ」はあの効果を得られます。残響具合を、小さな部屋で鳴っているのか、それとも大きい会場で鳴っているのか、いろいろと調整することができます。
人間が楽器を演奏するとき、一定のテンポに完璧にあわせて演奏することはかなり難しく、どうしても少しタイミングがズレてしまうもの。しかし、そういうちょっとしたズレからグルーヴが生まれ、心地よさや高揚感が生まれます。とはいえ、それがあまりにもズレている場合、それはただのズレであって、気持ちよく聴こえません。そんなときにDAWソフトで「クオンタイズ」をすれば、そういったズレを修正することができます。
人の頭の上を転がっていく行為。たくさんの人達(=クラウド:群衆という意味です)の上を泳いでいく(=サーフィンする)ように見えるところから、そう呼ばれています。ざっくりと「ダイブ」っていうときもありますね。クラウドサーフしている人はその場で止まることなくコロコロと転がり、下にいる人達はその人を前へ前へと押してあげましょう。ただ、最近はダイブ/クラウドサーフは危険行為なため、ライヴによっては禁止されていることもあります。ルールやマナーをしっかり守って、ライヴを楽しんでください!
手拍子のこと。英語で「クラップ・ユア・ハンズ!」と言われたら「手拍子をして!」っていうことなので、リズムに合わせてバシバシ叩きましょう。余談ですが「プット・ユア・ハンズ・アップ」(プチョヘンザって聞こえる)は「手をあげてくれ!」っていうことです。
パソコンのマウスでカチっとするアレのほうではなく、レコーディングやライヴなどで、ドラマーが聴くガイド音のこと。「ドンカマ」とも呼ばれることもありますね。ヘッドフォンやイヤモニからクリックを流して、それに合わせてドラムを叩きます。とは言っても、ずっと同じ音だと、どこを叩いているか分からなくなるときもあるので、「ピ、コ、コ、コ」といった具合に、小節の頭の部分だけ音を変えていることもあります。
いろいろ細かくあげていくとなかなか大変なことになってしまうので、ざっくり言ってしまうと、グルーヴとは「ノリ」のことです。よく「グルーヴィーな」という感じで使われることがありますが、あれは「ノリが良い」ことだと思っていただければと。
これも強弱記号。結構有名なほうですね。クレシェンドは「だんだん強く」、デクレシェンドは「だんだん弱く」という意味です。
直訳すると「仕出し」「出前」という意味。撮影現場やライヴ会場の楽屋などで出される食べ物や飲み物のこと。お弁当1つのときもあれば、会場が大きいときはビュッフェ・スタイルで好きなものをとるタイプのときも。これが温かいものだと結構嬉しいです。あと、現場への差し入れも、同様に「ケータリング」と言います。
「ケツ」とは「後ろ」という意味で、次の予定のこと。「ケツがある」は、次の予定があることで、逆に「ケツがない」は、特にこの後の予定はないということです。次の予定が詰まっていてもう時間がないっす!っていうときは「ケツカッチン」と言います。ちなみに「カッチン」は映画の撮影で使う「カチンコ」(ヨーイ、アクション! カチン!って鳴らす、アレです)からきています。
ツアー初日直前に、本番とまったく同じ手順で行なう総合リハーサルのこと。ドイツ語の「ゲネラルプローベ」の略で、ゲネプロを更に略して「ゲネ」と言うことも。
雑誌(印刷物)の制作過程における最終締め切り。各ページのデザインや文字に間違いはないか、不備はないか、写真の色味はキレイか……など、入念に校正(チェック)し(問題があればもちろん修正)、これで大丈夫だから印刷してね、と印刷所に耳を揃えて渡すこと。校了が近づくにつれて、日々の作業は増大し、睡眠時間は減少します。
「SHM−CD」とか「Blu-spec CD」っていうのを見かけたことはありませんか? これは、通常のCDよりも高音質な音源を収録したCDのこと。ちなみに「SHM」は、スーパー・ハイ・マテリアルの頭文字をとったもので、「Blu-spec」は、ブルーレイの技術をCDに応用したもののことです。最近は「Blu-spec CD 2」というのも出てますね。どれも今までのCDプレイヤーで再生可能です。
ライヴハウスや劇場が完成して、一番最初に行なわれる興行のことを「こけら落とし」と言います。ちなみに「こけら」とは、材木を削ったときに出る切りクズのことで、建物を新築/改築工事をした最後に、屋根などに残っているこけらを払い落とすことが、「こけら落とし」の語源になったと言われています。
ライヴや取材が、予定していた時間を過ぎる(遅れる)こと。ちょっと焦ります。例)「今日の開演10分押しでーす!」。ちなみに、定刻通りに始まるのは「オンタイム」。
こぶしは演歌や民謡などでよく使われる歌唱法ですが、もちろんポップスの世界でも使われています。こぶしもビブラートと同じく音の高さを上下させる歌唱法なのですが、ロングトーン中に声を揺らすビブラートとは違って、こぶしは瞬間的に母音を揺らします。たとえば、「ぼくは」というフレーズがあったとして、「は」の部分にこぶしを効かせるとしたら、はの母音である「あ」を上下させるといった感じです。うまくできない場合は、「はああぁ~」みたいに、母音の「あ」を2回言うように意識してみてください。ポップスではこぶしをやや弱めに回す感じで、演歌ではこぶしを強めに効かす感じで歌うと、歌がうまく聴こえますよ。ぜひ挑戦してみてください!
