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THE BACK HORN

結成20周年へ向けて加速する最新シングル「孤独を繋いで」の完成背景

これまでセルフ・プロデュースを続けてきた4人が、「With You」「あなたが待ってる」と、昨年から初めてプロデューサーを迎えて、新たなチャレンジを続けていた。そして、その2枚のシングルに続く新曲として届けられたのは、まさにTHE BACK HORN節とも言える熱く力強いロック・ナンバー「孤独を繋いで」と、夏の情景が浮かび上がるカップリング曲たちだった。このタイトル・ナンバーについてGiGS8月号では、山田と菅並に作曲の背景を語ってもらったが、後編となるこちらでは作詞やライブへの思い、そして、カップリングの2曲について聞いていこう。本誌のインタビューと併せてチェックすることで、現在の彼らのモードを読み取ってもらえるはずだ。

Text/KOH IMAZU

1曲目がバンドとして大事なメッセージの曲だったんで
2曲目はちょっとはっちゃけた感じにした
──新曲の歌詞の話をしましょうか。
山田:今回の詞もギターまで入れた後に浮かびましたね。
──タイトルにもある「孤独を繋いで」というイメージも、オケを聴いて浮かんだ?
山田:そうですね。
──若い頃の体験を詞にするミュージシャンも結構いるけど、THE BACK HORNはどうなんだろう? 例えば“破れかぶれの日々”というフレーズがあったけど。
山田:そういうのは今でも全然ありますよ(笑)。どうしようもないときに前向きな気持ちで“とりあえずやるしかない!”ってなるんじゃなくて、“よく分かんないけどやっちまえ!”みたいな(笑)。そうなったときは苦しかったりもするけど、その先にあるライブやスタジオ・ワークのこともイメージできるんでしのげるという。
──ライブ中に破れかぶれになることもある?
山田:長いツアーで「やばい。屁みたいな声しか出ない」ってなったときとかはね。でも破れかぶれでやってみると、そのときの自分が自然に出たりする。で、いじけることなく自分の代わりにお客さんに曲を歌ってもらうことができたりもして(笑)。
菅波:それ分かる! ライブもせめぎ合いなんですよね。自分たちには技術を見せる責任もあるけど、お客さんはそれだけを見に来るわけじゃない。
──パッションとか?
菅波:うん。演る側のパッションを見せつけられに来たりもする。だから基本は考えないでやる。本番中に変な雑念が入って来そうになったら、それこそ破れかぶれに演ってみたり。
──(菅波)栄純くんはステージ上でたまに突発的な行動に出るよね。いきなり舞台上を転げ回るとか。あれは破れかぶれの必要性を感じてのこと?
菅波:大体はそういう感じですね(笑)。あれこれ考え始めて冷めないうちに動くんです。
山田:あるよね。「あ、俺今日このままじゃダメだ」みたいなときって。
──そう思う冷静さも一方である?
山田:やっぱ、どっかでちゃんとした部分もないとダメだから。
菅波:それがないと1本のライブとして完成させられないからね。だけど、そこにはせめぎ合いもある。パーフェクトにやりたい願望がありながらも、それをぶっ壊しながら最終的に残る完成度を求める的な。
山田:理想型だけを追い求めすぎない感じというかね。それを求めすぎると1つの道しか見えなくなっちゃうから。ホントはそれとは別の、もっと理想に近づける道があったりするからね。
──ではカップリングの2曲について。
菅波:2曲目の「導火線」は俺がデモを作った曲なんですけどね。
──全体に漂う“日本の夏”的なムードからすると、今回のシングルに向けて作った曲?
菅波:そうですね。詞は初めて女子と祭りとかに行って、初めて制服じゃない姿を見て…って、そういう初々しさを総動員して書きました。
山田:場所は神社の境内とかでな(笑)。
菅波:1曲目がバンドとして大事なメッセージの曲だったんで、こっちはちょっとはっちゃけた感じにして。
──速い曲だけど16ビートなノリもあり。
菅波:ベースも2Aに“トゥ・テケ・トゥ・テケ”的なディスコの感じもあって。普通はああいうフレーズって2フィンガーでやるところを、(岡峰)光舟は3フィンガーでやってる。これがすごく難しくてしばらく練習したんですよ、俺が。
山田:栄純が(笑)。
菅波:いや、面白くて(笑)。
──そして3曲目「夏の残像」。詞的には花火で繋がりもあるようだけど。
菅波:これは特殊なんだよね。
山田:そう。去年ファンクラブ限定イベントをやったときにお悩み相談のコーナーがあって、ファンクラブの方から届いた相談をもとに公開楽曲制作をしようってなったんですよ。で、事前に相談の中からマツ(松田)が1つ選んで詞を書いて、俺が曲をつけたんです。
菅波:そのとき俺と光舟はその歌詞の内容とか曲を全然知らなくて。
山田:当日イベント中に初めて弾き語りで聴かせたんですよ。
菅波:それで、その場でアレンジすることを求められた(笑)。トータル30分ぐらいのコーナーの中で。
山田:そうやってできた曲をバージョンアップさせたのが今回入ってる曲なんです。
菅波:だから、これを作ったのは去年の初夏なんですけどね。ストーリー的に繋がるかなと思って今回のシングルに入れてみたんです
──それにしてもここのところ新曲ラッシュだよね。先日の2マン・ツアーのセットリストしかりで。
菅波:ここのところシングルばっかり出してますからね。
山田:ここ半年ぐらいでもう3枚目。
菅波:来年の20周年に向けて加速したいから。
山田:今はそこへの助走で。
菅波:10周年のときはベスト・アルバムと武道館でのライブと…。
山田:オリジナル・アルバム『パルス』のリリースだったけど。
菅波:今回はシングルがいっぱい出る意外な闘い方。しかもカップリングまで全力で使い果たしながら進んでる(笑)。
──秋口からは様々な形のライブも予定されていますね。日比谷野音もあるし、あの“マニアックヘブン”がなんとツアーになったりもする。
菅波:“マニアックヘブン”は、なんだかんだいってもこれまで東京中心だったから。
山田:“全国各地でもやって欲しい”っていう声をヒシヒシと感じてたんでね。
──あの展示もろとも移動していくことを考えると面白いな。
山田:サーカス団みたい(笑)。
──でっかいテントで興行しても似合いそう。
菅波:それ、いいなー(笑)。
──さらに9mm Parabellum Bullet、Nothing’s Carved In Stoneとの3マンのツアー“Pyramid ACT”もある。
菅波:バンドもトリオと4人編成じゃいろんなことが違うように、対バンも2つと3つじゃ違うと思うんですよ。そこを楽しみにしたいですね。