ステージに立っているミュージシャンの足下に置いてあるモニターのことを「コロガシ」、ステージの上手/下手に置いてあるモニターのことを「ヨコアテ」と言います。よくコロガシに足をかけて歌ったり、演奏していたりする光景も見かけますが、足をかけると怒られることもあるのでご注意を。
レコーディングスタジオで、コンソールが置いてある部屋のことを「コントロール・ルーム」といいます。文字のごとく、レコーディングした音を制御したり、調整したりするための部屋です。再びレコーディングの密着写真、もしくは映像の話なのですが、ミュージシャンがスタジオのソファに座って談笑していたり、それこそコンソールを触っていたりするものを見かけたことはありませんか? 違う場所の時もありますが、あれはだいたいコントロール・ルームで撮影したものが多いです。
正式名称は「コンピレーション・アルバム」。コンピレーションとは「編集」という意味で、例えば「フロアをブチあげるダンスミュージック」とか、「泣けるバラード」みたいに、あるテーマに基づいて、複数のアーティスト/バンドの楽曲をまとめたCDのことを「コンピ盤」といいます。また、これは音楽のジャンルでまとめられたものだけでなく、「あるアニメのオープニング/エンディング曲をまとめたもの」だったり、「あるアーティスト/バンドを、いろんな人達が敬意の念を抱いてカバーしたもの(トリビュート盤)」も、コンピ盤に含まれます。
日本語に訳すと「幽霊音符」。文字で見るとちょっと怖いんですが、要するに「聴こえるか聴こえないか分からないぐらい小さな音」のことを言います。例えばドラムの場合、普通に聴いていると分かりづらいんですが、ドラマーの手元をよく見てみると、スティックがヘッドに軽ーく触れたりするんです。ギターやベースの場合だったら、ミュートしている部分を敢えて弾いて、ゴーストノートを入れたりしています。そもそもの話、なぜ聴こえない音を入れるのか?って言うと、このゴーストノートを入れることでグルーヴ感が増して、より躍動的なサウンドになるのです。入れるのと入れないとでは結講差が出てくる、料理で言う「隠し味」みたいなものですね。
複数の単音を同時に鳴らすことで、単音では出せない響きが生まれるのですが、その音のことを「和音(コード)」と言います。コードにはいろんな種類があるのですが、ものすごく大まかに具体例と特徴を挙げると……メジャーコード:明るい印象、マイナーコード:暗くて寂しめな印象、セブンスコード:ちょっと大人な雰囲気の印象、などなど。細かいところまで書いていくと、本一冊分ぐらいの量になってしまうぐらい、コードは奥深く、とても重要なものなのです。
「トーキョー!」「イエー!」とか、「セイ・ホー!」「ホー!!」みたいに、ミュージシャンが呼びかけ(コール)をして、観客が返事(レスポンス)をする掛け合いのこと。たまにミュージシャンが即興で歌ったメロディを、こちら側が歌い返すというのもありますね。
「ゴッパー」もしくは「ゴーハチ」と読みます。これはSHUREというメーカーが1966年に発売したマイク・SM58のこと。音質や耐久性が優れていることから、ライヴやレコーディングで使われるヴォーカル用マイクとして定番中の定番になっています。世界で一番有名なマイクといっても過言ではないかと。今度カラオケでマイクを持ったときに、一度見てみてください! ちなみに漫才で見かける四角いマイクは38(サンパチ)マイクと言われています。